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黒姫の魔導書 作者:てんてん

最終章 天に在りしは星の煌き

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第10話 悩みの種

 ダイルが依頼の品を急いで作ってくれたおかげで課題は締切より早く提出でき、レネは晴れて自由の身となった。品物は杜人の提案により、レゴルへ提出をお願いすることにした。これは信頼できる他人を間にひとり挟むことにより、ごまかしができないようにするためである。

 その意図を理解したレゴルは口の端を少し吊り上げながら受け取ると、責任を持って課題を出した講師に渡すと請け負ってくれた。

 その後、評価を付けなければならない講師は、しばらくの間青白い顔をしていた。採点した結果、平等に評価すると他の学院生を不可にしなければならないくらいの差があったためである。レネの評価を下げれば簡単に解決するのだが、レゴルを通して提出されたため、安易に実行すれば大きな問題として取り上げられかねない。そのため、扱いに悩むことになった。

 結果、レネを満点として扱い、他の者を何とか合格として扱える程度の低い点を付けることによって最悪の事態を回避することにした。これもあまり良い方法ではなく間違いなく講師としての評価は下がるが、それなりに言い訳はできる。

 こうして安易に手を出した者がどうなるかが同類の講師に伝わり、杜人の目論見通り、遊びで触れてはならない存在であると認識させることに成功していた。

 そして提出してから数日後に合格をもらったレネは、ダイルに販売しても良いと連絡し、いつも通りの生活に戻っていった。



 終わってからはそれなりに平和な日々が続いていたのだが、いつまでも順風満帆とは行かないのが人生である。シアリーナからティアについて相談を受けたレネは、実習室にて内容を確認していた。

「むむむ……、透光集滅!」

 ティアは魔法書を開きながら魔法陣を構築し、中級に設定された的に向けて魔法を発動した。そして飛び出した光は一度広がってから的の中心に集束し、丸い光を放つと拳二つ分より大きい穴を開けることに成功する。しかし、的は壊れずに存在していた。

 そのためティアは肩を落とすと、見守っていたレネとシアリーナの下へ歩いていった。

「こんな感じです。白珠粘液にはこれで十分なんですけど、試験には無理かなと……」

『俺とすれば、もうここまで使えるのかと驚いているんだが。かといって、今褒めても逆効果になるか』

 教えてからの日数を考えれば、既に中級相当の威力を出せるようになっていることを褒めねばならないところである。しかし、本人が駄目だと思っているときに褒めても素直に受け取れないため、ここで褒めるわけにはいかない。

「少し考えてみるから、休んで待っていてね。はい、飴だよ」

「ありがとうござます」

「ありがとう姉様」

 ティアが真剣に悩んでいるのは知っているので、シアリーナもこの件に関してはからかわない。普段は明るいティアがどんよりとしているのを横目で見ながら、離れたところに座ったレネと杜人は対策を話し合う。

「簡単に言えば、魔法の選択間違いなんだよね」

『透光集滅は一点の威力はあるが、広がりという点では皆無だからな。かといって広がりを持たせると制御できない場合に大惨事を引き起こすかもしれない』

 試験では的を壊せば良いだけなので、透光集滅にこだわる必要はない。そして実際に試験を受けるのはまだ先のことなので、威力自体も上がると予想できる。そのため時間が経てば解決する問題であるのだが、師匠としては現時点で納得できる答えを提示できなければ失望されてしまう。

 そして師匠から教わった魔法を使うなと言うわけにはいかない。そのためレネはと杜人は揃って頭を悩ませていた。

「ティアの魔法書が扱えるのは中級までだから、上級を使える魔法具を貸し出すとかは?」

『それも選択のひとつだな。ただ、金の問題が絡むから難しいだろう』

「だよねぇ……」

 遠慮なく才能を伸ばせるように、上級を扱える魔法具を使うのも手である。しかし、今のティアでは上級の魔法具を買うことはできない。そして安易に貸すと問題が発生しかねないので、捨てはしないが優先度はかなり低い選択である。

『飲みこみは早いようだが、多重構築はできると思うか?』

「無理じゃないかなぁ。ひとつでも制御に苦労しているみたいだから、下手に教えると全部中途半端になると思う。それに一から構築できないと使えないんだよ」

 今のレネは魔法具の関係で一から構築している。そのため構築速度は魔法書や魔導書を使っている者より遅い。その代わり魔法を同時に複数構築することができる。ただし、当然その場合は更に構築速度が遅くなるので、多重構築が優れているとは一概に言えないのだ。

『となると、残りは連射か?』

「……そうだね。それなら少し練習すれば大丈夫かな。けど、一回程度じゃ意味がないから、ある程度連続できるように何か考えないと駄目だね」

 試験の規定により、最初の魔法が発動する前に次の魔法陣を構築しなければ連射とはみなされない。そのため少しだけ技術がいるのだが、現在の延長線上にあるため多重構築よりは簡単だ。それでも延々と続けるのは楽なことではない。

『ならば応用はきかない方法だが、良いやり方がある。ティアは理論を説明されるより実際の感覚で扱うほうに才能があるようだから、具体的に見せたほうが良いだろう』

「わかった」

 レネは教えられた具体的な方法を手帳に書き写し、何度か頭の中で練習した。そしてティアのところに移動しようと視線を向けたとき、そこに広がる雰囲気に思わず僅かに身を引いた。

『なんというどんより空間。真面目だから一度悩むと抜け出せないのだろう。……妹分が救援を求めているぞ』

「あ、あはは……」

 ティアは俯きがちに座っているだけなのだが、唇を引き結んで身動き一つせずに床の一点を見つめている。その横にいるシアリーナは重い気配に話しかけることができず、励まし方も分からなかったので刺激しないように笑顔のまま硬直していた。そしてレネの視線を感じてぎこちなく首を動かし、声を出さずに口を動かして助けを求めているのが現在である。

『ある意味、レネとよく似ているな……。レネ、雰囲気は無視だ。問題は存在せず、気付かなかっただけという態度で行こう』

「うん」

 レネは頬を両手で揉んで固まった笑みをほぐしてから立ち上がり、言われた通り暗い雰囲気など存在しませんという態度でティアに近づく。そしてティアの悩みが些細なことのように明るめに話しかける。

「ティア、今から解決策を実演します。その後に説明を行いますね」

「……はい」

 ティアは静かに立ち上がると、おとなしくレネの後ろをついていった。その後ろをシアリーナが固まった身体をほぐしながら歩いていく。レネは的を再生成して設置し、ティアの隣に立つ。

「最初は通常の方法で行います。このような方法だということを理解してください」

 レネは初級規模の透光集滅を書き込んだ魔法書を取り出して開くと、手を添えて魔法陣を構築し始めた。ティアは魔法陣を見て、どうして初級なのだろうと首を傾げるが、自分との違いがどこにあるかを見つけるために観察を続ける。

 そしてレネは魔法陣が完成したところで次の魔法陣の構築に入り、同時に最初の魔法陣に魔力を流して発動させた。

「透光集滅」

「……」

 的の端に開いた穴は拳より小さく、貫通もしていない。そのためティアは微妙に残念そうな表情になる。しかし、レネは気にせずに先程の手順を繰り返し、最初の穴から少しずれた位置に穴を開けた。そしてそれを一定の時間間隔で順次繰り返していく。

「……あれ?」

『良し、ようやく気付いたか』

 ティアは当初、連続して魔法を放つ技術はすごいと感心したものの、それ以上は何とも思わなかった。しかし、少し経つとそれが横一列に溝を作り始めたのを見て思わず目をこすった。その様子を観察していた杜人は安堵し、レネに向けて頷いた。

 レネはそのまま溝を掘り終えたところで今度は少し奥にずらして貫通させ、その後はまた横に動かしていく。その光景を、ティアは口を開けたまま見つめていた。

 そして中ほどまで来たところで遂に的が折れ、音を立てて床に転がる。ティアは壊れた的が消え去るまで視線を動かさなかった。

 レネは魔法書をしまうと、驚きで固まっているティアに微笑みかける。

「これが通常の方法です。少し技術が要りますが、初級規模でもできないわけではありません」

「す、すごいです! ……そっか、こんな方法があったんだ。よぉし、頑張ります!」

「うん。練習方法を教えるから少し待ってね」

 レネはすぐに練習しようとしたティアを制し、鞄から一定の周期で色を変えて点滅する魔石を取り出して渡す。ちなみに今は四拍子である。

「連射で重要なのは、いつ次の魔法陣を構築し始めるかです。早すぎると最初の魔法陣も駄目になりますし、遅れると連射になりません。そこで必要になるのが、決まった速度で魔法陣を構築する技術となります」

「うみゅ?」

『やっぱり理解できなかったか』

 一定速度で構築する技術と渡された魔石との関連が分からなかったティアは、魔石の点滅に合わせて身体を揺らしながら首を傾げている。これも予想済みだったため、レネはそのまま説明を続ける。

「一定速度と言っても基準が何も無ければ難しいでしょう? ですから、この点滅に合わせて構築して、一定の速度を身体に憶えさせます。最初はゆっくりと、慣れたら心の中で速くすれば、自分に合った速度を見つけることができます。こんな感じかな……一、二、三、四、一、二、三、四」

 レネはゆっくりと四拍子を数えながら灯明の魔法陣を構築し始め、繰り返される数の最後に完成させると次の始まりに合わせて二つ目の魔法陣の構築を始め、同時に完成した魔法陣に魔力を流して発動させる。そして徐々に速度を上げていき、最後は早口に近い速度で構築と発動を繰り返した。おかげでティアはようやく意味が分かって笑顔になる。

 何もない状態で憶えるよりも、何かに関連付けて憶えたほうが記憶しやすい。そして慣れてしまえば鼻歌でも代用可能なため、最初から難しいと思わなくなる。極めるのには時間がかかるだろうが、難しいと思われるとやる気も削がれて余計できなくなる。そのため、まず『やればできる』と思い込ませることが重要なので、わざと簡単な初級で実演していた。

「はい。理解できました!」

「ほっ……」

『では仕上げと行こうか』

 どんよりした雰囲気が消滅したのでシアリーナはようやく身体の力を抜き、レネに感謝の視線を向けている。そして良い方向に意識が向いたことを確認した杜人とレネは、最後の仕上げに入る。

「それではまず、簡単な灯明で練習してみましょう。コツを掴めば後は一緒だから、慣れるまで続けようね」

「了解です!」

「それじゃあ、私もやってみます」

 ティアは元気に返事をし、シアリーナも笑顔で参加を表明した。そして仲良く魔石の点滅に合わせて魔法陣を構築し始め、周囲に灯明が漂い始めた。

『良し、ここでできる分は完了だ』

「ほっ、良かった……」

 杜人の言葉でレネはようやく緊張が解け、無意識に力が入っていた身体の力を抜いた。

 最後に行ったことは、本当に難しくないと意識に刷り込むための誘導である。何もしなければ透光集滅で練習してしまうので、最初からつまづいて実は難しいと思い込まれる危険があった。そのため、今のティアなら簡単に扱える初級魔法の灯明で練習するように言い、慣れるまで他に手を出したくならないように意識を誘導していた。

 そして何となく身体が憶えてきたところで終わりにし、明るい雰囲気で食堂に移動した。

「わぁ、口の中でとろける……」

「本当だね。早く他でも出せるようになれば良いのに」

「新しいものは仕方ないと思うよ」

『作り方は簡単なんだが、それに気が付くことが一番難しいからなぁ』

 三人が食べているのは生チョコレートである。チョコーレートの製法は公開しているが、料理法までは公開していない。そして料理法は秘匿するのが常識なので、今のところは学院の食堂限定品となっている。そのため少し値段が高めであるが、今回はレネのおごりとなっていた。

 これは品物と出来事を結びつけ、記憶に良い思い出として定着させるためだ。そのためレネは普段は食べないような高めのものを、己の欲求も加味して選んだ。杜人はその臆面も無い選択に苦笑したものの、効果は期待できるので賛成している。

 そして目論見通り、ティアは初めての生チョコレートの味わいに満面の笑みを浮かべ、一口入れるごとに感動に身体を震わせていた。レネもひとりなら同じようになっていたはずなのだが、さすがに今は指導する立場を考えて自重している。それでも顔がほころぶのは止まらないので、実に幸せそうに食べていた。

 三人の中で唯一通いであるシアリーナは王宮の料理人を無下にはできないので、食堂に来ること自体が少ない。そのため早く王宮の料理人が作れるようにならないかと願うのである。

「でも、これは早く回ってきたんですよ?」

「んん? そ、それはもしかして……」

『おやぁ?』

 シアリーナは胸元から首飾りを引き出してレネに見せる。それは組紐に台座が繋がり、そこに指先程度の丸い魔力結晶が付いているだけの、どこにでも売っていそうな作りである。

 そしてそれは、レネが課題として作ってダイルに販売許可を出した魔法具であった。しかし、用途が用途なので持っているとは思っていなかったため、レネは笑顔を硬直させた。杜人も予想外だったため首を傾げている。

「はい。姉様が作った黒姫護晶です。頂き物ですけど」

「あ、私も持っています! 大人気で品薄になっていて、手に入れるのに苦労しました」

 ティアも食べる手を止めて首飾りを引き出してレネに見せる。レネは予想していない情報に、何が起こったと混乱していた。

『はて、流行するようなものではないはずなんだが。レネ、呆けていないで詳しい話を聞かないと、ますます謎が深まるだけだぞ?』

「……っと、ごめんなさい。全部お任せしたものなので、あまり売れ行きを気にしていなかったから知りませんでした。一応魔法具ですけど、高くなかったですか?」

 レネの売り方はティアもシアリーナも知っている。そのため特に疑問に思わず質問に答える。

「あー、少し高かったです。けれど、魔法具としては格安ですよ。お小遣いで何とか買えますから。それよりも手に入れるのが難しかったんです! 最後はリュトナさんにこっそり頼んじゃいました」

『値段は良し、次は何に使うかだな』

 てへへとティアは舌を出しながらも嬉しそうに笑っている。そのため入手できて本当に喜んでいると分かった。おかげで疑問のひとつが解決し、レネは次の質問に移った。

「それの効果はあまり役に立つものではないと思いますけど」

「もちろん師匠が作った道具だからです!」

「姉様、色々複雑なんです」

 ティアは自分専用の意味の無い答えを返す。そのためレネが求める返答を察したシアリーナが、笑いながら説明を加える。

「私も聞いた話ですけど、姉様の作った転移石がお守り代わりに使われていて、そこに本物のお守りが販売されたから、まず探索者に広まったそうです。最初のうちは気分的なもので、効果は二の次だったみたいです。けど、魂魄珠や影供に効果があることが広まって、その過程で呪いにも有効だと判明して、安価な防御手段として一気に人気が爆発したんだって聞きました」

「そうなのですか」

『うーん、まだ弱いな』

 納得できる理由ではあるが、品薄になるほど流行する理由としては弱い。そのためレネと杜人は同時に首を捻ったわけだが、説明はまだ終わりではなかった。

「以降の経緯はよく分かりませんが、上位の貴族に流行って、それを真似して他の貴族が購入。そこから騎士団や魔法師団に安価な装備として採用され支給。貴族に仕える使用人から家族に、家族から知り合いにと流行が移動していって、今はみんな持っているから購入って流れみたいです」

「私はリーナから聞いて買おうと思いました」

「そう……ですか」

 笑みを固定したままのレネは、既に諦めの境地に至っている。お守りといえばその通りなのだが、期待する効果は滅多に発揮しない品物である。そのため少しだけ後ろめたかったが今更どうにもできないので、心の中にある気にしない項目に放り投げることにした。

『これは確実に仕掛けられているだろうな。しかし、上位の貴族に伝手が……エルセリアに聞けば分かるだろうが、やめておこうか』

 ダイル商会が確実に伝手を持っていると判明しているのはルトリスである。しかし、言えることなら既に話していてもおかしくなく、未だに沈黙している以上、何か理由があると杜人は判断した。

 エルセリアにとって優先順位はレネが最上位だが、実家を蔑ろにし結果としてレネに迷惑をかけてしまう場合は隠すこともある。だから直接問えば答えると思われるが、せっかくの心遣いを無駄にすることになる。そのためレネも杜人の方針に賛成し、これに関しては話題に出さないことに決めた。

 そして食べ終わって二人と別れたレネは静かに廊下を歩く。知らないうちは気にならなかったが、よく見ると通り過ぎる学院生の首に似たような組紐が見受けられた。それでもレネを見かけると視線をそらして脇に避けるのだから、心理がよく分からずにいた。

 当然杜人も気が付いていて、見えないことを利用して遠慮なく近づいて確認を行い、ほとんど全員が持っている事実を確認した。

『思ったより浸透しているようだ。ま、この分ならもう少しで行き渡るだろうし、高価と言えるほどでもないから気休めにはちょうど良いのかもしれないな』

「本当、どうやって売ったんだろう……」

 売れること自体を想定していなかったので、もはや想像すらできない。見事に理由が分からない謎の大流行であった。

 今のところ反応が中立もしくは悪い感じなレネに、杜人は少し良い方向になるようにと推測を語り始める。

『ちなみに、学院生に普及している理由は推測できる。商品を買えばレネの怒りに触れないと思っている者。恐れられているからこそ、あやふやな効果でも何となくあるような気がしている者とかだな。恐れるからこそ崇めるのは、物語にもあるだろう?』

「うぅ……うん」

 まずは悪いほうを語り、これまでの現状からありえる理由を与える。これによって悪い方向の推測に形が与えられ、妄想が進まないようにできる。

 言われたような物語は確かに存在しているので、恥ずかしさで頬を赤らめたレネは人目があるのに悶えそうになった。しかし、この程度なら既に通ってきた道のため、今まで培った演技力にて何とか現状を維持する。

 そんな状態になったところで杜人はによっと笑い、無意識に求めている良いほうの理由を与えた。

『後は、ティアみたいに密かに憧れている者とかだな。学院祭や講義のことを考えると、もしかしたら一番多いのかもしれないな。ほら、いきなり目の前に憧れの人が歩いて来たら、思わず逃げ出すのは当たり前だろ?』

「え? ……そ、そうなのかな。そうだったら嬉しいな」

 今度は一転して気恥ずかしさで耳まで赤くなり、俯きがちになった。情報としては等価であるが、後の話のほうが記憶に残りやすい。そのため上出来な反応に杜人はこれなら良いほうに考えるだろうと頷く。

『今頃感謝されているかもしれないぞ。よっ、未来の大賢者!』

「えへへへへ……」

 当然真実は分からない。だが、何事も優先されるのは真実ではなく事実なのだ。杜人の太鼓もちで機嫌が良くなったレネは、割れる人波の間を俯きがちににやけながら歩いていったのだった。
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