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《第四章》
無題5
 (ある男の日記)

 『 私はその魔術師に会った。
 
   何の変哲もない、ただの少年に見えた。

   だが、その内に秘めた力は計り知れない。

   何でも“万物の力”というものを授かった者らしい。

   何にしても、どれ程の力が得られるのか、楽しみだ。


   まずは信用させなくては、

   あの旅人が主にしたように――― 』


  〜次ページ〜


 『 その少年は意外なほど素直で、直ぐに私を信用した。

   そして、その少年はいやに人に好かれる人物であった。

   これも“万物の力”の成せる技なのだろうか?


   その少年の元には、様々な人間が集まっている。

   これならば、私が入り込んだとしても怪しくはないだろう。


   心臓を喰らうのは、もう少し信用させてからだ。

   散々信用させた後で、裏切られた者の心臓は、

   絶望と恐怖に彩られ、格別の味となるのだから 』


 〜その後、少年との日常が書かれており、始終「退屈」という文字が見受けられる〜


 『 今日、少年の近くにいる者に怪しまれた。

   一体何がいけなかったのだろう?

   だが、そろそろ頃合であろうか……。

   少年は、十分私を信用している。

   明日、決行しよう――― 』


  〜次ページ〜


 『 何という事だろう。

   あの、私を怪しんでいた者に邪魔をされた。

   おかげで、少年を直ぐに殺してしまった。

   絶望と恐怖を植えつける事が出来なかった……。


   変わりに、その邪魔をした者をいたぶる事にした。

   だが、その者は最後まで私を睨んでいた。

   私は、そいつの心臓を喰った後、

   ゆっくりと少年の心臓を喰らう事にした 』


  〜次ページ〜


 『 すばらしい!

   実にすばらしい!

   何という力、何という知識の宝庫!

   “万物の力”とはこれ程までに素晴しい力なのか。


   だが、何故だろう?

   この胸に残るしこりの様なものは……。

   少し長く居過ぎたのか?


   あの瞳のせいだ。

   最後のあの少年の瞳。

   あれは、私を哀れんではいなかったか?

   死んでゆくのに、恐怖ではなく、私を哀れんでいた。

   それに、声を出す事に出来ない少年は、最期、何かを言おうとしていた。

   少年は一体、何を言おうとしていたのだろう?


   だがまぁいい……。

   主よ、私は漸くあなたを超えた。

   だが、まだ足りない。

   あの旅人は、あれからどれ程の心臓を喰ったのだ?

   恐らく、あの頃以上の力を得ているのに違いない。

   もしかしたら旅人も“万物の力”を持った者の心臓を喰らったかもしれない。


   だとしたら、また探さねば、その“万物の力”を持った者を――― 』



 漸く、万物の力の事が出てきました。その力が人を惹き付けるのか……。
 そもそも、そういう人間に力が宿るのか……。早夜が人気の理由かもしれません。
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夢の逢瀬 ←番外編です。


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