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THE WORLD 作者:SEASONS

4月16日

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証拠隠滅

《サイド:朱鷺田秀明》

さてさて。

撤退のために水路に身を潜めた私達は、
偵察前に隠した布袋から自分達の服を取り出すことにしました。

さすがにいつまでもアストリア軍の服を着ているわけにはいきませんからね。

砦を出る前に着替えを済ませておくべきです。

「急いで着替えましょう」

砦の内部では役に立ちましたが、
外部に出るなら目立つ服装は避けるべきですからね。

それぞれの服を手渡すと天城さんと三倉さんは即座に頷いてくれたのですが、
琴平さんだけは恥ずかしそうな表情を浮かべていました。

「今ここで、ですか?」

薄暗いとはいえ、身を隠せる場所のない通路です。

男性の前で着替えることに恥ずかしさを感じているのでしょうが、
ここで時間をかけている暇はありません。

急いでもらわないと困ります。

それに何より、まもなく厨房に人が集まってしまうでしょう。

日が昇り始めれば水路の入口が破壊されていることもすぐに見つかってしまうはずです。

なので、着替えのために一々移動している暇はありません。

「恥ずかしいのはわかるけど、軍の服を着たままで外をうろつく方が目立つから仕方ないのよ」

三倉さんは自分の服を抱えながら琴平さんに着替えを促しました。

「正直な話。ここは臭いし、汚いし、私だって良い気分じゃないし、恥ずかしい気持ちもあるけどね。だけどひとまず着替えないことには外に出られないから仕方がないわ。もしもアストリア軍に見つかったら絶対揉めるだろうしね。仮にそうじゃなくても共和国軍と遭遇して勘違いで攻撃を受けたら笑えないでしょ?だから、愛里ちゃんも頑張って着替えて!」

「は…はい。」

三倉さんの説得を聞きいれてくれたのか、
琴平さんはしぶしぶ頷いていました。

それでもまだ恥ずかしそうに俯いていますが、
納得していただけたようで何よりです。

ひとまず、お二人に背中を向けて着替え始めると、
天城さんも私の隣で着替え始めました。

そのあとすぐに三倉さんと琴平さんも私達に背中を向けて着替え始めたようですね。

お互いに背中を向けているので覗き見ることはできません。

そもそも見るつもりもありませんが、
それでも琴平さんは恥ずかしく思いながら着替えを急いでいたようです。

軍の服を脱いで学園の制服に着替える琴平さん。

その隣では三倉さんも着替えているはずです。

そうこうしているうちに5分ほど過ぎたでしょうか?

無事に着替えを終えました。

そして盗み出した服と鎧は布袋に詰め込みました。

袋ごと魔術で燃やして痕跡を消すためです。

持ち出すには邪魔になりますし、
置いていくと手がかりを残すことになりますからね。

なので。

燃やすことで痕跡を消そうと考えました。

多少は燃えきらずに残ってしまう鎧の破片などがあるのですが、
ドブの中へと流し込めばそれほど目立たないでしょう。

こうして証拠品の始末は終わりです。

「ひとまずこれでいいでしょう」

「ああ、そうだな」

私の言葉を聞いて頷く天城さんが撤退の指示を出します。

「脱出するぞ」

先陣を切って駆け出しました。

来た時もそうですが、
天城さんは道順を覚えているようですね。

見取り図を暗記しているのは間違いないでしょうが、実に頼る人物です。

彼のあとを私と三倉さん琴平さんが追って水路の脱出を急ぎました。

移動時間は10分程度でしょうか?

潜入時の時とは違って向かうべき方向がわかっているので移動は迅速だったと思います。

脱出を急ぎ。

水路を抜け出そうとして走り続ける私達の視線の先に、
一人で帰りを待ち続けてくれていた栗原さんの姿が見えました。

「みなさん、ご無事でしたか!」

喜ぶ栗原さんの周囲には、
意識を失って倒れる兵士達が数えきれないほど転がっていますね。

「かなり頑張ったわね~」

「いえ…」

感心する三倉さんに照れ笑いを浮かべる栗原さんも無事に合流しました。

「申し訳ありません。本来なら命を奪っておくべきかも知れませんが、僕にはそこまで出来ませんでした」

口封じを躊躇ためらったことで謝罪する栗原さんですが、
天城さんは気にしていないようでした。

「いや、問題ない。口封じは必要だが、強行突破の時点で侵入の事実は明らかだからな。命を奪ってもここから侵入した事実は隠しきれないだろう。それにここで命を奪ったところで戦局が変えられるほどの効果も望めはしないからな。今は脱出さえ出来ればそれで十分だ」

天城さんの言葉を聞いて、栗原さんはほっと息を吐いています。

「申し訳ありません。ありがとうございます」

もう一度謝罪した栗原さんは、真剣な表情を見せました。

「それでは急いで脱出しましょう。巡回の兵士達が戻らないことを不審に感じる人もいるかもしれませんから」

「ああ、そうだな。急いで離脱しよう」

気持ちを切り替える栗原さんを加えてから、
私達は5人揃って水路を脱出することに成功しました。
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