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奏子と芹沢の共演を衛星放送で鑑賞する一人の男。それは……
第149話 ライフドゥア・インベストメント
「でも、すげぇじゃん。今度の藤沢愛子のやつ、この二人でやるんだろ、金澤(かなざわ)奏子(かなこ)芹沢(せりざわ)広務(ひろむ)? 妙なところでキャスティング、凝ってるよな」
 正江(まさえ)はプラズマテレビの大画面に見入っていた。
 衛星放送で流されたエルランゲン・フィルと芹沢広務の共演番組。
 正江は感心ひとしきりといった感じでリモコンを置いた。
「俺、実は浜迫あゆみの新曲も買ってんだよ。いや、いいねぇ、オーケストラ」
「おまえ、浜迫あゆみのファンだったっけ?」
 そばの友人―――高部―――の問いかけに正江は「いや」と首を横に振った。
「テカ、ピアノのほうだよ、ピアノ。ほら、藤沢愛子の姉」
「マジかよ、おまえ」
 高部は口元をゆがめて笑った。
「あの女、マジ性格悪いって。すんげえクソ生意気でさ」
「あ、そうなんだ? ふーん」
 正江はいくぶんおどろいた様子で高部の顔を見た。
「テカ、なんでおまえが知ってんの?」
「前に合コンでちょっとな」
 高部は忌々しげな表情で言った。
「そこにドブネズミの鈴木がいてよ、マジむかついたわー」
「ああ、あいつ、なんか専務だっけ? ベイベックスの」
「社長だよ」
 高部は吐き捨てるように言った。
「今つきあってるあやって子が、たまたま藤沢舞の知り合いでさ。なんか、藤沢舞から聞いたって得意げにしゃべってんだよ」
「じゃ、また上がるな、アーニングサプライズで」
 正江はパソコンのチャートに目を移した。
 ベイベックスの株価―――月足の軌跡がグラフとなって表示される。
 ライフドゥア・インベストメント・マネージメント代表取締役社長CEO―――それが正江の肩書きだった。
 高部とは高校時代からの付き合いだった。
 その高部がもちこんだ情報―――ベイベックスの株価を左右するトップ交代劇。
「俺、実はレコード会社とか興味あるんだよね」
 正江は唐突に言った。
「買えねーかな、ベイベックス。ちょっと高いよね、今?」
「その気になれば無理じゃねーって」
 高部は不敵な笑みを浮かべた。
「へえー」
 正江は目を輝かせた。
 まるで少年のように……

                        第149話 終
動き始めた策謀。ベイベックス買収の切り札とは……
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