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いよいよ麻生先輩のヌード撮影……。本当にやっちゃうの?
第51話 コイツらの前で脱げよ
「あ、あのう〜木村クン」
 古びたコンクリの建物を見上げながら、ユウはバンダナに訊ねた。
「この建物ってどこなんですか?」
「まあ、おめさんみたく自分の大学のことすらろくに知らねえ奴には無縁の旧講堂だだ」
 バンダナは振り返らずに答えた。
「実はここ、北側の奥の入口だけ鍵、あいてるだわ」
「えっ、な、何でそんなこと知ってるのっ!?」
「まーな」
 バンダナは言った。
「たまに人に隠れてここで千佳とやりまくってるでな」
「や……やりま……っっ!? ええっ!?」
 講堂内の一室で巨乳の小口さんに覆いかぶさるバンダナの姿を想像し、真っ赤になるユウ―――なんだか二人の息づかいや汗のにおいまでリアルに伝わってきて……
「ま、まさか秦先輩、この中で撮影するつもりじゃ……」
「……たしかに普段は誰も人、来ねえでな」
 秦に続いて階段をのぼりきると、そこには麻生の姿があった。
「よー、麻生、悪ぃな、待ったか?」
「セ……センパイ!」
 麻生はふりむいて服装を整えた。
「なんだ、おめぇ、これから脱ぐってのにめかしこんでよ」
 秦は軽く麻生に笑いかけた。
「えっ……その、一応……」
 麻生はばつの悪そうな表情を浮かべてうなだれた。
「ま、似合ってるぜ。そーゆーのもよ」
「えっ……」
 秦の言葉に、麻生の頬が紅潮する。
 右手に持ったブランドものの革のバッグがかすかに揺れた。


「さて……と」
 秦は五本目のタバコを灰皿の縁に押し付けながら顔をあげた。
 ドキッとして唾を飲み込む上祭実行委の三人。
「そろそろ脱いでみっか、麻生。時間もあんまねぇしな」
 薄汚れた革製のソファから秦が背中を起こす。
「は……はい……」
 麻生はか細い声で答えた。
 その顔がかすかに青ざめて見えた。
(せ、先輩……ホントにハダカに……)
 ユウは目のやりどころを失って、視線を床に伏せた。
 心臓が口から飛び出すかと思った。
 その横で落ち着かない様子でメガネを上げ下げする浜……
「あの……さ」
 麻生は遠慮がちに言った。
「着替えるとこ、あまり見られたくないから、キミたち、向こうむいててくれないかな……」
「は、はいっ、もちろん……っっ」
 ユウは麻生に顔を向けて頷いた。
「なに言ってんだ麻生」
 麻生の背中越しに秦の声が飛ぶ。
「コイツらの前で脱げよ」
「せ、先輩、何もそんなことねぇ……っっ」
 ユウは思わず声をあげた。
「オレは着替えも撮るっつってんだけなんだがよ、早坂くんよ」(※正しくは速水)
 秦は六本目のタバコに火をつけながら言った。
「脱げっつってんのが聞こえねーか、麻生」
 ゴクッと喉の鳴る音が聞こえた。
 麻生は不安げな眼差しでコンクリの壁を見つめていたが、やがて視線を手元に引き取ると、震える手でトップスのボタンに手をかけた。
(先輩……)
 ユウはまだ目の前の光景を信じられずにいた。

                                     第51話 終



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