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THE WORLD 作者:SEASONS

4月16日

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聖戦

《サイド:??照栄しょうえい

…これでいい。

…これでいいのだ。

小さく呟きながら、その場に腰を下ろした。

すでに70を越える年齢だ。

僅か数分の演説が限界だった。

「歳はとりたくないものだな…」

体力的な限界が即座に訪れてしまうからだ。

「例えこの戦いに勝てても死期は近いだろう」

年齢という限界は決して乗り越えられない。

戦争の行方がどうあるかに関係なく。

私は近いうちに死を迎えることになるだろう。

だからこそ。

生きている間に出来る限りのことをしなければならない。

残される全ての者達のために。

私に出来ることを続けなければならないのだ。

「頼むぞ、皆の者よ…」

戦場に向かう者達の活躍を願い。

再び立ち上がろうとする私に側近の一人が駆けつけてくる。

「照栄様!」

ふらつく私に駆け寄る男は私の腹心の一人だ。

「心配ない。まだ大丈夫だ。」

長年の付き合いもある男に微笑んでから答える。

「まだまだやるべきことがあるからな。こんな所で力尽きることなど。この老いぼれの魂が許さん」

自らを奮い起こして立ち上がることで自らの存在を示してみせる。

まだ倒れるわけにはいかないのだ。

私にはまだ役目がある。

この国で魔術師狩りを始めた男の意地として、
戦いの結末だけは見定めなければならないからだ。

「この戦いが終わるまで死にはしない」

私の名前は『真田照栄』(さなだしょうえい)。

共和国のグランパレスに使者として訪れた真田国定さなだくにさだの祖父であり。

この国の先代国王でもある。

5年前に起きたとある事件をキッカケとして国王の座を引退したことで息子に国王の地位は譲った。

そして本格的に『魔術師殲滅』に向けて活動し始めたのだ。

「失敗は許されん。」

最初に立ち上がってから40年以上に及ぶ魔術師狩りの成果。

その全ての集大成として、今回の戦争を引き起こしたのだからな。

「今回の作戦のために多くの民を巻き込んだのだ。倒れゆく英霊達のためにも必ず成功させてみせる」

後悔はしない。

ただ前に進むのみだ。

「この戦争こそが聖戦であり、これからも続いていく全ての戦いのきっかけとなるのだ。」

悲しみを知る者達に敬意を。

そして苦しみを知る者達に栄誉を。

「泣き寝入りなど不要だ」

これは始まりであり。

同時に終わりでもある。

「全ての魔術師に永遠の滅びを…」

憎しみを込めて呟く私の言葉を、
側近を務める男『九条秀人くじょうひでと』は静かに聞いてくれていた。
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