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《第五章》
おまけ(花ちゃん隊長)
 ピー、ピッ! ピッピッピッ!

「アイ! ソコ! 動キガズレテマツヨ!」
「花チャン隊長、ツミマテンデツ!」

「ウァイ! ソコ! ソコハモット、動キニ切レヲ! コウデツ、コウ!」
「アイ! ワカリマツタ! オ見事デツ、花チャン隊長!」

「な、何してんの? あれ……」

 その光景を見た蒼は、呆気にとられた顔をする。

「さぁ……ってゆーか、すげー……」

 その隣に立つ亮太もまた、同じ顔をして、それらの光景を眺めている。

「フム、何でも、お前さん達の世界で会得したロボットの舞を、皆に伝授しておるようじゃの。
 あの子もすっかり、リーダー格ジャ」

 確かに、今や花ちゃんは、魔道生物達の先頭に立つ存在となっていた。
 そして、彼らの憧れの的となっている。
 花ちゃんから教わる、ロボットの舞や、ロボットアニメの話は、彼らの中で一種のステータスとなっていた。

「うーん……リーダー格ねぇ……」

 蒼は思い出していた。
 この前、花ちゃんは魔道生物を集め、日本で見たロボットアニメの話を、楓から贈られたロボットのおもちゃを使って説明していた。
 花ちゃんがそのおもちゃを動かす度に、彼らは感嘆の声を上げる。
 最初はそれ程でもなかった彼らの数も、日を追う毎に増え、今ではここに居る魔道生物全てにまで広がっていた。

 そして今、彼らにロボットの舞を教えている花ちゃん。
 皆、その踊りを見て、かつての花ちゃんのように衝撃を受け、その踊りを真似し出したのである。
 そしてやはり、その時も花ちゃんは、あの奇妙で微妙な顔と掛け声もそのままだったので、彼らもまた、そっくりそのままその部分を真似するのである。

「これだけ大勢でやると、圧巻よね……」

 ザッ、ザッと音を立てながら、数百という数の魔道生物達で、一様に同じ動きをしている。

「あの子等にとって、踊りは特別なものの様ジャからのぅ。妥協とかは一切しないのぅ」

 ピトが微笑ましげに見ている。
(こ、これの何処が微笑ましいのかしら……?)
 ピトを信じられない思いで見る蒼。
 すると、踊りを教えていた花ちゃんが、此方に気付く。そして、彼らの踊りを続けるよう、厳しい顔で言うと、パッと顔を輝かせて、蒼の元にやってきた。

「如何デツカ? 如何デツカ? 僕ラノ踊リ、大分、様ニナッテキマツタカ?」

 頬を紅潮させ、そう言ってくる花ちゃんに、蒼は苦笑しながら頷いた。

「ええ、凄いわね、これは……」
「今のままで、十分凄いって、花」

 蒼と亮太の言葉に、花ちゃんはフルフルと首を振った。

「ソンナ! マダマダナノデツ!」

 グッと拳を握る花ちゃん。更に高みを目指しているようである。

「おお、そうジャ! あれを見せてやっては如何ジャ? そっちも練習したんジャろ?」

 ピトに言われ、花ちゃんはハッと顔を上げ、

「ソウデツタ!」

 と大きな声を上げた。
 そして、「ピーー!」と笛を吹き、魔道生物達を集合させ、彼らに言う。

「我々ハコレヨリ、ロボット合体ノ成果ヲ見セマツ! 皆、練習通リニ頑張ルデツ!」

『オオーー!!』

 彼らの雄叫びが響き渡った。
 それから皆、円盤に乗り込み、花ちゃんの合図の下、列を組み、何らかの陣を取ってゆく。

「デハ! ポチットナ」

 花ちゃんが、円盤の中のとあるスイッチを押す。
 すると一斉に、

『ポチットナ!』

 と、皆が声を出し、スイッチを押していた。
 途端に、ミョミョンと円盤から、細いアームの様な物が出現したかと思うと、ガシッ、ガシッと隣同士でそのアームを繋げてゆく。
 それはやがて、一体の大きな人形ひとがたとなった。

「も、もしかしてこれって……」
「うおー、すげー……」

 蒼達は呆気に取られ、それを見上げていた。

「フム、ワシもロボットの話を聞いての、面白そうジャから、円盤をちょっと弄った」

 ピトが楽しそうに笑っている。

 ピーーピッ! ズシーーン!

 ピーーピッ! ズシーーン!

 笛の合図と共に、その巨大ロボットは、一歩一歩歩き出す。
 そしてその笛を吹いているのは、勿論、我らがアイドル花ちゃんである。しかも、ロボットの頂上に居たりする。
 花ちゃんは、物凄く真剣な顔で、彼らに指示を出している。

「それで、これって何が出来るんだ?」

 亮太がふと、疑問をピトに投げかける。
 ロボットならではの機能はあるのだろうかと思ったのだ。
 だがピトは、キョトンと彼を見る。

「何がって、何がジャ?」
「え? いや、ミサイルとか、腕とか飛ばしたりとか、出来るのかなって……」

 するとピトは、眉を顰めて言った。

「そんな事をしたら、あの子等が傷付いてしまうジャろーが……」
「え? じゃあ、ただ合体するだけ?」
「ウーム、そうじゃな……。重い物を持ち上げたり、運んだりする時は、便利かのぅ……」

 それを聞いた亮太は、頭を抱えた。ちょっと期待してしまった事に後悔する。
 そんな彼に蒼はポンと手を置いて言った。

「まぁ、平和でいいじゃない。花ちゃん達も楽しそうだし……」

 蒼は、巨大ロボットを見上げる。
 彼らは皆、真剣な顔をしていたが、その目はキラキラと輝いていた。




「ウオッ!? 何だ。これは!?」

 その時、丁度やって来たロイは、その巨大な人形を見て、度肝を抜かれた。
 そして、ズシーン、ズシーンと動く様を見て、顔を青くさせ、慌てて研究所を飛び出した。


「何言ってるの、ロイ? あんた、夢でも見てたんじゃないの?」
「そうミョ。巨大な人形が、研究所の中を闊歩していたなんて、夢以外ありえないミョ」
「そんな、夢じゃないのだ! この目でしっかりと見たのだ!」
「なら、目を開けたまま寝ていたんだミョ。器用な奴ミョ」

 ロイは泣きそうになった。

「ははは、それってつえーのか?」
「おお、信じてくれるか、カムイ! でも、強いかどうかは分からん。ただ物凄くデカかった」
「ピトがまた、何か研究でも始めたんじゃないか?」

 ムエイことリュウキが言った。
 すると、ミリアがパッと手を上げる。

「はい! 私もそう思います、ムエイ様!」
「ミリアがそう言うなら、イーシェもそう思うミョ!」

 そんな二人にロイはシュンとなる。

「我の言う事は信じなくて、ムエイの言う事は信じる……。何だか、物凄く悲しいのだ……」
「ははは! 元気出せ、ロイロイ!」

 バシーンとカムイに叩かれ、ロイは哀れ、地面に倒れ付すのだった。



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夢の逢瀬 ←番外編です。


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