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一夜明けて、どうにか登校する舞。けれど、そこでも屈辱が……
第15話 恥ずかしい女……!
「メガネ、メガネ、メガネ―――っ」
 上諏訪(かみすわ)大学三号館一階に脳天気な叫び声が響きわたる。
「だーっ、いい加減、僕をモノの名前で呼ぶの、やめて下さいよっっ!」
 そう抗議するのは「メガネ」こと医学部二回生・浜ミキオくん(19)。
            (もう、お忘れでしょうけど…… ↑)
「わりー、わりー、高校時代からのクセだでよ! それよりも、メガネ!」
 人の話を全く聞いてないバンダナ男・拓夫。
 そして、「あっ、木村クン、どもぉ〜」と頭を下げる、子分のユウ。
「それでよ、メガネ。この『千佳と拓夫のえっち日記』なんだけどよォー、どーも印刷がイマイチなんだわ」
「だーっ、ンなモン、まだ作ってたんけぇぇぇ!? うっわ〜」
 拓夫の差し出した写真紙を見て、どん引きするメガネ。
 うわ、このマイホームの間取り、わざわざVisioまで使ってレイアウトされてる……
「ったく、ちゃんとここんとこの補正はかけたんですか!?」
「あっ……ウチの設定、そのままだっただわ」
 プースカ、ギャースカと議論する二人の横で、ユウはバンダナの「えっち日記」に見入っていた。
(そ……それにしてもよくできてるな、このCGとか間取り図とか……)
 恐るべし、バンダナのバイタリティ。
「いや〜すごいですねー、尊敬しちゃうっスー、木村クン」
 とりあえずお世辞に余念がないユウ。
「ユウ、おめ、なに言ってるだ?」
 なぜか不機嫌そうなバンダナ。
「今年の正月、おめがお年玉でスキャナー(※正しくはスキャナ)買いてぇってゆーから、つきあったずら!? おめ、人をつきあわせといて、アレからスキャナーとか全然つかってねーら!?」
「あっ……はい、そっ、そーでしたっっ!!」
「ユウくんのほうが早くからパソコンいじってるのに、木村クンより使えてないなんて、恥ずかしいだよ? こんなバンダナ以下なんて……」
 メ……メガネくんまで、そんなコトを……
「おめさん、いまだにフォトショップすら使えないだか!? ンなモン、やれば自然に覚わるだよ?」
「ユウくん、キミ、理工系ずら? 少しは勉強したほうがいいだだよ!?」
 ボ……ボクって周りからこんなふーに思われてたのぉぉー……!?
 ムスッとする二人を前に、思わず手を合わせてゴマすりポーズを作ってみせるユウ。
「えっ……えへっ……今度、使い方、教えて下さいっっ……なんて……」
 は、ははっと愛想笑いを浮かべながら、内心では
(しょーがないじゃん! だって、使う気おきなかったんだもん)
 などと、本音を叫ぶユウだった。
「おっはぴょ〜んっっ、みんな♪」
 険悪な場の雰囲気をやぶる千佳の声―――
「よっ、千佳! ……と、藤沢……」
 舞の姿を目にとめて、急激にトーンダウンするバンダナの声。
 直後、教室内が一瞬、どよめいた。
(ま……舞さん……)
 どんな顔で舞と対すればよいのかわからず、そわそわし始めるユウ。
 ブランドものの小洒落れたジャケットに、ボディラインを強調した大胆なデザインのプリント・シャツ―――TOMMY(トミー) HILFIGER(ヒルフィガー)
 舞は「ごくっ」と唾を飲み込んだ。
(あかん……みんなの視線、なんか、いつもとちゃう……)
 ジャケットを脱ぐのがためらわれ、そこに不自然な間が生まれた。
(ダメや……どんな服、着たって、みんな昨日のコト知ってるから……みんな、うちのコト、恥ずかしい女とか思てんねん)
 おずおずと上衣を脱ぐ舞の顔が紅潮した。
 去年のミス上大(じょうだい)なんて肩書き、いっそなければよかったのに……
 そんな自意識が舞自身を苦しめる。
 となりの席で明らかに落ち着かない様子のユウ。
 この気まずい空気……
「あ……あの」
 舞はチラッとユウの顔を見て言った。
「お、おはよー……速水(はやみ)……くん……」
 ビクッとして顔をあげるユウ。
(な、なに、今の? もしかして、僕なの!?)
 ようやく脳のシナプスがプチプチとつながったユウ―――
(は……は……初めて舞さんから、挨拶された―――っ!!)
 頭の中が喜びと緊張で真っ白になった。
 何を言っていいかわからず、頭を掻きながら照れ笑いを浮かべるユウ。
「ふ、藤沢さんっ! き、昨日は、ど、どもォ〜……」
 ひいっ!?
 ユウの言葉に舞の顔が青ざめた。
(あ、あのバカ、言わんでもいいコトを……)
 突然のことに、フォローのきっかけをつかめずに固まるバンダナ。
 ふ〜ん、昨日……ね……。
 そんな空気が教室全体に広がった。
 は、速水くんのアホ!!(もう、イヤや!)
 今にも泣き出しそうな舞の視線が痛い―――
 わー、余計なコト言っちゃった、ごめんなさい、ごめんなさいっっ―――
 詫びとも独り言ともつかない叫びをくりかえす、パニック状態のユウ―――
 あまりのユウの不用意さに、もはや打つ手なしといった(てい)の拓夫と千佳……。

 破局……だなやぁ……

                                     第15話 終
完全にプライドを失ってしまった舞。そこに追い討ちをかけるユウの不用意発言……
次回、上諏訪大学の学祭をめぐる新たな計画とは……?

【りさこのお話】
なお、舞の愛用ブランド、トミー・ヒルフィガーの2008年、NY秋コレ動画は最高にファンタスティックです☆彡
公式ホームページから入って、ぜひご覧になってくださいね(^^♪
りさこの公式ブログです☆ 気になるお話、いっぱいです♪
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