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第4話:脱出その後と生徒会
「「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!?」」

ドシーンと言う音を立てて、翔と澄は地面に尻餅をついた。

「いたた……。」

澄が顔を歪める。翔がなんでワープして落ちるんだ? と思いつつ周りを見渡す。

「なんなんだ、此所は……?」

見るとそこは、かなりの大きさのホールのようであった。優に野球くらいは出来るだろうと思う広さだ。

「澄、大丈夫か?」

「うん、大丈夫だけど、此所って……。」

澄がそう言い掛けると、さっき聞いたばかりの声が聞こえてきた。

「おめでとうございまーす、一番乗りでーす♪」

そこには我らが担任、外見は中学生にしか見えない教師。霜月 奏が立っていた。

「え? とすると、此所は体育館……なのか?」

「そうですよ? あれ? 地図どうり来たんでしょ?」

「いや、俺らはワープポイントから降って来たんですが……。」

「ワープポイント? うーん……体育館に繋がる物はなかったと思うんですけど……それは何処のですか?」

訝しげに二人を見る奏に、澄が答えた。

「それがですね、砂の石像とか竜みたいなのとかいるところなんですが、学校の地下じゃないかなと思います。結構降りましたけど。」

それを聞いて奏は頬を膨らませる。睨んでいる様だが全く怖くない、むしろ和む。

「先生をからかわないでください!! そりゃあちょっと体は小さいですよ? でも、かなは大人です!! 十九です!! お酒だって飲める年です!! そんなことが嘘だってのはわかるんですよ!?」

翔は心の中で、いやどう見ても中学生だろう、とつっこんだが、それをいったら泣きそうなので止めておく。酒は二十までだめな事は補足しておいたが。

「からかってないですよ、本当なんです。ね? 翔君?」

「はい、本当ですよ、ワープ出来なきゃどうなっていたかわからないです。」

二人の真面目な顔に奏も少し考えてから言った。

「うーん、篠原君も御島さんも、面接と内申を見る限り優等生見たいですし……わかりました信じましょう♪」

奏はそういってニコリと笑う。物分りの良い先生で二人は安心したように笑った。

「理事長に相談して見ますが、口外しちゃダメですよ? この学校はまだわかってない事があるみたいですし。」

「「はい、わかりました。」」

二人は声を合わせて返事をする。奏は満足したように頷いた。

「それより……ふふふっ。」

奏は今度は口に手を当てて笑いだした。からかうような、なんだか嫌な笑い方だ。

「なんですか、いきなり?」

翔が奏の変化に気付いて反応する。

「篠原君が御島さんをお姫様抱っこかぁ。その地下とかいうとこで何があったのか、すっごく気になりますねぇ?」

それを聞いて翔と澄はお互いを見る。その一瞬で澄の顔が赤くなった。

「あ、悪い。」

「私こそ、気付かなかった……。」

二人は物凄いスピードで離れて、お互いに謝罪した。

「照れなくてもいいのにぃ♪ でもそろそろ皆もくると思うから、あんまりイチャイチャしてちゃダメだよ? 特に男子には眼の毒だし、私だって彼氏いないんですからね?」

「先生誤解です。」

「そうですよ!? 翔君は私が怪我したからそれで……。」

「ふふふっ、初々しくて良いですねぇ♪ さて、私は生徒の誘導でも手伝おうかな……んじゃぁねぇ♪」

「……翔君……。」

澄が翔の制服の袖を掴んで話しかけてくる。心無しか瞳が潤んでいて翔はドキッとしたが、奏のせいだと責任を押し付けた。

「なんだ? そんな捨てられた子犬見たいな眼して。」

「そ、そんな眼してないよ!! ……私が方向オンチって誰にもいっちゃダメだよ?」

澄の言葉に翔は何故? とでも言うように首を傾げた。それを見て澄は少しムッっとしたように頬を膨らませた。

「恥ずかしいから言わないでっていってるのっ!!」

「……言わないよ、何の得にもならないしな。」

「そ、そう?」

そんなに恥ずかしがる事かな? と思ったがそれは人それぞれ違うのだろうと納得した。

「にしても、あれだな、遅れると思ったのにまさか一番乗りするとはな、ワープポイントあって助かったよ。」

「そもそも、なんであそこにワープポイントがあるのかがわからないわ、誰が使うのよ? 私達使ったけど……。」

澄のもっともな意見に翔は何も言えなくなってしまう、確かに疑問だらけだが、あって助かった事には変わりない。

「まぁ、光明だもんなぁ。」

「普通に中級がウロウロしてる学校なんて嫌よ、私。」

澄も疲れているようだったし、翔は学園理事長の言葉が長くならない事を祈った。






学園理事長の言葉はなんていうか唖然となった。担任にも驚いたが理事長も若いの何のって、自称二十歳なのに全く違和感を感じないっていう若さで、話始めが、

「お前らぁぁぁぁぁ!! 青春してるかぁぁぁぁぁ!!」

と言うノリだった。なんだか凄くおしとやかそうな人だったが、入学式だしかなりテンションが高かったのだろう。何故理事長のテンションが高いのかは謎だが。

「こら、翔? 聞いてるの?」

翔はそういわれて優が話しかけてきているのに気づいた、勿論全く聞いてなかったが。

「あ〜、悪い、何だっけ?」

翔がそう言うと、優は呆れたように額に手を当てた。

「だから、私達とはぐれて何処行ってたの? って聞いてるのよ……。」

優の問いに普通に答えそうになったが、口外をしないようにと奏に言われたのを思い出した。

「いや、別に普通に迷ってたけど?」

「なんで迷ってるくせに私達より早く、それも一番乗りに来れるのよ?」

翔は、それは俺が知りたいと言ってごまかした。

「そうそう、篠原君、同じクラスの……御島さん、だっけ? と一緒にいたしさ♪」

魔夜はニヤニヤしながら問詰めてくる。翔はなんで優がいる前でそういうことを言うんだろうかと疑問に思った、というより主に恨んだ。

「別に澄は関係ないだろう? それに偶然先回りしちゃっただけだよ。」

翔としてはそれしか言い様がない、学校の地下のワープポイントが何だと言う訳にはいかないのだから。

「御島 澄さんですかぁ……翔さんや優ちゃんと同じで、推薦で入った秀才らしいですよ? 何でも、もう生徒会の役員に勧誘されてるって聞いてます、凄いですよねぇ……。」

「へぇ、詳しいな。」

生徒会の推薦……確かに凄いと翔も思った。この学校では選挙の他に生徒会推薦と言う枠が2人分あり、それは生徒会や理事長が生徒を推薦して、了承しだい生徒会に迎え入れるといったシステムだ。ちなみに今までこのやり方で生徒会に入った者は、大体が3年で会長を勤めている。

「生徒会かぁ……翔、私達もやってみない?」

「嫌だよ。ダルいし、面倒だ。何より目立つ。」

「そう言うと思ったわ、でも部活はどーせやらないし、生徒会に入っとくと色々面白そうじゃない? 私やりたいなぁ。」

「篠原君? 姫は貴方も一緒がいいらしいわよ?」

魔夜はそういってクスクスと笑った。翔としてはあまり面倒な事はやりたくなかったので絶対に断る気でいたが。

「知らん、魔夜が一緒にやってみたらどうだ?」

「うーん、私も目立つのはなぁ……。」

自分で言っといてこれか、と翔は呆れた。まぁそもそも翔や魔夜はすでに目立っていたのだが。

「まぁそれは置いといて、その御島さんの事だけど……。あー、翔は澄って呼んでたっけね……?」

「……いや、澄がどうかしたか……?」

一歩引いて身構える。優からは明らかな殺意が滲み出ている。全然隠しきれていない。隠す気すら皆無だろう。

「お、篠原君を巡る抗争が始まるのかな?」

被害にあうのは主に翔であるし、なんでこんなに色々言われなくちゃいけないんだろうかと考えつつ、面白がって煽っている魔夜を恨めしげに見た。

「翔さんモテそうですしねぇ、優ちゃんも大変です。」

「美里も止めてくれ、あと優もその光球どっかにしまえ……。そして美里、そう言いつつ何か雰囲気が怖いぞ?」

翔が懇願すると優は渋々手のひらに作った光球を消した。美里の雰囲気は変わらなかったが。ちょうどその時、少し遠くから先ほどまで一緒であった少女の声が聞こえてきた。

「あーいたいた、翔く〜ん。」

「澄か、どうしたんだ?」

「奏先生に呼ばれてね、翔君も呼んで来てっていわれたのよ。」

奏先生に呼ばれる、ということは地下の事かと翔は推測した。

「ああ、すぐに行こう。……澄?」

訝しげに澄を見た翔に、澄は優達をじぃっと見つめて言った。

「翔君って、結構女の人にだらしないの……?」

「はい……?」

翔は澄に、一体何を言ってるんだろうか、と疑問を感じた。まぁ確かに今は一緒にいるが、何故そういう疑問にいたるのだろうか。

「翔さん、確かに男性の友人より女性の友人の方が多そうですよねぇ……。」

「あーもうその話はいいから行くぞ、澄。」

「あ、ちょっと翔君!! 待ってよぉっ。」

翔は逃げるように去り、澄も翔を追いかけて行ってしまう。そんな二人を見送って、優達は首を傾げた。

「なんであの二人だけ呼び出されるのかな?」

「翔がなんかやらかしたのかしら?」

優達は首をかしげてクラスに戻る。優も美里も相変わらず不機嫌だったが、魔夜はそれをいさめるつもりは毛頭なかった。


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