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ユウたちの目の前で脱ぐことを強要された麻生。秦の次の要求は……
第52話 ヌード撮影
 プチプチ……
 ボタンを外してゆく音がうつろに響く。
 それは淡々とした動作だった。
 意思のない、機械的な動作のくりかえし―――
 麻生は黙ったままそれをすべて外し終えると、トップスを床に置き、腕を交差させて頭からインナーを脱いだ。
(せ、先輩)
 ユウは「ゴクッ」と喉を鳴らした。
 こんな薄汚れた場所で、それもあんな言い方で命令されて……
 そう思うと、目の前の光景にいたたまれなかった。
 気がつくと、麻生は脱ぎ終えたプリントスカートを片手に、上下の下着だけを残して煤けた窓辺に立っていた。薄いピンクの地に花柄をあしらった小洒落たデザインのブラとショーツ。
 手にもったスカートの布地がかすかに震えていた、それで再び露出した肌を覆い隠そうとするように。
「……ふぅーん」
 秦は口元に薄い笑みを浮かべて下着姿の麻生に目を向けた。
 引き締まってスラリとした麻生のカラダ―――その胸は強く脈打っていた。
 ドクン、ドクン……
(先輩、なんか痛々しい……)
 ユウは思わず目を背けた。
「いーじゃんか、麻生」
 秦はシャッターを切った。
「キレーだぜ、モデル体型でよ」
「は……はい」
 歯の浮くような秦の言葉に、麻生の顔に羞恥の火が灯った。
(マ……マブい……)
(年上もそそる……)
 悟られまいと目を細めながらも、麻生のカラダをガン見するバンダナとメガネ。
「セ、センパイ、次、どうすれば……」
 麻生は恥じらいに身をよじりながら秦に訊ねた。
「ああ、そうだな。次、いってみっか」
 秦はデジカメのボタンをいじりながら答えた。
「じゃー、ガニマタになって、両手でパンツもちあげてみっか」
「え……」
 麻生は思わず胸元に手を当てて腕を交差させた。男たちの好色な視線から身を隠そうとするように。
(そ、それってまさか、コマネチ!?)
 もう一度、大きく唾を飲み下すバンダナとメガネ。
 麻生は言葉を失って立ち尽くしていた。その顔がいくぶん青ざめて見えた。
「麻生、オマエさー、時間ねーんだし、少し考えて行動してくれねーと……」
 麻生に向かい、秦は諭すように言った。
「す、すいません、センパイ……」
 麻生は左右の腸骨の部分でショーツの端に手をかけた。
(あの麻生先輩がコマネチなんて……なんか、そんなのって)
 麻生と過ごした時間―――その記憶が鮮やかに甦る。
 ひとり浮いていた合コンの席で、気さくに声をかけてくれた麻生先輩。
(それにボクが入院した時だって、麻生先輩、お見舞いに来て……)
 刹那、麻生の指に力がこめられた。
「んっ」
 カメラ越しに秦の視線が鋭さを増した。
 両指をショーツの上端にそろえ、股間を強調するようにそれを持ち上げてみせる麻生―――
 その胸元にうっすらと汗がにじんで見えた。
 緊張、そして羞恥、屈辱―――
 血の気の失せたその顔が、すべてを物語っていた。
(う……)
 伏目がちにそれを見つめるユウ……
「いーぜ、麻生」
 秦はシャッターを切った。
「おもしれーじゃん、そーゆーのもさ」
 キシャッ、キシャッ……
 フラッシュの閃光が薄闇に憩う麻生のカラダを無遠慮に切り裂いてゆく。

 その残酷さにユウの心は締めつけられた。

                                   第52話 終


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エスカレートする秦の要求。次回、いよいよ麻生先輩がヌードに?
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