あやの身を案じて医務室へとかけこむユウ。本当は妹思いのユウだった……
第33話 あんた兄妹なんだろ?
「あっ……あやーっっ、だっ……大丈夫!?」
ユウは必死の形相で医務室の扉を開けた。
あや、大丈夫なの、あや!?
「ちょっと!」
白衣の女医さんが、ムスッとした顔でユウを一瞥した。
「ここは医務室なんですよ。大声出さないで下さい」
騒がなくても軽傷です―――女医は机の上にカルテを放り出した。
「す、すいません、先生」
おたおたするユウにかわって、メガネが頭を下げる。
「―――んで、あやは……?」
ユウはおずおずと訊いた。
「見ての通り、ただのかすり傷です。なのに、この子ったら、ギャアギャア騒いで」
女医は不機嫌そうに言った。
あやは無言のままベッドの上にへたり込んでいた。
その顔は、不安と気まずさにこわばっていた。
「か……かすり傷って……頭に包帯してるじゃないですかぁー!?」
ユウは反論するように言った。
「んもぉうっ、一体、下手人はどこの悪ガキなのっ、もおっ!?」
地団駄を踏むユウの視界に、ゆらりと誰かの人影が映りこんだ。
「よォ、あんちゃん、また会ったな」
「きぃっっ……きみはぁっっっ!?」
見覚えのあるその顔を見て、ユウは思わず飛び上がった。
「ったく、そこのババアが因縁つけてきてウンザリしてんだよ。あんた、兄妹なんだろ? たのむよ、ホント」
「けぇっ……剣ジロォーォ!? ……クン」
な、な、なんでここに剣次郎くんが!?
まさか、あやをこんな目にあわせたのって、この子!?
「てっ……てめぇ、フン学のコゾォ!?」
一緒についてきたバンダナがのげそりながら声を上げる。
「おや、誰かと思えば、前に塾で教えてたバンダナのあんちゃんじゃないですか」
剣次郎はバンダナに向き直って言った。
「命おしかったら邪魔すんなや、コラァ!? またボコられてーんか? あ?」
何も言えずに目をそらすバンダナとメガネ……
「ま、そーゆーことですから、この件はもういーですね?」
女医は何事もなかったかのように立ち上がった。
「えっ……先生……でも、妹はケガを……」
「大したことないって言ってるでしょ」
女医はこともなげに言い放った。
「それに、あなた、相手は子どもよ? 子どものやめことにいちいち本気になってどうするの?」
「でっ……でも、悪いことは悪いってねっ、教えないとねっ、はいっっ」
必死になって訴えるユウ。
だが、女医のその美しい横顔には微塵の動揺も見られなかった。
「ったく、しつけーんだよ、アンタ」
「えっ」
ユウは剣次郎の言葉にふりむいた。
その瞬間、剣次郎の指が、ユウの耳と頬とにメリッと食い込んだ。
「なんなら、今ここで脳ミソ垂れ流しにしてやってもいいんだぜ? なあ、あんちゃん」
指先に力を込めてユウを締め上げる剣次郎―――
「ぐ……ぐぉぉ!?」
ユウの目に早くも涙がにじむ。
(お……お兄ちゃん……)
そんなユウの姿を見つめるあやの視線が痛々しかった。
第33話 終
下手人はやっぱりアイツだった……! 謝らせようとして逆にシメられてしまったユウですが……
次回、剣次郎に言うことをきかせようとするユウ。そこに意外な伏兵が……? おどろきの人間関係が明らかに。
【りさこのお知らせ】
このお話、もとは漫画として描かれたものだったんです、実は!!
下記のブログに漫画時代の画像をアップする予定なので、またちょくちょくご覧になって下さいね<(_ _)>
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