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黒姫の魔導書 作者:てんてん

第6章 写し鏡のその奥に

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第06話 帰らずの闇森

 レネの行動範囲はまだまだ狭い。そのためすることが増えても行動はそんなに変わらない。そういうわけで、講義も図書館の仕事もない本日は迷宮探索を進めていた。

 現在居る階層は第四十七階層である。しかし、ほとんどの探索者は第四十五階層から四十九階層には立ち入らず、金を払って転移石を購入している。

 この階層の別名は『帰らずの闇森』。開放型迷宮なのだが常に闇に閉ざされていて、地面に生えている草も、立ち並ぶ樹木も、地面すら黒い。そのため視界がききにくく方向がつかみにくい上に、単体でも厄介な黒大鬼が複数同時に出現するのである。その他にも音を立てずに近づいてくる黒珠粘液や、巣を張って待ち受ける黒大蜘蛛も出現する。危険もあるが、迷っただけでも帰れなくなる闇に閉ざされた階層なのだ。

 このように、少しの油断で闇の中から死が訪れるため、ほとんど誰も立ち寄らないのである。

『暗いなら、明るくすれば、良いじゃない』

「そうだよね。明るくなれば急所も見えるし、魔法に耐性があっても急所なら一撃なのに」

 レネは現在森の中に居るのだが、木々は密集していないので歩くことに苦労はない。そして杜人が端末石を広範囲に散らばらせながら灯明を用いて強く輝かせ、普段と変わらない状況を作り出していた。その上で地図魔法にて位置を確認しながら進んでいる。これなら闇は意味をなさないが、杜人は念のため白珠粘液形のタマを少し大きめにして出していた。

 そして護衛のシャンティナも当然ついてきている。ここでジンレイや神鋼金製の動人形である玄武も出せば完璧なのだが、今でも過剰戦力のため自重していた。

 実はこの階層で明かりを灯すと魔物が出現しやすくなる。そして光量が増えれば出現頻度も増していく。そのためこの階層に来る探索者はできるだけ明かりを灯さないようにしている。

 ちなみに暗闇を見通す魔法具の発想は誰もが思い描くが、どうやれば良いのか分からないので作ろうとした大多数はそこで頓挫し、壁を乗り越え開発できたとしても秘匿魔法扱いとなるので表には出ない。

 結果、煌々と照らしている杜人とレネの選択は普通なら自殺行為なのだが、豊富な魔力による継続戦闘能力と端末石による遠距離多方位精密攻撃ができるレネにとっては、一撃で倒せる練習台であった。

「あ、来た。……炸裂氷結槍」

 話しているうちに前方の地面に魔法陣が輝き、大きな身体を持つ黒い肌を持った筋骨隆々の大男が出現した。額には鋭い一本の角が生え、金色に輝く瞳を持つ黒大鬼である。

 黒大鬼は即座に獲物を捉えると、歯をむき出しにして襲いかかろうと身体に力を込めた。しかし、魔法陣が出現したときから準備をしていたレネは慌てることなく端末石に魔法陣を構築し終えていて、命中した炸裂氷結槍が爆裂し再生すら許されずに消滅していく。

 そして残った魔力結晶を回収し、一行は更に奥へと進んでいく。基本はこれの繰り返しである。ちなみに複数出現した場合はシャンティナも参加して殲滅し、大量に出た場合は上級魔法の水晶塁壁にて分断して各個撃破していた。

 というわけで、レネは腕の良い魔法使いが一目置かれる理由の一端を示しながら探索を続けているのである。

「なかなか見つからないね」

『簡単に見つかるようなら価格も安くなるさ。地道に行こう』

 油断すれば危険な階層にわざわざ来た理由は、魔法書の材料に使える特殊な素材が採取できるからである。それは『闇月木』と呼ばれる膝丈程度の木で、森の奥地にひっそりと生えているのだ。

 特徴はとにかく黒いこと。光を僅かも反射しないために、そこだけ闇が凝り固まったように見える。そして丸く葉を生い茂らせるので、上から見ると黒く丸い穴になっている。それを闇に浮かぶ月になぞらえて命名されたのだ。

 それだけに、とても見つけにくい。密集していれば別なのだが、残念ながら単独で生えるので草木の陰に入っただけで見逃してしまう。かといって血眼になって探さなければならない理由もないため、気分転換も兼ねて雑談しながら気楽に探していた。

 幻と呼ばれるほどの流通量ではないので何らかの採取方法があると推測したが、金を生む情報を無作為にばらまく者など居ない。そうなるとレネと杜人では情報を入手すること自体が難しいので、とにかく手当たりしだいに移動するしか方法はないのである。

「ところで、最近は新しい魔法を考えたりした?」

『ん? ああ、一応な。一言でいえば、魔力に頼らない魔法、というところだな』

「なにそれ?」

 レネはよく分からない説明に首を傾げる。魔力を使うのが魔法であり、頼らない魔法はレネの常識としてはありえないのだ。

『魔法が効きにくい、または吸収する魔物はこれまでも居た。そしてこれまでは、言うなれば力技で突破してきたわけだ』

「そうだね」

『で、俺達の主攻撃は魔法だ。そして、もしこの先に力押しできない、または完全に無効化してしまう魔物が出てきた場合、手も足もでなくなる。それでもシャンティナが居るから大丈夫だと思うが、だから対策をしなくても良いというのは違うと考えた』

 シャンティナの主攻撃は障壁に似た何かを纏った物理攻撃である。そしてレネによって、階層の主と対等に戦える戦闘力を獲得している。しかし、ひとりではできることに限りがあるため、手も足もでない事態にならないようにと考えたのだ。

 杜人は説明しながら前方に筒状の魔法陣を構築し始める。見た目は長くて太い砲身だ。

『原理としては複雑なことはしていない。この中に石とかを入れて、障壁で保護しながら高速で打ち出すだけだ。無効化されなければ障壁の硬さと打ち出される速度が威力の大きさを決定する』

 杜人は不可視念手で拳大の石を拾うと、筒の中に放り込む。すると入口の中心に停止し、光を放って障壁に包まれていく。

「相変わらず発想が変だね。普通そんな使い方は考えつかないよ。完成したら教えてね」

『お褒め頂光栄の至り』

 笑顔のレネに杜人は格好をつけて頭を下げる。もちろんレネは本気で褒めたのであり、杜人も分かっているからこその対応である。

 術式を研究するのは魔法使いであり、使うのも魔法使いである。そのためわざわざ物体を飛ばすより最初から構築したほうが魔力効率もずっと良く、制御もしやすいと知っている。そして霞を食べて生きているわけではないため、売れるか分からないものに年単位の時間をかけるわけにはいかないのである。

『まだ調整が不完全だから、消費魔力が大きく発動させてから発射まで時間もかかるし、上手に当てるのも難しい』

「ふむふむ」

 現状の命中精度は氷針より悪い。それを実演するため、杜人は少し離れた木に狙いを定めると魔法を発動した。ちょうどそのとき、見計らったかのように木の前に魔法陣が輝き、そこから黒大鬼が出現してきた。

『げ』
「あ」

 二人同時にまずいと思ったが、意識の隙間に入られたためすぐには動けなかった。そのため魔法は止まることなく発動し、石は光の軌跡を残しながら飛び出す。光の尾を引きながら直進した石は瞬く間もなく黒大鬼の腹に命中して大穴を開け、後ろの木も貫いて森の中に消えていった。

 残念ながら、黒大鬼は腹に大穴を開けられた程度では死なない。そのため開いた穴もすぐに塞がり、攻撃されたことによって凶暴性を増しながら全力で突撃してくる。

 そしてレネと杜人が反応する前に距離を一気に詰め、もう少しで太い腕が届こうとしたとき、それよりも速く動いていたシャンティナの拳が黒大鬼の顔を捉え、突進の方向を逆転させたかのように吹き飛んでいった。

 この時点でようやく反応できたレネと杜人は、背中にどっと冷や汗を掻きながら固まっている。そしてゆっくりと視線を合わせると、同時に微笑んだ。

『と、まあ、まだ問題はあるが、威力はそこそこだ』

「ごまかすなぁ!」

 杜人はあらぬほうを向いて説明を続け、レネはすかさず突っ込みを入れる。レネは魔法具にて常時障壁を張っているので万が一接触されても短時間なら大丈夫なのだ。だからこその余裕である。

『まだ開発中なのだから仕方ないだろ! 当たっただけ凄いんだぞ!』

「当たったから余計に危なくなったんでしょ!」

「回収完了」

 仲良く言い争いをする二人をよそに、シャンティナはしっかりと魔力結晶を回収してきた。そしてそのまま警戒を行い、出現する魔物を倒しながら魔力結晶の回収を続ける。こうしてシャンティナは、おやつ倍増の権利を獲得したのであった。

 落ち着いたところでレネと杜人は無警戒だったことを反省し、普通の者なら進むだけで苦労する森の中を慎重に、かつ丁寧に蹂躙していく。そのおかげかは分からないが、ようやく一本目を見つけることができたときには連携がだいぶ上達していた。

『本当に穴が開いているみたいだな。触ってもなんだか変な感じになる』

 杜人は闇月木の上に移動し、黒い穴にしか見えない場所を不可視念手で触る。すると確かに枝葉の感触が伝わり、境界線が揺れ動いた。試しに光らせた端末石を下に入れると、直線に光が出てこられる場所以外は闇に包まれたままとなった。そこまでしてようやく形が分かる植物なのである。

「黒い場所にある闇だから、とにかく明るくしないと見えないんだよね。……良しと、波長を記録したから採取して良いよ。これで少しは捗ると思う」

『それならあまり長居したい場所でもないから、これからはタマに乗って移動しようか』

「そうだね。検知範囲を広くしても対象を絞れば大丈夫じゃないかな。索敵と対処に関してはシャンティナにお任せするね」



「はい」

 簡単に打ち合わせを終えると杜人は不可視念手を解除し、特注した魔食樹製の弓を取り出してシャンティナに渡す。その後にタマを使って根ごと採取しジンレイの領域に放り込んだ。そしてタマを巨大化させると、レネとシャンティナを乗せて闇を切り裂きながら移動を開始したのだった。

 そしてしばらくしてからレネと杜人は、そうはうまくいかないことを実感していた。

「ほんと、無いね」

『これでは価格が高騰するのは当たり前だな』

 検索範囲を広くしてもなかなか生育場所を発見できず、かなり移動しなければならなかった。そのため移動距離は増えてもそれに見合うだけの成果は上がっていない。

「これじゃあ、しばらくここに通うようだね」

『そうだな。ま、この生育状況では探せるようになっただけ運が良かったと思おう』

 レネと杜人が話をしている最中でもシャンティナが放つ金剛槍の輝きが闇を切り裂き、光に寄ってくる魔物を連続で貫いていく。衝撃も伴うので貫かれただけでは済まず、周辺もろとも吹き飛ばしてしまうため、再生力が高い黒大鬼も一撃で屠る威力である。今の弓は本職に作ってもらった特注品のため、シャンティナの魔力をきちんと受け止めることができるのだ。おかげさまで、試作品でも過大だった威力は更に増していた。

 シャンティナの気配察知はもはや神業の域のため、出てくる端から倒していく。こうなると、もはや魔物にとっては移動する災害である。

 そして杜人はレネと話しながら災害現場に近寄って魔力結晶を回収し、せっせと魔導書に取り込んでいく。おかげでそちらの効率はとても良かった。

「あ、あった。あっち」

『了解だ』

 レネは戦闘をシャンティナに任せて検索に集中している。そうして地図とにらめっこしながら反応があった方向を指差し、杜人は魔力結晶を回収しながら突き進む。

 そしてしばらくしてから蹂躙していたシャンティナが前方に視線を送ると、短く報告してきた。

「たくさん来る。……人いる? 二人、あっち」

 敵が来る方向から斜めに外れた方向をシャンティナは指差した。そのため杜人はタマを停止させ、引きつけるために光量を一気に上げた。

『レネ、一旦中止。大規模戦闘の準備をしよう。シャンティナは攻撃に巻き込まれないように助けて来てくれ。退避できたら弓で合図な』

「はい」

「もしかして、大量発生? 倒しすぎたかな?」

 シャンティナは短く返事をしてから弓を背負うとタマから飛び出し、一瞬で暗闇に消えていった。その間にレネは端末石を待機状態にし、杜人が取り出した星天の杖を手に持つ。そして前方に狙いを付けると、ゆっくり魔法陣を構築し始めた。





 探索者はある程度階層を進めると、自分に合う階層を決めて稼ぎ始める。これは階層によって必要な装備が異なることと、何より経験がものを言うので安全を高めるための方策でもあった。

 そして需要がある素材を採取できるのに誰もが敬遠する階層にも、そこを専門とする探索者が居るのだ。少し先に徘徊している黒大鬼の群れに悟られないように地面に伏せ息を殺している二名も、この帰らずの闇森から生還できる知識と経験を持った探索者である。

 彼らは全身をこの階層で取れる草木から作った染料で黒く染め上げ、目のみが露出するように作られた闇月木製の服を身に着け、その上に葉を貼りつけている。見た目だけなら人型の闇なので、新種の魔物と勘違いされかねない姿だ。

 今は普段使っている星明かりより弱い明かりすら消し、逃げ出したくなる恐怖と戦っている最中である。逃げれば発見されて死ぬと分かっていても本能が逃げろ離れろと叫んでいるため、思わず動いてしまわないように歯を食いしばっている。近くにいる相棒の気配は結ばれた手以外感じられないが、居ると分かっているから耐えられていた。

(くそっ、欲を出さなければ……)

 今日は妙に魔物との遭遇が少なかったため、つい欲を出して確保していた安全地帯からだいぶ遠くまで来てしまったのである。そしてここで黒大鬼と遭遇したのだ。

 二人は慌てず騒がず明かりを消して地面に伏せたため察知されることはなく、いつも通り立ち去るまで息を潜めることにした。しかし、最初の黒大鬼が立ち去ってもすぐに別の黒大鬼が出現し、やがてその数を増やしていったため、逃げるに逃げられなくなってしまったのである。

 気付かれなくても黒大鬼の巨躯では踏まれるだけで死んでしまう。そのため命は風前の灯火となっていたのだが、何故か黒大鬼は一方向にのみ移動しているために死なずに済んでいた。

 そんな絶望に襲われ、首も動かせなかった彼らの目に、ようやくこの階層ではありえない強い光が遠方で輝いている様子が飛び込んできた。そしてその光に誘われるように、黒大鬼の群れは移動していた。

(あれは……、魔法使いが居るのか? あんなに明かりをつけたら引き寄せるだけだと知らないのか?)

 魔法に耐性を持つ黒大鬼に魔法使いは役立たずである。それなのに煌々と照らされていることから、群れに遭遇したためとっさに結界で防御したが、囲まれたため恐慌に陥っているのではと推測した。

 光を見つめながら、このまま放置していれば逃げることができると思う心と、助けなければと思う心がせめぎ合った。そして相棒の手を強く握り、相棒からも力強く握り返されたため心は決まり、助けるために動こうとした。

 ちょうどそのとき、後ろからいきなり、首を強い力で掴まれた。

「ぎょわぁ!?」

「発見、確保、退避」

 驚いた探索者達は今まで押し殺していた叫びを思わず上げてしまったが、音もなく近づいて対象を確保したシャンティナは気にしない。そのまま持ち上げて光源と群れとの直線上から素早く退避すると、両手の荷物を無造作に放り出して背負っていた弓を光源の上方に向けて構える。

「何が……」

「霊気」

 混乱する探索者を無視して弦を引くと正面に輝く魔法陣が展開され、手を離すと輝く霊気槍が闇を切り裂いて光の軌跡を描いていく。探索者達は思わずその光を目で追いかけ、次に飛び込んできた光景に目を見開いて動きを止める。

 遠くの光源は更に明るさを増していて、そこに複数の魔法陣と見たこともない光の輪が構築されているのがはっきりと見えた。そしてその直後に魔法が発動し、今にも襲いかかろうとしていた黒大鬼の群れを、飛び出してきた輝く霧が渦巻きながら一気に飲みこむ光景を目撃した。

「な……」

 群れを飲みこんだ霧は止まることなく直進し、周囲を明るく照らし出しながら線上にある木々も飲みこみ探索者達の少し前を通り過ぎていく。吹き抜けた凍える風が頬を打ち、その霧が自然現象ではないと教えていった。

 そして周囲に闇が戻ったときには、目の前を横断する、削り取られむき出しになった地面が残るだけとなった。そこに光の源が接近してきて、すぐに昼間のような明るさで周囲を照らし出す。それでようやく傍らに居たシャンティナが魔法学院の制服を着ていることを認識し、光の源であるレネと、乗り物であるタマの姿もはっきりと認識することができた。

「シャンティナ、警戒をお願い。……怪我はありませんか?」

「……ああ、大丈夫だ。おかげで助かった。ありがとう」

「いえいえ、困ったときはお互い様ですから気にしないでください」

『なるほど、こうやって探索するのか。初期投資が大変そうだな』

 レネは全身真っ黒な姿に驚いたものの、シャンティナが居たのでそれが助けた二名であると認識できた。杜人は見えないことを利用して近づくと、周囲を巡って興味深げに観察している。

 探索者のほうは、巨大なタマに乗ったレネの容姿と周囲を照らす端末石、何より魔法に耐性を持っているはずの黒大鬼を高威力の魔法で殲滅した事実から、目の前に居る華奢な少女が殲滅の黒姫であると分かった。

 そして地形を変えるほどの大規模魔法を使ったのに平気な顔をしていたため、誇張どころか噂のほうがおとなしいことを心から理解した。

 ちなみにレネは殲滅後にきちんと魔法薬を飲んでいる。それでも尋常ではない回復速度なのは確かである。

『さて、立ち止まっていても危険が増すし、遅くなるから帰ろうか』

「それでは私達はもう帰る時間なので、これで失礼します」

 短い会話の最中にも、少しずつ魔物が出現し始めていた。それをシャンティナがタマの上から一撃で倒し続けている。そのため迷惑をかける前にとその場を離れることにした。

「待ってくれ」

「はい?」

『ん?』

 だが、動き出そうとしたとき、探索者が静かに呼び止める。声には非難する響きはなかったため、レネと杜人は何だろうと視線を向ける。そんなレネに視線を合わせた探索者は、少しだけ面白そうに目を細めた。

「良かったら、俺達も出口まで乗せていってくれないか?」

「え? はい。良いですよ」

『なるほど、これが生き残る秘訣か』

 この場所は出口から遠く、歩けばどうしても泊まりがけになる。そしてどう見ても自力で歩くより、同行したほうが安全である。採取したものは隠してあるので後で回収すれば良い。そのため探索者は出会ったばかりの『殲滅の黒姫』にお願いすることをためらわなかった。

 それをレネは特に気にしないで笑顔で承諾し、杜人は理解してその図太さに感心した。

 こうして帰り道でもレネと愉快な仲間達が織り成す光景に驚愕しながら、この階層を専門として絶体絶命の危機を経験した探索者達は、入る者を飲み込む『帰らずの闇森』から無事に生還した。



 後日、巷で評判の『殲滅の黒姫』の噂に、何個目か分からない新しい話が加わったのは言うまでもない。
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