なし崩し的に進められる舞のヌード計画……そこに一人の男子学生が。そして、あやの身に異変が!?
第30話 たすけて、お兄ちゃん……!
「しっ、渋川先輩! ちゃーっス!! ご苦労さまっス!」
黒シャツに対し、いつになく緊張した面持ちで、最敬礼するバンダナ。
「あんのぉ〜、誰なんですかぁ、木村クン?」
怯えるバンダナにユウが訊ねる。
「Q研のおめさんは知らねーだろうけど、体育局内では知る人ぞ知るお方だだ」
バンダナはゴクッと唾を飲み込んだ。
「渋川先輩ってなぁ、居合いもやりゃあ柔術もやる、とにかく、そりゃあコエ〜先輩よ」
「うっ、うそでしょっ!? あのやさしそーな人が!?」
でも、よく見ると、腰にモノホンの日本刀、差してるし、舞さんもあの人にお辞儀してるし……
バンダナは言った。
「もし、上祭実行委がいかがわしー写真集を計画してるコトが先輩にバレてみろ、おめぇなんか、口に桜島大根ぶちこまれて、近くの神社の大木に、しめ縄で首を絞められて吊るされるだわ、ぷらーんって」
「だから、なんでボクなのっ!?」
必死で今の想像を打ち消そうとするユウ。
なんなの、神社で首吊りとかってっっ!!?
「そうそう、ちょうどいいところでした」
渋川先輩は、レンズについた土を払いながら、舞に向かって言った。
「自分、藤沢くんに確かめたいことがあったもので。これから少し時間をとってもらえないでしょうか」
「わ、私にですか!?」
舞の表情に緊張が走る。
「わ、わかりました」
舞は答えた。
「ありがとう。では道場で」
いつになく従順な舞を見て不安に駆られたユウは、思わずその後ろ姿に手を伸ばした。
そんなユウの首根っこを、バンダナが押さえつける。
「さっ、上祭の打ち合わせ、いくだぞ」
「ちょっ……お兄ちゃん、私……」
一人ほったらかしにされ、あきらかに不満顔の妹、あや。
「はいはい、ガキはうち帰ってファミコンでもしてな」
ユウの肩に手を回しながら、バンダナが言った。
あ、今、鼻で笑った……
(バ…バンダナの奴ぅーっっ……!?)
あやの顔色がみるみる紅潮する。
「へ……部屋の中のもの、勝手に触らないでよ、あや! じゃーねっ」
そそくさとその場を離れるユウ―――あやを置き去りにして。
お、お兄ちゃんの奴〜、それにあのバンダナ!!
「ったく、誰がガキよ!! 自分のほうがよっぽど子どものクセに!!」
湖畔沿いの道を歩きながら、あやは空に向かって叫んだ。
「ったく、偏差値低いクセに、態度Lよね!?」(死語)
ドンッ
すれ違いざま、誰かと肩がぶつかった。
「い、いったいわねー」
あやは相手を睨みつけて言った。
グシャッ
台詞をすべて言い終える前に、あやは何か棒のようなもので頭を強打され、前のめりにアスファルトの路面に倒れこんだ。
「るせーんだよ、ババア?」
血染めの竹刀を手に、路上に「ペッ」と唾を吐き捨てる男の子―――
背中の黒いランドセル……小学生?
い……痛いよぉ……血が……
額を伝い、ぬるっとしたものが流れ出し、視界をふさぐ。
たすけて……お兄ちゃん……!
第30話 終
渋川先輩の話が気になるユウ。一方、生意気な態度が災いして、小学生に返り討ちにあった妹・あやの運命は……?
次回、ついに舞がキレた? 美人を怒らせると怖い……
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