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黒姫の魔導書 作者:てんてん

第3章 活躍と暗躍は大親友

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第21話 いつもの風景

 次の日、レネは予想通り全身に痛みが走って動けなくなっていた。杜人はそれを見越して昨日のうちにエルセリアとセリエナを呼んでいたので、動けなくても何とかなっている。

「はい、あーん」

「あーん」

 エルセリアはかいがいしくレネの世話を焼いていて、着替えから食事の世話まで、どこで学んだと言いたくなるくらい熟達した動きをしていた。レネは少し恥ずかしそうにしてたが、身体がまともに動かない以上仕方が無いとそれを受け入れている。それでも多少嬉しそうにはにかんでいた。

『セリエナはやらないのか』

「大惨事になっても良いならやりますが」

 杜人の問いにセリエナはちらりと視線を動かして淡々と答える。

 セリエナは出された飲み物を飲みながら、持ってきた教科書を座卓に広げて勉強している。元貴族のセリエナに介護を行えるはずもなく、手伝いすらできない。レネもできないので、この場合はエルセリアのほうがおかしいのである。

 杜人はレネのところに行き、状態を見てみる。朝よりは動けるようになっているので、明日になれば痛むだろうが自力で動けるだろうと判断した。そしてレネの手の届く範囲で、わざとらしくため息混じりにエルセリアに話し掛けた。

『済まないな。せっかく俺が手取り足取り腰取り世話をしようとしたら嫌がってな。シャンティナも動けない者の世話は慣れていないものだから助かった』

「当たり前で……あうぅ」

「まだ急には動けないから駄目だよ。私はレネと一緒に居られて嬉しいので気にしないでください。はい、あーん」

 レネはいつも通り捕まえようとしたのだが、身体に走った痛みで変な格好で硬直してしまう。それをエルセリアが微笑みながら元に戻し、食事の続きをレネに差し出す。レネはじとりと杜人を見てから、笑みを浮かべてそれを食べていた。

「それにしても、見えないし触れない魔物によく勝てましたね」

『なぜか触れるシャンティナが居たし、開発していた霊気系魔法がよく効いたからな。あれが無ければ死んでいただろう。つまり、レネは俺にもっと感謝すべきなのだ!』

「……はぁ、言わなければ良い人でいられるのに」

「あはは……」

 セリエナの感心を含んだ問いに杜人は無意味に回転しながら答え、レネは困ったものだとため息をついた。エルセリアも困ったような笑みを浮かべたが、何も言わなかった。

「そういえば、結局魔法具を捨てた犯人は分かったの? 死にそうになったから文句言いたいんだけど」

 レネは言葉とは裏腹に軽くエルセリアに聞く。死にそうだったのは本当だが、真の意味で命の危機を感じなかったレネにとって、今回の扱いはこの程度である。

「国がこっそり動いたという噂は聞いたけれど、実際どうなったかまではさすがに、ね」

 エルセリアは言葉を濁し、これ以上聞かないでねというように微笑んだ。レネが関わったことなので調べてもっと詳しく知っているのだが、機密が含まれるので簡単に言うわけにも行かず、レネに隠し事をしたり嘘をついたりしたくないのだ。

 レネもそれを理解して仕方が無いかと頷き、セリエナも理解できるのでこの話題はここまでになった。

「けれど、本物の死霊に特効の魔法ですか。売れそうに無いですけれど、論文を提出するのですか?」

 今現在、生きている者に害を与える死霊は『群れ集う死霊の王』のみである。それも今では物語だけに出てくるもので、実際に見たものは居ない。迷宮に出てくるものはどんなに似ていても魔物なのだ。それなりにその他にも効果があるとはいえ、購入してまで憶えるかと言われれば疑問である。

「一応そのつもり。といっても理解できないだろうから普及は無理かな。それに私が扱って上級だから、他の人が扱えば特級、魔法具頼りなら天級になるような気がする。せめてモリヒトの使う霊気槍が解析できれば……」

『ふふふ、苦労して形にしたのだから、そう簡単に理解されてたまるか』

 髪をかきあげて得意げに笑う杜人に、その場に居た全員がその気持ちを理解できるのでそれは残念と微笑んだ。

 レネが扱う霊気系の魔法は杜人の霊気系の魔法とは似て非なるものである。そのため同じような霊気槍を作っても、杜人が使う霊気槍のような効果は得られない。どうしても実体のほうにも影響が出てくるものになってしまうのだ。そのため霊気槍に関しては肝心な部分を丸写ししている状態であった。

 大急ぎで構築した霊破障壁も、杜人の霊域結界と異なり実体にも効果が現れてしまう。そして目に見え実感できるのは実体に対する効果のほうなので、普及している魔法を使用したほうが効率が良いと判断されてしまうのだ。誰もが効果を完全に把握して使うわけではないので、見た目で分かりにくいものは売れないのである。

「もしかしたら将来必要になるかもしれないし、登録しておけば無駄にならない程度に考えるよ」

「そうだね。あ、後で教えてね」

「私にも教えてください」

 こうしてレネにとっての一連の騒動は、あまり気にかけることも無く終了したのだった。




 そして数日が経ち、復活して論文も無事提出し終えたレネは、レゴルに呼び出されてシャンティナと共に屋外の訓練場まで来ていた。引きこもりも終了しているので、学院内では普通に姿を出している。

 そこでレネは、言われるままに論文で提出した魔法とその他にいくつかの魔法を使い、それを見たレゴルはいつもの厳つい顔に笑みを浮かべることも無く頷いていた。そして手に持った書類になにやら書き込むと、それをレネに差し出してきた。

「これを事務局に提出するように」

「え? はい」

 何を見たかったのか理解していないレネはきょとんとしながらも書類を受け取る。そしてレゴルと別れてから書類を見たが書類番号とレネの名前、複数人のサインのみで内容が一切書かれていなかった。

『何だこれは?』

「何だろう……。初めて見るよ」

 一枚だけの書類を裏返したりして何度見返してもそれだけしか書かれていない。まさしく謎の書類であった。

「サインはレゴル先生と館長のがあるね。他はわからないなぁ」

『さっきは論文の魔法を確認していたのだから、それに類する何かだと思うが。まあ、行けば分かるだろう』

 それもそうだとレネは頷き、シャンティナを伴って事務局へと向かった。そして空いている受付に首を傾げながら書類を提出した。

「すみません。これをこちらに提出するように言われたのですが」

「はい? ……ああ、少々お待ちください」

 女性の事務員は書類を見て納得し、奥へと移動していった。

『わけの分からないものでは無いようだな。良かったな、いきなり退学とかの書類じゃなくて』

「ほんと、ありえないけどね」

 杜人の冗談にレネも小さく微笑む。出会った当初なら冗談にならないが、今のレネを学院が手放すとは思っていないからこそのやりとりである。

 そんなに時間は経っていないが、今のレネは杜人とのやりとりによって周囲を知り始めたことと、いくつかの難関を乗り越えたことで、自分の才能にそれなりの自信を持ち始めていた。

 そうして待っていると、先程の女性事務員が微笑みを浮かべながら書類を持って戻ってきた。そして言われるままにいくつかの書類にサインをする。そして最後に女性事務員は優しく微笑みながら何枚かの書類と赤いリボンをレネに差し出した。

「これで手続きは完了です。おめでとうございます」

「ありがとうございます?」

 当たり前のように言われたので何がと聞き返すことができなかった。そのためレネはとりあえず礼を言ってその場を後にした。そして歩きながら渡された書類に軽く目を通す。

「なになに、……上級魔法使い認定証?」

『ほう?』

 レネは飛び込んできた文字を見て足を止め、そのまま書類を読み進める。周囲の人達は通路の真ん中で立ち止まっている者に対して邪魔そうに視線を向けるが、それがレネと分かると微妙に顔を引きつらせて端のほうに避けて歩いている。

 そんな状況に気付くこと無く、レネはなめるように書類を読み進めた。

「……間違いない。認定番号もあるし、学院の印もある。本物だ」

『おいおい、試験はしなくても良いのか?』

 杜人は力が抜けた声を出す。せっかく上級認定試験に向けて努力してきたのにと、良いことのはずなのに何となくがっかりとした気持ちになった。レネはそのまま書類を読み進め、最後の書類を見てやっと納得して頷いた。

「そっか、臨時昇級制度のほうか。あのね、この学院では一定以上の評価がついた論文を提出した場合、要件を緩和した昇級が認められているんだよ。普通はありえないから、あることをすっかり忘れていたよ」

 この学院では多種多様な人が学びに訪れるため、等級と実力が合わない人も出てくる。そのためいくつかの臨時昇級制度が設けられていて、今回のものがそれに該当していた。

 今回のものは、上級魔法を使えなくても上級魔法の術式をきちんと扱えることを証明した者を対象としたものである。必要要件が上級以上の論文を複数提出することと、上級魔法使いとして最低限の魔法を扱えることである。この場合は道具頼りでも問題ない。上級魔法の術式を構築できる優秀な人材を、その程度のことで逃す理由が無いからである。

 ありえないというのは、そんなに簡単に認められる論文が出てくるわけが無く、それができる者は普通に昇級していくので今回の認定の出番が無いためだ。

 昔は頭でっかちで視野が狭く、画期的な魔法も思いつかなかったので論文を提出すること自体考えられなかった。そのためレネの頭からそんな制度があったことがすっかり抜け落ちていたのだ。

 レネはしまっていた赤いリボンを取り出して見つめる。そして夢にまた一歩近づいたと嬉しそうに微笑んだ。

『なるほどな。レネが忘れていると分かっていて、向こうから動いたわけか。後で手土産を持ってお礼に行かないとな。……ところでレネ、いつまで往来で立ち尽くしているつもりなんだ? そんなに注目を浴びたかったとは知らなかったぞ』

「え? ……あうぅ、ばかぁ!」

 によによと笑う杜人に言われて、やっとどれだけ目立っているかを自覚したレネは、耳の先まで真っ赤になりながら全速力でその場を立ち去った。シャンティナもいつもの無表情でそれに追随していく。もちろん余計に目立ったことは言うまでもない。




 そして後日、レネの昇級お祝いという名目のお泊り会がジンレイの屋敷にて開催された。出席者はいつも通り、エルセリアとセリエナ、それに加えてシャンティナである。

「だからね、ここがこうなると反応が速くなるんだよ」

「じゃあ、こっちをこうしたら別になるのかな?」

「それだと一気に種類が増えますね」

 食事も終えて、レネ達は和室にて勉強をしていた。座卓には飲み物としてソーダフロートが置いてある。

 全員寝巻き姿でレネから霊気系術式の理論を聞きながら色々試しているわけだが、杜人が夢見る光景はまったく無かった。唯一、話に参加しないで嬉しそうにソーダフロートを飲んでいるシャンティナがその夢に一番近い辺り、人選を間違えたとしか言いようがない。

『……もはや希望はないのか』

 杜人は見た目と異なり思わず世話を焼いてしまいたくなるシャンティナが参加したことで変化があるのではと期待したのだが、そんなものは幻想だと現実を突きつけられたところであった。そのため背中をすすけさせながらため息をつき、座卓に寝転がると世の無常を儚んだ。

 そしてそんなことをしている間に、いつの間にか話題は先日の角骸骨のことに移っていた。

「けど、どうやったらあんな魔法具を作れるんだろう?」

「作ったというより、偶然が重なり合った呪いじゃないかな。意図的に作るのは難しいと思うよ」

「髑髏面ですよね? 悪趣味ですし、元々生贄などを捧げる闇組織で使われていたのかもしれません」

 それを聞いた杜人は起き上がるとジンレイにおやつを出すように指示をして、レネのところまで移動する。

『元は違うものかもしれないぞ。彷徨う扉と似たような能力を持っていたし、彷徨う扉も本体は扉ではなくなっていたからな。長い年月で似たようなものを吸収して変質した可能性が高いと思う』

「あれはどちらかと言うと、他者に対する憎悪の塊ですね。私のようにひとつの事柄にこだわっていた存在とは、在り方から違います。どうぞ、バニラアイスです」

 いつの間にか現れたジンレイは、そう言うと一礼して下がっていった。レネ達は喜んで出されたアイスを食べ始める。話題も真面目にしていたわけではないので簡単に移っていく。

「なんにしても、無事帰ってこれたから良いけどね。……えへへ、やっぱりおいしい」

『まったくだ。怯えて泣き叫び、俺を握りしめて放さなかったレネを苦労して説得した甲斐があったというものだ』

 杜人は腕を組みながら大げさに頷く。レネは笑顔を固まらせると、羞恥で真っ赤になった顔をそらしながら反論した。

「な、なに言ってるの。叫んでなんかいなかったでしょ」

『そうだな、怯えて泣いて握りしめて放さなかったと訂正しよう』

 杜人はからかうように明るく笑い、下からレネを見上げる。その反撃にレネは更に顔を赤らめて俯いた。それは本当のことであり、嘘をつきたくないので否定できない。もちろん杜人は分かっていてわざと隙を作っていた。

 小さくうめくレネを見ながら、エルセリアとセリエナは当日のその光景を脳裏に鮮明に描くことができた。そのためわざわざ話題に出した杜人に、微笑みながら仕方が無いなぁという視線を送っていた。

『それに、何度見ても涙を浮かべて震える姿は……』

「うきゃあー! それ以上言うなぁ! ……あれ?」

 恥ずかしさに耐えかねてレネは杜人を捕まえようとするが、途中で腕を何かに柔らかく掴まれたような感触があり、それ以上腕が動かなくなる。

『ふふふふふ、これぞ新魔法【不可視念手】なり! これを使えば俺もタマに頼らずに色々干渉が可能なのだ。ちなみに見えないことが重要なため、魔法陣も不可視化処理を行っている』

「あ、あはは、えっと?」

 杜人はにんまりと人の悪い笑みを浮かべ、レネは嫌な予感がして汗を掻きながら背を後ろにそらす。

『思えば、最近やられっぱなしであった。やはり、ここは一発がつんと示しをつけるのが、男として正しい在り方ではなかろうか?』

 笑いながら杜人は問いかける。もちろん答えは求めていない。

「そ、そんなことは無いと思うよ? やっぱり男の人は包容力が大事じゃないかなぁ」

 レネは固まった笑みを浮かべながら、そろりと腰を浮かし逃げる体勢を作る。もちろん杜人も分かっているが何も言わない。

『安心しろ。いつもされている通り、優しく揉みほぐしてあげよう。……いつまでも、やられる俺と、思うなよ。戦争じゃー!』

「わぁーん! ごめんなさーい!」

 涙目で逃げ出したレネを杜人は笑顔で追い掛け回す。その際に惜しいところで逃したように、不可視念手をわざと身体にかすめさせることも忘れない。

『わはははは、待て待てー』

「待つわけ無いでしょばかぁー!」

 しばらくして、レネが足をもつれさせて転び、追いかけっこは終了した。浮かんでいる杜人が上からにこりと笑うと、レネも引きつり気味ににこりと笑った。

「は、話し合わない?」

『うむ、分かった。……後でな』

 杜人は笑顔で頷くと、不可視念手を伸ばしてくすぐりの刑に処する。

「きゃははっ、やめっ」

『ふふふふふ、ここか、ここが弱いのか?』

 レネは笑いの涙を流しながら身をよじらせる。それを見ながら、杜人は実に良いと笑顔でしばらくの間くすぐり続けた。

「あははははっ。……アイスあげるから助けてぇー」

『そんなものに釣られる者が……おろ?』

 杜人が笑顔で遊んでいると、いつの間にか後ろにいたシャンティナが杜人を捕まえ、頭上にある不可視の魔法陣をあっさりと握りつぶした。それでくすぐりの刑からやっと解放されたレネだったが、すぐには起き上がれずに息も絶え絶えになりながら横たわっている。

『こ、こら、何をしている』

「護衛対象からの救援要請。報酬付き」

 わけが分からない杜人にシャンティナは理由を淡々と説明し、やっと復活して起き上がったレネに杜人を引き渡した。レネは笑いの余韻で出てきた涙を拭いながら受け取り、にっこりと微笑んだ。

「ありがとう。やっぱり頼りになるね。これからもよろしく。私のを食べて良いよ」

「はい」

 引き渡したシャンティナは嬉しそうにリボンを動かすと、そのまま席に戻ってアイスを食べ始める。もう関心はアイスにしか向いていない。

『何てことだ。こんな理不尽が許されて良いのか……』

 杜人はその様子に呆然と呟く。アイスを出すように指示をしたのは杜人であり、それを使って買収されたのだ。間抜けとしか言いようがない。そんな杜人にレネは実に良い笑顔を向け、杜人も引きつり気味の笑みを浮かべた。

「何か言いたいことはあるかな?」

 しっかりと掴まれて逃げることもできない杜人はもはやこれまでと覚悟を決め、咳払いをして手をわきわきさせながら、満面の笑みでレネの問いに答えた。

『あー、こほん。……柔らかくて実に良い触り心地でした』

「うん? ……!?」

 途中まで意味が分からなかったレネは不思議そうに首を傾げたが、理解した瞬間に湯気が出る勢いで真っ赤になった。そんなレネを杜人は実に良いと愛でる。

『というわけで、今後ともよろしくぅぅぅぅ!?』
「ばかぁー! ばかばかばかぁー!!」

 羞恥で首元まで朱に染まったレネは、沸騰した勢いそのままに容赦なく攻撃する。そして全てが終わって解放された杜人は、いつも通りぽてりと床に落ちた。しかし、今回は珍しく震えながら身体を起こす。

『これぞ男の生きる道……がくり』

「ふんだ、ばか」

 親指を上にあげ笑顔で倒れた杜人を放置して、レネは頬を膨らませたまま座卓に向かった。威力はいつも通りなので、倒れたのはもちろん演技である。

 そんな二人をエルセリアとセリエナは本当に仕方が無いなぁと温かく見守っていて、シャンティナはリボンを勢い良く振りながら気にすることなくアイスを食べ続けていた。




 こうしてレネとシャンティナの知られざる活躍によって世界の平和は保たれ、悲劇は幕を開ける以前に消え去った。レネは事の重大さを認識しておらず、誰も見ていないのでどこにも記録されないことになる。そしてこれ以降、『群れ集う死霊の王』が現れることはなかった。

 反抗組織も壊滅したため警備体制も元に戻っている。そして事件の副産物として、裏組織には密やかにひとつの掟が生まれていた。それは『殲滅の黒姫には手を出すな』である。手を出せば知らないうちに文字通り殲滅される……真偽は分からないが、国一番の組織が手を出し始めたら、いつの間にか壊滅していたのは事実である。そのため彼らはわけが分からず恐れおののいたのだ。

 もちろんこうなるように誘導したのは各組織に入り込んでいる情報機関員であり、結局彼らは闇に隠れたまま表に出ることは無かった。

 活躍の裏に暗躍するものあり。レネにとっては大変不本意なことながら、治安に利用されたため殲滅の黒姫の異名が消える可能性はほぼ無くなったのだった。

 レネがその事実を知ることは、まず、ない……はず。
お読み頂きありがとうございます。
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