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THE WORLD 作者:SEASONS

4月16日

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同類

「さあ、着いたわよ!」

馬車を停止して呼び掛ける理事長の言葉に反応して、
私達はほっと安堵の息を吐いたわ。

ひとまずこれで解放されるからよ。

美春特製の酔い止めの薬を飲んでいたとはいえ。

一日中、馬車に揺られているとさすがに体力が限界に差し掛かってくるわ。

12時間の大移動だったのよ?

昨日程ではないけれど。

気持ち悪さを感じる程度には体調を崩しているわ。

見た感じだと龍馬はまだ良い方だけど。

私と沙織はちょっぴり疲労感が漂ってるし。

優奈ちゃんと悠理ちゃんは立って歩くのが精一杯っていう感じね。

特に悠理ちゃんは薬を飲んでいないせいか、最も重症に陥ってるように見えるわ。

吐き気さえ感じながら顔を青く染める悠理ちゃんは、
長時間の揺れのせいで表情が完全に死んでいるわね。

昨日の私達と同じ状況なのよ。

「ね、ねえ。悠理ちゃん、大丈夫?」

問い掛ける優奈ちゃんだけど。

「………。」

すでに返事を返す余裕さえないみたい。

悠理ちゃんは俯いたまま一言も話せずに力なく優奈ちゃんに寄りかかっているわ。

「みゃ~♪」

頬に擦り寄るミルクにも悠理ちゃんは反応を示さないのよ。

これはもう完全に病んでるわね。

気を失えればまだ苦しまずに済むんだけど。

酔った状況では眠ることさえできなくて、
ただただ吐き気を耐えるしかないわ。

今の悠理ちゃんの気持ちは私も昨日経験したから嫌っていうほど理解できるのよ。

「う~ん。重症ね…。」

悠理ちゃんを見て呟く。

「早く医務室に運んだほうが良いんじゃない?」

ここに美春はいないけれど。

他にも薬剤師はいるだろうし。

医療重視の学園なんだから薬は一杯あるはずよね?

「薬を貰えば楽になるわよ」

今はそれくらいしか言えないから保健室に向かうように説得してみる。

とりあえず沙織と優奈ちゃんも同じ考えなのかな?

何度も何度も頷いていたわ。

二人も昨日、同じ経験をしてるから悠理ちゃんの容態を心配しているようね。

だけど。

そんなことはお構いなしに、
昨日と同様に真哉だけは元気そうな表情で馬車を降りていたのよ。

「んあー!!腹減ったー!!!」

馬車を降りて早々に叫んでる。

乗り物酔いを感じさせない真哉の言動を見て今日も羨ましさを感じてしまったわ。

「何でそんなに元気なのよ?」

激しく疑問を感じるんだけど。

「大丈夫ですか?」

心配そうな表情を浮かべる武藤君も真哉と同じで平気みたい。

平然とした雰囲気で私達を見回す表情には乗り物酔いの影響が見られなかったわ。

「武藤君は平気なの?」

「はい。僕は全然平気です」

問い掛ける優奈ちゃんに、武藤君はしっかりと頷いてる。

わりと本気の笑顔で答えていたのよ。

強がりでも何でもなくて本当に平気なようね。

「真哉と同類なのね~」

だとしたら気にするだけ時間の無駄だから、
優奈ちゃんと協力して悠理ちゃんを馬車から降ろしたわ。

そのあとに続いて龍馬と沙織が馬車を下りてくる。

最後に武藤君が馬車を降りた丁度その時に、
私達の馬車の後方から、もう一台の馬車が接近してきたのよ。

『ガタガタガタッ!!!』って音を立てながら接近する馬車の音に気付いて、
理事長も馬車を降りてから接近してくる馬車に向き合っていたわ。

その後も車輪の音を響かせながら学園内へと突き進んできた馬車は、
私達の馬車と並んで停止したのよ。

ん?

あれ?

似たような馬車よね。

学園専用馬車っていうのかな?

見た目はほぼ同じだったわ。

校舎みたいに学園ごとに違うってわけじゃないみたい。

まあ、そこまで差は付ける必要はないのかな。

実用性が最優先だから見た目が同じになるのは当然の流れよね。

あとから来た馬車はマールグリナの学園の物でしょうね。

手綱を握っているのは琴平学園長だったからよ。

「すでにお着きでしたか…」

理事長と向き合って頭を下げてる。

「予定よりも遅かったわね」

「申し訳ありません。」

理事長の言葉に謝罪しながら、琴平学園長は馬車を降りたわ。

「会場の清掃で遅れてしまいました。完璧にとはいきませんが、最低限のことはしておくべきだと思いましたので…」

言い訳をする琴平さんの言葉を聞いた理事長は小さくため息を吐いてた。

「今の状況を考えれば、清掃なんてどうでもいいと思うんだけど?」

「いえいえ。最悪の場合、グランパレスが民間の避難場所となる可能性もありますので、いつでも使用出来るように区画の整理だけはしておくべきかと思います」

「ああ、なるほどね」

琴平さんの説明を聞いて、理事長は納得したみたい。

「そう考えれば、意味はあるかもしれないわね」

納得する理事長を見て、琴平さんはほっと安堵の息を吐いていたわ。

遅れた理由を話し合う二人。

その間に馬車を降りた栗原薫さんが沙織に声をかけようとしてたんだけど。

その前に体調を崩して苦しんでいる悠理ちゃんの姿に気付いたようね。

「どうかしたの?」

気遣うような感じで声をかけてきたわ。

悠理ちゃんに問い掛ける栗原さんだけど、
答える気力さえない悠理ちゃんは顔を上げることさえできないみたい。

だから代わりに私が答えることにしたのよ。
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