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THE WORLD 作者:SEASONS

4月16日

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数よりも質

《サイド:米倉美由紀》

そろそろ午後11時30分頃かしらね?

共和国軍は問題の砦に接近したわ。

北側を『総司令官』の鞍馬宗久くらまむねひさ

西側を『司令官』の岸本克也きしもとかつや

南側を『隊長』の近藤悠護こんどうゆうご

それぞれに各1万ずつの魔術師を預けて部隊を任せてる。

…で。

肝心の私は5千の魔術師を率いて正門がある東側へと軍を進めているのよ。

もちろん私の部隊には切り札でもある御堂君達も参加してるわ。

戦闘能力どうこうよりも一撃の破壊力は間違いなく最上位だから、
御堂君達が本気になれば数万の兵士達も一掃できちゃうでしょうね。

まあ、味方を巻き込まずに上手く当たれば…だけど。

とりあえずは強力な戦力だと信じて着いてきてもらってるわ。

ひとまず現状は明かりも点さずに進軍してる最中なんだけど。

さすがに万を越える魔術師達の接近に気付かないほど砦の兵士達も馬鹿じゃないようね。

『敵襲だー!!!』

『魔術師が攻めてきたぞーー!』

一気に慌ただしくなる砦。

やっぱり気づかれちゃったみたい。

まあ、予想してたから慌てはしないけどね。

まずはアストリア軍に反撃の余裕を与えることのないように、
全ての部隊に突撃の合図を出すことにしたわ。

「全軍前進っ!!!」

広大な砦に突き進む仲間達に突撃の指示を出す。

突然の夜襲ということもあるけれど。

まともに兵士としての訓練を受けていない寄せ集めの部隊では、
10万人を揃えても私達の進行を止めるには到らないはずよ。

次々と城門を目指す魔術師達によって、
砦を包囲されたアストリア軍は恐慌状態になっているようね。

砦の内部は大混乱に陥っているのが分かるわ。

さすがに正規の軍じゃないなら、これは当然の流れだと思う。

もちろん慌てて動き出す正規軍もいるようだけど僅か1万程度では話にならないわ。

四方に送れる頭数は僅か2500なのよ?

とても1万の魔術師に対応できる数ではないはず。

「数だけじゃ勝てないのよ」

魔術師を殺したければ数よりも質が重要なのよ。

まともにぶつかり合えば確実に共和国軍が勝てるわ。

そう思いかけていたんだけど…。

予想に反してアストリア軍の混乱が急速に収まり始めたわね。

その理由はただ一つ。

怒号と悲鳴が響き渡る砦の中を一人の老人の声が響き渡ったからよ。

「鎮まれっ!!!」

とても老人とは思えない声量だったわ。

砦の外部にいる私達からはその姿が見えないけれど。

声の質からして老人なのは間違いないと思う。

それほどの声だったから砦の全域に届いていたでしょうね。

混乱が広がる砦の内部で老人の声に気付いた者達が一斉に砦の中央へと視線を向けたわ。

砦の…中央?

それって、あれよね?

国光君の報告から考えて、
天城君が忍び込んだと思われる建物よね?

その展望台に老人がいるみたい。

指揮官と思われる老人の声に気付いた多くの者達が、
老人を見た瞬間に冷静さを取り戻してその頭を下げ始めたわ。

「…皆の者よ…」

語り始めた老人の言葉を、
多くの者達が耳を澄ませて聴き入ってる。

「これは定められた運命であり!救われぬ者達の為の戦いだ!怯えることはない!!勇気を持って立ち上がれ!!そして憎むべき魔術師達を一人でも多く道連れにするのだ!!!」

大声で叫ぶ老人の姿を見て、
指示を受けたアストリア軍の全ての者達が体を震わせているようね。

照栄しょうえい様」

誰かが呟いたのが聞こえたわ。

…ああ。

照栄なのね。

その名前の人物が何者なのかを私は知ってるわ。

…厄介なのが出てきたわね。

まさかこんな最前線に出てくるなんて思っていなかったけれど。

だけどあの場所にいるのがもしも本当に照栄だとすれば、
この戦いは激戦になると思うわ。

「「「「「照栄様っ!」」」」」

次々と老人の名を叫ぶ者達の声が砦全域に広がっていく。

「「「「「照栄様ーーっ!!!」」」」」

尊敬の眼差しを向ける者達の声を聞きながら、
照栄は全ての者達に宣言したのよ。

「今こそ悪しき魔術師達に立ち向かう時!!皆の者達よ!全ての思いをさらけ出し、その無念を晴らすのだっ!!!」

寄せ集められた人々を扇動する照栄の言葉を聞いた多くの者達が覚悟を決めて立ち上がる。

「今こそ戦うべき時だっ!!!」

誰かが叫んだわ。

そして大きな意志を秘めた弱き人々の戦いが…ついに始まったのよ。

「「「「「行くぞー!!!!」」」」」

武器を手に取って戦場へと走り出す人々。

その姿を眺めてから、問題の照栄は後退したようね。
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