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下着同然で廊下に出て行ってしまった舞。明らかに様子が変です……。
第12話 堕ちたミス上諏訪大学
 部屋を出た舞は、荒い息に胸を上下させながら、ふらふらと廊下を歩いていた。
 足元がおぼつかず、左手を壁につきながら―――
「キャー、舞!?」
 廊下にひびきわたる寮生の声。
「あ、あんた、なんちゅーカッコしてんねん!?」
「ユ……ユカ……!」
 のけぞらんばかりに動揺中のユカを前に、舞は「ひっく」と胸をしゃくりあげた。
「うっっ……!」
 にわかにこみ上げてくる喉の異物。
 舞は思わず胸に手を当てて、前にかがんだ。
「まっ、舞!?」
「おっ……」
 舞の口元に、何かよだれのようなものがはみ出した。
「おえええぇぇぇぇ――――……」
 うつろな目を見開いたまま、エレエレと口から大量の胃液を垂れ流す舞……
「ひいいいーっ、あっ……あっ……あの舞が、吐いてもうてるぅぅぅー!!?」
 目の前の光景が信じられず、うろたえるばかりのユカ。
 舞はなすすべもなく、自らの吐瀉物(としゃぶつ)の海に両膝をつき、片手を壁についてどうにか体を支えていた。
 あっ、あっ、あ、あ―――……
 止まらないゲロ―――なすすべもなくそれを垂れ流す。
 昨年度のミス上諏訪(かみすわ)大―――藤沢 舞。
 びちゃ、ぴちゃと飛び散る胃液―――それがようやく途切れた時、舞はクラクラとよろめいて、ゲロまみれの床に両手をついて前屈した。
「ユ……ユカ……うち、うち……」
「ひィー、よらんといて、舞―!! ばばっちぃーっっ! あんた、めっちゃすっぱいねん!!」
 ぷーんとにおうゲロ臭を振り払いながら、ユカは舞から身を遠ざけた。
 その声に気づいた寮生たちが、次々と部屋から顔を覗かせる。
「うそっ、藤沢先輩!?」
「げっ、舞ちゃん!?」
 ショックを隠しきれないジャージ姿の絵里子。
 舞はユカに哀願の目を向けて訊いた。
「ど、どないしよー……コレ……」
「早くトイレ行けってぇの!!」
 突き放すようなユカの言葉。
 みーみーみー
 そこに聞こえてきたのは、かわいい仔ねこの声。
 それを抱いて現われた、悪趣味な髪型のでぶったおばちゃん―――
「くっさいだね。お酒……のんだだね?」
「たっ……武居(たけい)寮長!?」
 寮生の顔が一様にひきつる。
 ゲッ……武居のババア……!
 陰から見ていた千佳の顔色が変わる。
「おぇ、コラ、ユウ! しっかりするだ!」
 その後ろで、必死になってユウを介抱する拓夫。
「あらあら、まあまあ、おやおや」
 おばちゃんは、もったいをつけて言った。
「年頃の娘が裸みたいなカッコで、へぇ、親の顔が見てみてぇもんだわ」
「先生、舞ちゃんはそんな……」
 絵里子がおずおずと弁解を試みる。
「す……すいません、寮長先生……ひっく」
 舞は何も言い訳しなかった。
 口から喉にかけて吐瀉物をしたたらせながら、それでも甘んじて罰を受けいれようとする態度がいじらしかった。
 
 みーみーと鳴く仔ねこの背をなでながら、寮長は無表情な顔で、舞の言葉を聞いていた。

                                     第12話 終
ゲロまみれのミス上諏訪大。寮生が注目する中、寮長に謝りますが……。
次回、武居寮長の恐怖のお仕置きが舞を直撃!? その屈辱的仕打ちに舞は……?
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