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第二部《序章》
2.舞い散る花びら
 星の降る日、ムハンバード王はベッドの上で、シーツに包まり震えていた。
 アルフォレシアでは、各国から要人が集っているらしい。

「きっと、わしの国を襲う算段をしているに違いない……。誰か! 誰かおらぬか!」

 ムハンバードは使用人を呼びつける。
 この国の使用人もまた、奴隷であった。その首には銀色の輪っかが存在する。

「ここに王子を連れてまいれ!」

 唾を飛ばしながら叫んだ。



「お呼びですか……」

 暫くして、ナイール王子はやってきた。
 その、澄んだ泉のような瞳を見た時、ムハンバード王は一瞬、何かを思い出し、恐怖を忘れかけたが、再び恐怖が胸を占めると、ナイールに言葉を投げつける。

「例の異界人はまだ見つからぬのか!? 今、アルフォレシアでは、あらゆる国の要人が集り、わしの国に攻め入ろうとしているというのに! な、ならば、逆にこっちから攻め込んでやろうではないか!
 あれほどの魔力の持ち主ならば、国もろとも消し去るのも容易い筈だ! ははっ、一網打尽だぞ!」

 恐怖に心を支配され、言っている事が支離滅裂であったが、ナイールはいたって冷静に王に告げる。

「お言葉ですが陛下、今回アルフォレシアに人が集っているのは、その異界人の為と思われます。恐らく、他の国もその異界人が気になるのでしょう。欲する国もあるやも知れません」
「ならば、尚更早く手に入れなくてはならぬではないか! 先を越される前に、何としても手に入れろ! でなければ殺せ!」

 殺せと言う言葉に、ナイールは眉を顰める。

「……今、探させてる所ですので、もう暫くお待ちを――」

 バシィッという音と共に、ナイールはその場に膝をつく。
 その額からは、ツーと赤い筋が出来た。
 ムハンバードの手には、鞭が存在する。それを振るったのだ。

「このっ、ぐずがっ、のろまがっ!! 何故わしにはお前のような王子しかおらぬのだ! わしの息子なら、もっとわしの為に働いて見せろ!」
「………」

 鞭は奴隷を甚振(いたぶ)る為の道具。
 ナイールは額を押さえながら、その手の影から王であり父でもある男を、密かに睨みつけた。

「陛下、貴族会議の事ですが――ひぃ! 王子様!? 誰か! 誰か医者を!」

 その時、この国の大臣らしい男が、王の部屋に入ってきたのだが、額から血を流すナイールを見て、顔を青くさせた。

「騒がずとも大丈夫だよ。ただのかすり傷だから……」
「しかし――」
「フン、王子が大丈夫だと言っておるのだ。放っておけ……」

 ナイールは額から手を離し、一度静かに王を見据えると、王子らしく優雅に一礼し、部屋を出ていった。
 ムハンバードは、王子のその態度に胸のむかつきを覚え、顔を醜く歪める。

「……奴隷を一人連れてまいれ」
「は……?」

 ムハンバードは、その場に残っていた大臣に向かって命じた。
 しかし、ポカンとしている彼に、ムハンバード王は手に持っていた鞭をパシィッと音を出して誇示してみせながら、

「お前でも別に構わぬぞ」

 と言う。それで漸く何を言わんとするのか分かり、慌てて奴隷を連れて来る為に、部屋を出るのだった。




 自分の執務室に戻ったナイール。
 部屋の中は暗いままで、額の傷には布をあてがい、窓の外を眺める。
 外には星が降っていた。
 窓の外に吊るしてある星かごを取り出すと、中には星が入っている。
 別に願い事はしていなかった。ただ、星かごに入る星を眺めるのが好きだったのだ。
 この温かく柔らかな光。手をかざしても、触れようとしても、何も感じる事の無い不思議な光……。
 小さい頃から、この光を見ると心が落ち着いた。
 そして今も、額に感じる痛みが和らぐ様だった。

 その時、扉をノックする音が聞こえ、「どうぞ」と声を掛けると、虹色の髪の、一見儚げな女性が入ってくる。その背には、蜻蛉(かげろう)の様な薄い羽が存在した。
 彼女は、部屋が暗い事に眉を顰めた。

「ああ、すまないね、イーシェ。今明かりをつけるよ」

 ナイールはランプに明かりを灯す。

「吃驚したミョ。一瞬、夜の相手でもさせられるのかと思ったミョ」

 ナイールの手元にある星かごを見て、暗くしていた理由を知ったイーシェ。見た目からは掛け離れたその言い様に、ナイールは苦笑いをした。

「で、傷を治して欲しいと聞いたミョ。傷を見せるミョ」

 ナイールは素直に額の傷を見せる。

「……こんな傷は、放っておいても治りそうミョ……」

 面倒臭そうにイーシェは呟いた。

「……あの男に付けられた傷は、一刻でも早く消し去ってしまいんでね……」

 嫌悪感を露わに、ポツリと呟くナイールを、イーシェは暫し無言で見つめると、小さく息を吐き出し肩を竦めた。

「まぁ、顔の傷は、カムイぐらいの男じゃないと似合わないミョ。ナイール王子みたいな優男には、悲壮感が漂うだけミョ」

 そう言いながら、ナイールを椅子に座らせ、傷に手をかざすイーシェ。
 口の中で呪文を呟くと、かざした場所にポウッと光がともり、傷がみるみる癒えてゆく。

「終わったミョ。痕なんか残らないくらい、綺麗さっぱり治したミョ。手早く完璧にが、イーシェのモットーミョ」
「後で報酬を渡すよ」

 報酬と言う言葉に、イーシェはピクリと反応する。

「ミョミョ〜! それなら断然、金より現物ミョ! 女は何かと物入りミョ! できればお肌にいい物がいいミョ! この国は日差しが強いから、お肌のダメージが酷いんだミョ!」
「では、肌にいい化粧水と果物でも用意しようか。後日改めて渡すとするよ」
「ミョミョ〜! またいつでも呼ぶといいミョ! お肌の為なら、イーシェは骨身を惜しまないミョ!」

 イーシェは嬉しそうに笑って部屋を出て行く。ナイールはそれを、軽く首を振って、苦笑しながら見送るのだった。





 ~アルフォレシア~

「マオさん、ごめんなさい。約束守れなくて……」

 早夜は中庭にて、クラジバールに向かう前に、マオに会っていた。
 マオの国に行って、彼女の父の病気を診るという約束を守れなくなってしまった為だ。

「何を言っているサヤ。お前の決断は賞賛に値する! それにな、父王なら大丈夫だ! 実はな、父王の健康を願った星かごに、星が入ったのだ! きっと、父王の病は快方に向かう筈だ!」
「そうなんですか? よかった……」

 心の底から安堵する早夜に、マオは何度も頷いて見せた。

「それにな、お前を妾の国に呼ぶ事は、決して諦めた訳ではないぞ。友として、お前を妾の国に招待したい! 妾の国は小さいが、とても綺麗な国だ。サヤにも見てもらいたい。
 だから、絶対に無事で帰ってくるんだぞ! 無茶な事はするな。何かあったら、この妾とサヤの友情の証で連絡するんだぞ!」

 そう言って、自分の腕に嵌めた腕輪を見せる。
 早夜も自分の持つ腕輪を見せ、頷いた。

「はい、恐らくこれなら、結界内でも連絡が取り合えると思います。それに、私もマオさんの国が見てみたいです。だから絶対に無茶はしませんよ」
「ウム、約束だぞ! 妾もまだこの国に居るつもりだ。何せ、妾がいなければ、連絡手段が無いのだからな!」

 マオはフフンと胸を張る。

「フン、小国のじゃじゃ馬姫が、よく言ったものだ」
「ムッ! じゃじゃ馬姫とは妾の事か!?」
「他に誰が居る?」

 いきなり声を掛けてきたのは、盲目の老人、オースティンであった。
 その傍らには、彼に付き添うバーミリオンの姿もある。彼は深刻そうな顔で、早夜を見ていた。
 オースティンは早夜の方を見ると、ニヤッと不適に笑った。

「あのクラジバールに潜入するとは、中々勇ましい娘だな。中身は大分、見た目の印象とは違うらしい」
「そんな、潜入するとかそんな風には考えていなかったです……ただ、クラジバールには会いたい人が居るんです……」
「フン、男か?」
「え? ああ、はい。私の兄です……それと私のお友達も……」

 それを聞いて、オースティンはニッと笑うと、隣に居るバーミリオンに、

「だ、そうだ……」

 と告げた。
 バーミリオンは一気に顔を真っ赤にさせると、慌てて首を振る。

「わ、私は何も言ってません!」
「ククッ、会いたい者が居ると聞いて、お前が息を詰めたのが聞こえたぞ?」
「お、お館様!」

 何故バーミリオンが真っ赤になっているのか。早夜はそれが分からず、首を傾げていると、ポンと肩を叩かれる。見れば、マオが真剣な顔で、頷いている。

「やっぱりサヤはモテモテだな! 羨ましいぞ!」
「えぇ!?」

 今度は早夜が慌てる番なのであった。



「あ、そうだ。オースティンさん」

 早夜が思い出したように声を掛けた。

「なんだ」

 オースティンは見えない目で、早夜の事を見る。
 早夜は彼の前に立つと、背伸びをして彼の顔に触れた。本当は彼の目元に触れたかったのだが、彼は老人と言ってもかなり背が高くて、あごの部分を触れるのが精一杯であった。
 オースティンはいきなり触れられ、驚きに目を見開いている。
 そんな彼に早夜は言った。

「あの、試させてくれませんか? もしかしたら治るかもしれません……」

 傍らに立つバーミリオンが、ハッと息を呑んだ。
 マオは、「なんだ? 何処か悪いのか?」と怪訝そうに眉を寄せている。

「……医者や魔術師に見てもらったのだが、駄目だと言われている……」
「……それでも、試させて下さい。何もしないで行ったら、心残りが出来てしまいます」

 オースティンはそれを聞くと、一度目を瞑り、フッと笑った。
 そして一言、「頼む」と言った。

 その後、跪いたオースティンの両の瞼に、早夜は魔力を纏わせた指を置く。
 早夜の瞳が紅く染まり、それと同時に魔法陣が浮かび上がる。

「おお、凄い! これがサヤの魔法か!」

 マオが興奮して叫ぶ。
 バーミリオンも、緊張した面持ちで、事を見守っていた。
 もし、ここにルードが居たのなら、そのあまりの高度な魔術に、度肝を抜かれた事だろう。
 実際、現われた魔法陣は、何種類かの魔法を組み合わせた複雑なものだった。よって、それを発動させるだけの魔力も、普通とは桁違いである。例えば、並みの魔術師がこの魔法を行う為には、数人で行わねばならないほどの量。
 それを一人で行う早夜。
 しかし、それがどれだけ凄い事なのか、当のサヤ本人は、術に必死で気付かなかったし、マオやバーミリオン、治療を受けているオースティンは、魔力の強さに驚くのみで、その凄さに全く気付かなかったのである。

 魔力を纏わせた手を外し、魔法陣も収めると、早夜は一言「終わりました……」と言った。
 バーミリオンがハッと緊張した面持ちで見守る中、オースティンはゆっくりと目を開けてゆく。

「……如何ですか? オースティンさん」

 オースティンは目を開けた後、数回瞬きをし、瞳を揺らめかせ、そしてひたと早夜を見据えた。
 暫し早夜を見つめた後、フッと笑い、

「愛らしく儚げか……バーミリオンの言った通りだな……」

 そう言うと、早夜の手を取った。それは、早夜の目で見て、行った行為であった。

「我らの国タンバスは傭兵国家だ。利益ある事でしか動かぬし、何処にも属さず、何者の下にも付こうとはしてこなかった。しかし――」

 オースティンは頭を垂れると、早夜の手の甲に自らの額を当てる。

「オースティンさん!?」
「お館様!?」

 戸惑う早夜とバーミリオン。マオは訳が分からず首を傾げている。

「今わしは、そなたの為に、この身の全てで誓おう。そなたに何かあれば、この老いた身であるが、全力で剣を振るおう。そなたが助けて欲しいと言えば、何処へでも喜んで駆けつける……」

 オースティンは再び顔を上げると、早夜を仰ぎ見る。

「再びこうして光を見る事が出来るとは、夢にも思わなかった。そなたのお陰だ……わしは、もう孫の顔も知らずに死んでゆくのだと思っていた。ありがとう、サヤ殿……」
「……オースティンさん……」

 彼の顔は、今までの彼からは想像もできない位、穏やかであった。それでいて、その瞳には、鋭い光と力があった。
 オースティンはすっくと立ち上がると、孫であるバーミリオンの元に歩み寄る。

「お館様……」

 明らかに今までの雰囲気と違うと感じるバーミリオン。光を奪われた事は、それほどまでに人を変えてしまう事なのだと知った。
 オースティンはバーミリオンを見下ろすと、フッと笑い、耳飾を外して見せた。

「これはもう必要無い。今まですまなかったな。お前はもう、わしの為に動かずともよい。これからは、自分の為に自由に行動しろ」

 そして彼は、孫の頭に手を置くと、クシャリと一度だけ頭を撫でる。

「それにしても、見た目は全然わしと似てないな……。中々に良い男ではないか。……これならば、お前次第で、あの娘の心を掴めるのではないか……?」
「お、お館様!!」

 慌てふためくバーミリオンに、オースティンは豪快に笑って見せたのだった。
 それから、彼は早夜を見ると、一つあるお願いをした。
 それは、あの桜の幻影を、もう一度披露して欲しいという事。

「バーミリオンがわしに伝えるのを忘れるほどの光景……。わしもこの目で見てみたい」

 実際には、バーミリオンは、桜に心を奪われていた訳ではなく、早夜の姿に心奪われていたのだったが、オースティンは黙っていることにする。
 そんな心の内など知らず、早夜は快く、

「はい、喜んで」

 と承諾したのだった。



 今早夜は、オースティンの前に立ち、頭を下げると、目を閉じて集中する。
 見せたい、見てもらいたいという気持ちで、頭に浮かぶ人を魔力に乗せ、構築してゆく。
 ルードに教えた物とは少々異なった物だった。あれは、二人で行うもので、今回早夜は一人。
 それに、先ほどの治癒魔法とは違い、気持ちに余裕があるせいか、不思議と高揚感があった。
 次から次へと魔力が溢れ、何でも出来るのではないかという自信も溢れてくる。
 口元には自然と笑みが浮かんだ。
 そして、開いた瞳は紅く染まり、それを見たオースティンたちは、一瞬、これが本当に早夜だろうかという思いに囚われた。

 早夜は胸の前で手を組むと、桜の景色を思い浮かべ、同時にこの国の人たちの顔も思い浮かべる。
 組んでいた手を広げると、早夜を中心に、桜の景色が広がっていった。
 オースティンが「おおっ」と声を上げる。一度見ていたマオやバーミリオンでさえ、その美しさに息を呑む。
 空をも覆いつくす、薄紅色の桜の花。
 そして、それと時を同じくして、早夜と親しい者達の所にも桜の花びらが舞い散った。

 それは、王妃と共にいた王アルファードの元にも。
 自室で、リュウキが戻ってくるのを祈っていたセレンティーナの元にも。
 娘のミシュアと妻のアイーシャと共に居たミヒャエルの元にも花びらは舞い降りた。
 カートの元には、部下達と剣の稽古をしていた時。ルードは魔学書を読んでいる時だった。

 シェルは、マウローシェと共に居た。何やら難しい話をしていたのか、深刻な顔をしていた所に、フワリと花びらが舞い降りた。

「おや、これは……?」
「……サヤ?」

 その花びらを手にとって、シェルは早夜の存在を感じ取った。


「ん? なんだこりゃ?」

 リカルドは、ゴミための街でマシュー達と共に居た。クラジバールに行く為の方法を模索していたのだ。そして何故か、その場にはカンナも居た。彼らが、クラジバールの地図を眺めている時に、花びらは舞い降りてきた。

「花なんか無いのに、おかしいな……」

 マシュー達が首を傾げる中、リカルドはその花びらに見覚えがあり、

「これは、サヤが見せてくれた、サクラ……?」
「ええ、これはサヤ様の幻術です。遠隔魔法ですね……」

 恍惚の表情を浮かべ、カンナは呟く。
 リカルドは、その桜の花びらを見つめながら、

「クラジバールに行く前に、こんな魔法使って大丈夫なのか? あいつ、ついこの間、死に掛けたばっかだろ?」

 心配げに呟くリカルドであった。





 ヒラリと足元に、白く小さな物が舞い落ちてきた。
 一瞬雪かと思ったが、それは桜の花びらであった。
 周りを見回してみたが、ここには桜の木など無い。いや、存在し得ない。世界が違うのだから。
 それから再び、一枚、また一枚と、と花びらは落ちてきた。
 そして気付いた。
 それは自分の耳に付けてある、ピアスから舞い落ちてくるのだと。
 一枚手に取ると、それは光となって、淡く輝き消えていった。

「全く、不可能を可能にする力だね、万物の力は……」

 フッと笑い、彼は眼下を見下ろす。
 そこは崖となっていて、その下には、彼の目指す城が存在する。

「ここからの景色は全く変わってないな……本当に懐かしい……」

 紫の瞳を細めると、彼はそう呟いた。
 その時後ろで、ガサリと音がして、

「あ、三つ目の神様――」
「シッ、声を出しては駄目!」

 幼い声が彼の耳の届いた。
 見ればそこには、声の通りの幼い子供が居た。姉と弟なのだろうか、容姿はよく似ている。
 姉の方が、弟の口を塞いで、此方を不安げに見つめていた。
 彼はフッと笑うと、

「まだこの世界は、僕を神と呼ぶのか……」

 そう口の中で呟き、姉弟(きょうだい)に歩み寄っていった。
 不安げであるが、逃げる素振りは見せない。
 彼は子供達に目線を合わせると、明るい声で言った。

「やぁ、初めまして。僕は元神様をやってた、リジャイ・クーって言うんだよ。呼ぶ時は、ジャイジャイ、それかクーちゃんでいいよー」

 子供達は、パチパチと瞬きをする。
 弟の方は、興奮で頬を紅潮させながら、自分の口を塞ぐ姉の手を振り解き、

「すっげー! じっちゃんの言ってた通りだ! 本当に目が三つある!」
「あっ、こら!」

 姉はたしなめるが、男の子は更に声高に言った。

「なー、三つ目の神様って、本当に人間の事食うのか!?」

 姉がギョッとして、顔を青くさせる中、弟は興味しんしんだ。
 彼はニッと笑い、

「そーだぞー、悪い子は、頭からバリバリ食べちゃうぞー」

 と言う。そのあまりのふざけた言い様に、姉はポカンとして、弟の方はちょっとムッとしている。

「おいらは悪い子じゃねーよ!」
「フフッ、分かってるよ。そう怒らない、怒らない。そこで、良い子の君に三つ目の神様から頼み事。僕が居なくなっていた間のこの国の現状を知りたいんだけど、誰か事情を知ってる大人の人と話したいな。誰か知らない?」
「それなら! おいらのじっちゃんに聞くといい! じっちゃんずっと、神様の事待ってたんだ!」


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