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黒姫の魔導書 作者:てんてん

第3章 活躍と暗躍は大親友

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第06話 にじり寄る恐怖

 レーンの王都、その中央には巨大な白亜の王城がある。改修を繰り返されてきたので姿は変わっているが、王城がレーンの中心であることは変わっていない。その中の一室で、本来はありえない話し合いがもたれていた。

「とにかく索敵範囲が広いのか勘が良いかは分かりませんが、迷宮内では視界に入る距離まで近づくとすぐに振り向きます。問題は、誰もいないと分かると問答無用であの炸裂する魔法が連射されてくるということです。そして即座に逃げて、疲れを知らないかのように走り続けます。これではいくら命があっても足りません」

「その他のときはどうだ?」

「迷宮以外では近くまで寄っても大丈夫です。ところが、今度は殺気を軽くぶつけても気が付きませんでした。これではいくら命があっても足りません」

 言葉は同じだが、前者は護衛、後者は護衛対象であるレネの命についてである。ここはレーンの情報機関の執務室で、居るのはレネに護衛をつけている情報機関の担当者とその上司である局長だ。

 護衛にはいくつか種類があるが、レネの立場と特殊性から大々的に護衛するのではなく本人にも気付かれないようにしたほうが良いと結論が出された結果、隠れて行動するのが基本である情報機関が担当することになったのである。

 レネから提出された認識阻害の魔法は非常に強力で、さっそく情報機関員に配布されていた。そしてその他の功績も調べられ、レネはかなり重要な護衛対象になっているのだ。だからどちらも真剣な表情のまま、心の中で頭を抱えていた。

 ちなみにレネは街中でも認識阻害を解除していない。見られているとは欠片も思っていないため無警戒なのだ。ちなみに情報機関員は、レネから提供された無効化魔法によって認識できるようになっている。

 通常は国のほうで解析し無効化方法を見つけるのだが、術式を解析しても表層程度しか理解できなかった。そのため非常に情けないがレネに頼んで作ってもらい、提供されたままのものを使うことになったのだ。おかげで重要度もうなぎ上りである。

「いっそのこと、護衛ですと教えて傍に居させたほうが良いかもしれません」

「その場合は多数付けるわけにはいかないから人選が難しいな。平時は違和感なく周囲に溶け込み、単独で護衛をしながら戦闘をこなせる者……」

 二人は腕組みをして考える。そして局長は条件に合う人物を思いだして指を鳴らす。

「シャンティナがいたな。彼女を使おう」

「あの娘は命令されたことから著しく逸脱した事柄に対しては、命令遂行優先で動きますよ。ついでにふたつ以上の命令をして遂行困難と判断した場合、最初に与えた命令を優先して遂行します」

 シャンティナはレネと年齢も近く、学院生として傍に居てもさほど違和感がない。家事も一応できるので小間使いとして傍に居ることも可能だ。ついでに戦闘力は素手で人を解体できる膂力を持っているので問題ない。救出して解析した魔法師団長いわく、詳しくは分からないが確実に竜種の魔力結晶が体内に入っているとのことだった。見た目は普通で触っても柔らかいのに、単なる斬撃なら避ける必要がないくらいの防御力があるので怪我の心配もない。

 ちなみにシャンティナが言うことを聞くのは餌付けの結果であり、命を捨てさせるような命令はできない。それでも弱いときに保護したおかげで組織に対する恩義は感じているので、いきなり裏切ることはないが帰属意識はそれほど高くない。そのため取り扱いにかなり注意が必要な娘であった。

「他に手もなく、適任者も居ないのだから仕方が無い。ある意味守れば良いだけの仕事だ。よく言い含めれば大丈夫だろう」

「……分かりました。確かに仕方がありません」

 問題は他の部分で目立つことだが、レネは元々注目を集めているのだからと目を瞑った。そして二人は同時に心の中でため息をつき、不安を抱きつつもシャンティナをレネの護衛へと抜擢したのだった。





 レネは臨時司書の仕事を終えると、レゴルの講師室へ向かった。連絡事項があるので後で来るようにと伝言があったためである。

「なんだろね」

『重大なことなら直接言いに来るだろうから、大したことではないと思うが。……炭酸のこととか?』

「まさかぁ。公私混同はしないと思うよ」

『それもそうだな』

 レネと杜人は特に怒られるような事柄は思いつかない。そのため特に緊張することなく、色々予想しながら歩いていった。

 そんな訳で予想が当たるかを多少楽しみにして入室したのだがどちらの予想も外れ、ひとりの少女を紹介することが用件であった。

 長い黒髪を三つ編みにしていて、学院の制服を着ている。レネより二つ三つ年上に見え、顔立ちは良いのだがそこには何の感情も浮かんでいなかった。紫瞳なので魔法使いなのだろうと推測できるが、無機質に見える瞳には何も映っていないように感じられた。そのせいで人形が言葉を話しているような、近寄りがたい雰囲気をかもし出している。

「彼女の名はシャンティナだ。今日から護衛として傍に居ることになる。特に気にする必要はないが、邪魔にはしないように」

「よろしくお願いいたします」

 レゴルの合図でシャンティナは平坦な声で挨拶をした。それは誰が聞いても、ここでこのように挨拶をするのが普通と教えられたからしていると分かるものだった。そしてそのままレネを見つめる。

「……」

『何と言えば良いものか……』

 レネは予想が外れたうえに普通とは言えないシャンティナを紹介されたため、返事をせずに疑問満載な視線をレゴルに向け、レゴルも疑問があるのは当然と言いたげに頷いた。

「本来は隠れて護衛するのだが、それは無理と判断された。そのため傍に居てもさほど疑問を持たれず、戦闘をこなせる人材として選抜された。見ての通り普通ではないので、居ない者として扱っても構わないそうだ」

「それは無理です」

『確かに無理だ。こちらで教育して良いか聞いて、良ければジンレイに任せてみよう』

 他人に不信感を持つレネは、心を許さない人が近くに居るだけで休めなくなる。そしてシャンティナの視線は、訓練をしていないレネでも見られていると分かるくらいであった。

 せめて居るのが苦痛にならない程度でなければ安らぎはなくなってしまう。そのためレネは真剣な表情で聞く。

「私が快適に過ごすために、教育してもよろしいですか?」

「構わない。ただ、物覚えは良いが言うことを聞くかは分からないそうだから、無理そうなら交代させる。そのときは遠慮なく言いなさい」

 結構酷いことを目の前で言われているのに、シャンティナは表情を一切動かしていない。無言のままレネを見つめているだけだ。そんなシャンティナの様子に不安になりながらも、レネは仕方なく了承した。




 部屋に帰ってからすることは、まずジンレイを紹介して教育させるところからである。これから一緒に居るなら確実にジンレイのことは発覚するので、隠す気はなかった。杜人についてはとりあえず保留にしている。

 シャンティナは杜人が召喚して魔法陣から現れたジンレイを見ても表情を動かさず、決められた挨拶の後は無言である。そのため杜人は気にしないことにして話を進めた。

『ジンレイ、変な娘だが教育を頼む。せめて、レネが気にせずに生活できるようにしてほしい』

「承りました。必ずやご期待にそえるようにしてみせましょう」

 ジンレイは優雅に一礼すると、笑みを消して鋭く光る瞳をシャンティナに向ける。

「今から私が日常について指導します。指示に従えないならばあなたは不要ですから帰りなさい」

「……」

 厳しい言葉を聞いてもシャンティナは変わらずに立っているだけだった。これをジンレイは『命令を聞く必要なし』と判断したと解釈し、杜人に許可を求めた。

「少しばかり失礼して、強めに矯正してもよろしいでしょうか。多少は良くなるかと思います」

『良いぞ。ただ、ほどほどにな』

 杜人は迷わず頷き、ジンレイは即座にシャンティナの足元に扉を開く。それを事前に察したシャンティナは無表情のまま前方に素早く跳躍し、攻撃をしてきたと認識したジンレイに一瞬で肉薄して拳を振るった。だがジンレイは涼しい顔で目の前にも扉を開き、そのままシャンティナを内部へ取り込んで扉を閉めた。

「それでは少し調教して参ります」

「いってらっしゃい」

『よろしく頼む』

 ジンレイの言葉が指導から矯正、最後は調教になっていたことには触れずにレネと杜人は笑顔で送り出した。ジンレイが消えた後で、レネは盛大にため息をついた。

「何を考えてあんな人にしたんだろう。あれじゃあ疲れて死んじゃうよ……」

『組織が柔軟に対応できないのは仕方がないから、しばらくは我慢だな。まあ、ジンレイなら使えるようにしてくれるさ。……昼食に行くか』

「……忘れてた」

 レネと杜人はシャンティナのすごさに食べ忘れていることを思い出し、急いで食堂に向かったのだった。




 取り込まれたシャンティナは崩れた体勢を即座に直し、周囲を油断なく見回した。そこは白い石でできた床が広がっている空間で、青空以外は何もなかった。

「さて、あなたからは魔物の気配がします。昔から魔物を従える方法はひとつ。その牙を折り取り上位者と認識させることです」

 後ろから聞こえてきた声にためらいなく回し蹴りをするが、そこには誰も居なかった。

「国があなたをどのように従えているかは興味ありません。我が主とお嬢様の役に立つようにするのが私の役割です」

 再び後ろから聞こえてきたので前に飛び出して距離をとってから振り向くが、やはり誰も居なかった。これだけでも普通の人は焦り始めるのだが、シャンティナは変わらない。その場で身構えていると、地響きを立てて正面の床からシャンティナと同じ身長の杜人の彫像が現れ、その横にジンレイが立っていた。

「これが我が主、モリヒト様です。あなたの心にその偉大さを刻み付けてあげましょう」

 その言葉が終わる前に飛びかかってきたシャンティナを、ジンレイは微笑んだまま受け流して後ろに放り投げた。受け身を取れないように投げたはずなのに、シャンティナは見事に身体を捻って足から着地した。

「しばらく遊んであげましょう。少しは役に立つことを証明して見せなさい」

 両手を広げるジンレイに、シャンティナは表情を変えることなく飛び込んでいった。




 そして数日後、やっとジンレイはシャンティナを伴ってレネの部屋に出現した。

「お待たせいたしました。きちんと教育いたしましたので、不便をおかけすることはないでしょう」

「よろしくお願いいたします」

 表情がないのは変わらないが、その瞳には杜人に対する畏怖の感情が乗っていて、身体も微かに震えていた。ちなみに杜人を見ることができる魔法具は既に装備済みである。

 今はダイル商会に発注して製作した杜人謹製の仕事着を着ている。部屋ではこの姿で、外では制服になる予定であった。

 ふりふりは付けなかったが、濃い青色を基調とした膝丈のエプロンドレスと白い布を使って大きなリボンを髪に装着している姿を見て、杜人は実に良いと頷いている。レネの説得には苦労したが、やってよかったと心から喜んでいた。

『これからレネの護衛を頼むぞ』

「よろしくね」

 瞳に感情が乗ったので一応生きた人に見える。そのためレネも普通に挨拶できた。そしてその後にこっそりと疑問点を杜人に聞いてみた。

「ねえ、どうしてモリヒトをあんな風に見るの?」

『いやあ、様子を見に行ったときにいきなり襲い掛かられてな。思わず開発中の精神攻撃用の魔法を問答無用で突き刺してしまったんだ。最後は気絶してしまったから、それが原因じゃないか?』

 大嘘である。言葉ではあっさり言っているが、様子を見に行ったら空間を封じられて無表情なシャンティナに襲い掛かられた杜人としては、死ぬことはないと分かっていても十分な恐怖体験であった。

 杜人はそのときのことを思い出して、小さく背筋を震わせる。二度と経験したくない、封印したい記憶。その光景がまざまざと脳裏に甦っていった……。




『どぅわ! これは駄目だな。済まないが帰ることにする。……ん? ちょっと待て、移動できないぞ!?』

「お待ちください。……申し訳ありません。内部に結界を張られたようです。力は私のほうが下のため破れません」

『なぬ!?』

 杜人は円を描くように逃げ続けるが、シャンティナは執拗に追いかけて杜人を攻撃している。ジンレイも手を出すのだが、相手として認識されていないので多少の邪魔しかできていなかった。

 杜人もこれはまずいと思ったが、攻撃されても平気なため最初のうちは余裕があった。しかし、攻撃を受け続けるうちに少しずつ触れられる感触が増していることに気が付いて、背中に大量の冷や汗が流れた。

『……もしかして、学習しているのか?』

「戦闘に関しては優秀です。私のほうもいくつかの技は見切られています」

『げ……、これでどうだ!』

 これ以上接近させては駄目と判断した杜人は、開発中の精神攻撃用魔法を使うことにし、白く輝く槍を生み出してシャンティナに放つ。しかし、シャンティナは槍が突き刺さっても無表情のまま襲い続ける。

『ちょ……、どうして効かないんだ!?』

「速度が僅かに落ちましたので、効いてはいるようです。単に気合いを入れて耐えただけかと思います」

『き、あい?』

「理論としては可能という程度で、常人にはまず無理ですが。当然私もできません」

 追い掛け回される杜人にとっては何の慰めにもならない情報である。そして明確に狙われている状況に心の奥からにじり寄る恐怖が徐々に強くなり、無表情で無機質な瞳を向けるシャンティナが恐ろしい無敵の存在に感じられた。そして再度触れられたとき、より強くなった感触が精神をも撫でていき、直接的な命のやり取りに慣れていない杜人の中で、恐怖の感情が突き抜けて逆転した。

『ふ、ふふふ、ふふふふふ。優先処理設定変更、霊気槍連続発動』

 杜人は突然笑い出すと、空間中に大量の魔法陣を構築し輝く槍を連続してシャンティナに突き刺し始める。シャンティナはそれでも止まらないが、杜人は笑みを浮かべたまま槍を突き刺し続けた。

「私の力が足りないばかりに……」

 既に手を出しても簡単に躱されてしまうようになっていたジンレイは己の力不足を嘆いているが、いざとなれば空間自体を崩壊させて放逐すれば何とかなるのでまだ余裕があった。そしてこの程度の興奮なら良い経験になると知っているので、手出しをせずに見守ることにした。

『ふふふふふふふふふ……』

 杜人の攻撃は更に激しさを増し、既にシャンティナの様子を見ることなくハリネズミ状になっても止めずに連射している。そして床に転げた極太ハリネズミが動かなくなったところでジンレイが止めに入った。

「そろそろよろしいかと思われます」

『ふふふ……ん? お?』

 それで杜人は我に返り、魔法を解除して正面に目を向ける。倒れたシャンティナは俯せになったまま身動き一つしていない。そしてようやく何をしていたのかを認識し、設定を戻すと咳払いをして誤魔化す。

『こほん。これで少しはおとなしくなってくれるだろう。後は任せた』

「私の力が足りずお手数をおかけして、誠に申し訳ありませんでした」

 もちろんジンレイは恐慌に陥っていたことを指摘したりはしない。立ち去る杜人に一礼して見送ると布団を用意してシャンティナを屋敷に運び入れ、食事の用意を始めたのだった。





 こうして説得(物理)と懐柔(物理)が行われた結果、ようやくシャンティナは杜人とジンレイを上位者と認識し話を聞き入れたのだ。

 このような情けないことがあったため、正直に言えなかったのである。杜人としては格好悪すぎて言えるわけがない真実であった。

 そのため真実を隠し笑顔でまいったと頭を掻く杜人に対し、事情を知らないレネは多少顔を引きつらせた。そして問答無用という部分は怖いので無視することにして、その他のことを慎重に聞いてみる。

「精神攻撃用って何に使うの?」

『なに、レネは幽霊関係が苦手だから、それらに有効な魔法を作ろうと思ってな。ちょうど良かったから実体がある相手に対する効果も見てみたんだ。予想としては魔力を削ると思ったのだが、精神と魔力は別物らしい。……一応相手を選んでいるからな。レネには使わないから心配するな』

「肉体を痛めつけてもへこたれなかったので助かりました。おかげでその後は素直に言うことを聞くようになりましたので、結果として最適な方法だったのではと思います」

 引き気味なレネに杜人は一応言いわけをしておく。ジンレイも援護し、自分のために行っていたと理解したレネは、杜人の違った一面をなんとか受け入れることができた。もちろん誤解だが、杜人は訂正する気はない。

 男は見栄を張らなければ生きられないのだ。特にレネには情けない部分を見せることができない。だから杜人は笑いながら心で泣くのであった。





 シャンティナの一番古い記憶は、おいしい食事を出してくれた人の笑顔である。だから、食事を与えてくれた人の言うことはそれなりに聞こうと思っていた。

 そして今回言われたことは、レネという少女を外敵から守ることであった。そのためジンレイに命じられても無視した。それは聞く必要のない人から言われたことだからである。

 その直後に足元に気配を感じたので、会話から犯人を特定してそのまま倒すべく襲い掛かった。レネを守るシャンティナに攻撃をする以上、それはレネに害を及ぼす敵である。そのためまずジンレイを敵と認識した。

 その後にジンレイが杜人の彫像に対して主と言ったために杜人も敵と認識し、現れたときは敵の首魁と判断して最優先で倒すべく襲い掛かった。

 なぜか触れることができなかったので体内の魔力を更に活性化させたところ、微かに触れた感触があった。そのため活性化した痛みできしむ身体を無視して、その感覚を更に強化して攻撃を続けた。

 そうしたらいきなり輝く槍に身体を貫かれ、一気に気力がなくなる妙な感覚に襲われた。それをこの槍が原因と決め、防御しても刺さるため思い切り気合いを入れて乗り切ることにして攻撃を継続した。

 だが良い感触を得た直後に攻勢が激しくなり、そこからの攻撃は一切届かなくなった。そして首魁は笑みを浮かべて輝く槍を突き刺し続けていた。最後には全身を貫かれても更に貫かれ、逆らう気力が尽きたシャンティナの心に、杜人の笑みと共に初めて手も足も出なかった恐怖が深く刻み込まれた。そのため、目覚めてからの温かい食事がより心に沁みた。

 そしてジンレイから教育を受けてレネに再度挨拶をしたときに、傍に居た杜人を見て身体の震えが止まらなかった。逆らう意思はまったく出てこず、そんな杜人と普通に話しているレネにも畏怖を感じた。

 そんなこともあったが、本当に変わることになった原因はジンレイから与えられた食事である。今まで食べたこともない甘いおやつを上手にできる度に出された結果、シャンティナの中での順位が入れ替わることになった。

 一番は杜人で、自分より強くこの群れの主と認識している。二番目はレネで、守らなければならない対象である。三番はジンレイで、おいしいものを出してくれるが絶対に逆らってはいけない人である。次に自分が来て、最後が今まで世話になった情報機関となった。

 ジンレイは特別言葉で従えと命じたりはしなかった。温かい食事と甘いおやつを与えながら、傍付きの護衛としてできなければならないことを教えただけである。だからシャンティナはジンレイの背中を見ながら憶えた。そういうわけで、杜人はいつの間にか返品不可の困った部下もどきを持つことになったのだった。
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