「…泣いてるの?」
あの日は、雨がシトシト降る、満月の夜だった。
いつも気丈なキミの顔が。
…とても、寂しそうに見えた。
*優しいキス*
「…そんな所に居ると、風邪を引くよ」
僕が傘を差し出しても、キミは首を横に降り。柔らかな唇を噛み締めて、雨の夜空を仰いでいた。
「……泣いてるの?」
僕は確かに見た。雨の滴の中に、キミの悲しみが紛れているのを。親を、仲間を、失った痛み。
「……泣いてなんか、ない」
くぐもった声でそう告げるキミは、儚くて、美しくて、今にも消えてしまいそうだった。
僕は、キミに一歩一歩近付いて行く。
「………」
雨の雫で濡れた頬に手をやって、冷えた指を包み込んだ。
「――僕が居るから……だから、」
一層、雨脚が強まる。
言葉の続きを強く望むキミの瞳が、グンと近付いて。
…――そっと、羽が舞う様に。
離れた唇を惜しむ様に、雨の音に消された言葉をつむぐ。
もしかしたら、雨で聴こえなかったかもしれないけど。
哀しそうに細めた瞳も。氷の様に冷えた体も。
全部僕が暖めるから。
だから、もう一度。
優しいキスを。
『後書き』
まず、ここまで読んで下さりありがとうございます。600字いかないと投稿できないので水増し(^_^;)詞か小説かよく分かりませんが、儚い恋をイメージしてみました。感想頂けたらとても嬉しいです(*^_^*) |