互いのヌードをかけてユウVS剣次郎、ついに激突です! 渋川先輩の秘策とは……?
第37話 十字絞め……!
一時間後、振武館―――
「あんちゃんバカだなあー」
あざ笑うような剣次郎の声が、板張りの道場に響いた。
「一時間ぐれー相談したからって、俺に勝っかよ?」
竹刀を中段に構えた剣次郎は、剣先を正中線上にピタリとつけ、わずかに右足を前へと進めた。
「そっ……そんなコトねえっ……やってみないとねえ、わらないでしょっっ!!?」
ユウは右手に握った竹刀を大きく振り上げた。その左手には小太刀―――二刀流!?
「オイオイ、おまけなんだよ、その二刀流? もしかして、マンガの読みすぎ?」
剣次郎はギリッと歯軋りした。
「う……うるさいよ!」
剣次郎の気迫に圧倒され、ユウの全身から脂汗が噴き出す。
固唾を呑んでそれを見守るあや、そして舞。
奇妙な興奮に息を詰まらせるメガネ、「フレーフレー」と観客気分のバンダナ、そして立会人の女医と渋川先輩―――
道場は異様な雰囲気に包まれていた。
「ちぇっ、ムカツクんだよ、そーゆーのってさ」
どうみても素人剣術の二刀流―――それが剣次郎の逆鱗に触れた。
「んじゃあ、やろーぜ、あんちゃんよォ」
剣次郎はユウの喉元めがけ、一足に踏み込んだ。
「頭出しな、あんちゃんーっっ!! 中身、かち割ってやっからよォー」
「うぶうっ」
防具をつけない生身の攻防―――その一瞬。
竹刀を交差させてどうにか剣次郎の初太刀をしのごうとするユウ―――鮮血が飛び散る。
「ユ……ユウくんっっ!! し……死んだの!?」
「お兄ちゃん!?」
身を乗り出して叫び声をあげるメガネとあや。
「押せぇー、押すだ、ユウーっ!!」
拳をふりあげて絶叫するバンダナ。
ユウは紙一重のところで剣次郎の斬撃を受けとめ、必死に歯を食いしばっていた。
(速水くん……無理しないで……!)
舞は胸の締めつけられる思いで、ユウの戦いを見守っていた。
「ぐっ……ぐぉぉ……」
生傷から血を滴らせながら、ユウは耐えていた。
竹刀がバラバラになるかと思うほどの衝撃……
一瞬、剣次郎の力が弱まった。ユウを引き込んで、退きざまに面を打つ―――そんな計算が働いた。
その一瞬だった。
「であいえぇーぇぃ!!?」
小太刀を捨て、わけのわからない掛け声とともに、ユウは竹刀をかちあげるようにして、剣次郎の懐に飛び込んだ。
「ごぉぶぅ!?」
重量で劣る剣次郎は、大きく態勢をくずしてのけぞった。
「なっ……体当たり!?」
女医の顔色が初めて変わった。
「ユ……ユウくん!? や……やった!!?」
興奮して身を乗り出す速水陣営。
剣次郎はそのまま床に叩きつけられ、その勢いでしたたか壁に全身を打ちつけた。
「剣次郎!!」
女医は、一瞬、弟の姿を見失い、その行方を探し求めるようにして視線を走らせた。
「くっ……くそがぁ……いってーな!!」
こめかみを押さえ、剣次郎はどうにか身を起こした。
次の瞬間、彼が見たものは、必死の形相で彼の上に覆いかぶさろうとする一匹の野獣―――ユウの姿だった。
その両手が剣次郎の喉へと伸びる。
「にっ……逃げなさい、剣次郎! これはっ……」
女医の声が悲愴に響いた。
「うっ……うぐあーっっ!!!」
剣次郎の悲鳴がそれに続く。
交差するユウの両腕―――その右手がしっかりと剣次郎の襟をつかんでいた。
「じゅ……柔道の十字絞め……!?」
女医は絶望的な目で眼前の光景を見つめていた。
「ゴッ……ゴボォッ……」
必死でユウの腕に手をかける剣次郎―――だが、それも無駄なあがきのように思われた。
女医は渋川の顔を見た。
これがあなたの作戦―――動脈絞め……!
決まれば勝負は数秒―――脳への酸素の供給が絶たれれば、どんな人間でもあっという間に失神る……
「うわああああーっっ」
ユウの叫びがひときわ高く道場に響いた。
(速水くんが勝った……)
いまだ信じられない気持ちで、舞はその成り行きを見つめていた。
第37話 終
ユウが勝った……! 勝利を確信した速水陣営。女医のヌード、確定……!?
次回、エリート女医がヌードを覚悟!? その結末とは……
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