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美人女医にやられっぱなしの上祭実行委員会。いよいよ反撃ののろしをあげて……?
第35話 ヌードモデル
 渋川先輩の登場に、女医の表情が動いた。
「それに」と女医の目を見て先輩は言った。
「武道は勝ち負けだけがすべてではないと、自分は思うのですが」
「……あなたらしいわね、渋川くん」
 女医は先輩の視線を受けとめて答えた。
「だけど、勝負は勝負、きれいごとだけでどうにかなるものじゃないわ」
 その言葉を受けて、先輩が何事かを口にしかけた、その時だった。
「ちょっとまったぁーっっ!! まちねぇ、まちねぇっ!!」
 妙な見得を切りながら、その場に割って入ろうとするバンダナ―――歌舞伎か!?
 思い切りしらける医務室の空気……
「……ま、まちねぇ」
 バンダナはどうにか最後の部分だけをくりかえした。
「……何かしら、木村くん?」
 女医はニコリともせずに言った。
 その語尾に明らかな苛立ちがこもっていた。
 それにたじろぐことなく、バンダナは女医の顔を見つめ返した。
 この妙な自信はどこから……?
 彼は言った。
「もし、ユウが剣次郎に勝ったら、先生、どーします?」
「……何が言いたいの、木村くん?」
 女医の目が初めて大きく見開かれた。
 その、どこまでも不敵なまなざし―――
「つまり」
 バンダナはそれを待っていたかのように続けた。
「そんなに自信があるんなら、万一、ユウが勝った時には」
 バンダナはそこでニヤリと笑った。
「脱いでいただけますよねェ、上祭(じょーさい)写真集で―――だって、そんだけでけー口たたいてんなら」
 女医の表情がわずかに動いた。
 おどろき―――それは、明らかに意表をつかれた顔だった。
 バンダナはたたみかけた。
「まさかイヤとは言わんでしょぉーな? ビビってんスか、もしして?」
「ピク」
 女医の目が鋭くバンダナをとらえた。
 背後のユウがビクッと肩を震わせる。
「何スか?」
 薄ら笑いを浮かべて女医を挑発するバンダナ。
「ふんっ」
 女医は視線をおさめると、バンダナの浅知恵を歯牙にもかけない様子で、小さく鼻で笑った。
「いーわよ? どーせ勝てるはずないんだから」
 かかった―――バンダナは内心でほくそえんだ。
「OK! 商談成立っスね」
「ただし」
 バンダナの言葉を女医の一言がさえぎった。
「うちの剣次郎が勝ったら、速水(はやみ)くんたち兄妹(きょうだい)二人、私が顧問をしてる美術部主催の『上祭絵画教室』でヌード・モデルしてもらうから、そのつもりで」
 そーゆーの得意でしょ? 速水くんたち―――女医はしれっとした顔でそうつけ加えた。
「いっ……いやだぁぁぁぁーってばぁーっっ!!」
 思い切り首を横に振るユウ。
「てっ……てめェ、ユウ!! 敵に後ろを見せんじゃねー!?」
 途端にあわてふためくバンダナ。
「そっ……そんなねえ、僕ねえ、裸なんてねぇっっ」
「そりゃ負けた時の話だわ!!」
 敵の目の前で見苦しい内輪もめをくりひろげる二人……
「とにかくぅ、妹のやだってねぇ……」
 大事な妹の裸なんて、そんな約束できるわけないじゃん!!
 それ以上に、僕が恥ずかしいし……(けっきょく自分)
 妹を口実に、どうにか逃げ切るしか―――そんな作戦を思いついた、その時だった。
「……お兄ちゃん」
 それまでずっと押し黙っていたあやが、唐突にその口を開いた。

 あ、あや……

                                     第35話 終
速水兄妹VS美人女医のヌード対決!? 脱ぐのはどっち……?
次回、ヌードをかけた男と男の戦い。勝つのはいったい……?

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