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THE WORLD 作者:SEASONS

4月16日

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撤退開始

《サイド:天城総魔》

調査を終えたことで、薄暗い厨房に戻ってきた。

だが朱鷺田達はまだ戻ってきていないようだ。

少し、遅れているのかもしれない。

いまだに誰も来る気配のない厨房だが、
ひとまず仲間の到着を待つことにした。

時刻はすでに午前4時だからな。

約束の時間になったことで、そろそろ戻って来るはずだ。

朱鷺田は単独だが、三倉と愛里は二人で行動している。

それぞれが無事なのは間違いないと思うが、
全員が揃うのはもう少し時間がかかるだろう。

朱鷺田の居場所は把握している。

食堂にいるのは確認済みだからな。

撤退に手間取っているのようだが、
不用意に割って入る必要はないだろう。

もう少し様子を見てから考えても遅くはない。

それよりも三倉と愛里だ。

シークレットリングを外した影響なのか、
魔力の感知能力が拡大したことで
魔力の波動を追跡すれば二人のおおよその位置がわかるようになった。

だからこそ二人が無事だと判断しているのだが。

二人はアストリア軍を回避しながら進んでいるようで、
ここに着くにはまだ少し時間がかかるように思えた。

さすがに二人の状況までは分からないが、
アストリア軍に大きな動きは見られないからな。

おそらく潜入がバレて逃走している、ということではないはずだ。

もう少し待っていれば帰ってくるだろうか?

いざとなれば助けに向かうつもりだが、
今はまだ迎えに行く必要はないだろう。

朱鷺田の撤退も遅れているからな。

慌てる必要はない。

そんなふうに考えながら仲間達の帰還を待っていると、
10分ほど経過してから外へと繋がる扉がゆっくりと開かれた。

室内に忍び込んできたのは二人の人物。

三倉と愛里だ。

「おまたせ」

小声でささやく三倉に続いて、愛里が謝罪してきた。

「遅くなってすみません」

「いや、謝罪はいい。朱鷺田もまだだからな。」

三倉と愛里とは合流出来たが、朱鷺田はまだだ。

「色々と調べてきたけど、報告はあとで良いわよね?」

「ああ、今はまだいい」

問い掛けてきた三倉に頷いてから静かに時計に視線を向けてみる。

時計の針は4時になってから10分ほどが過ぎていた。

あまり遅くなると砦からの撤退が難しくなるのだが、
朱鷺田はまだ撤退できないのだろうか?

もう一度食堂の様子を見てみようと考えたその時に、新たな音が聞こえてきた。

『キィィ…』と響く扉の開閉音。

入って来たのは撤退に手間取っていた朱鷺田だった。

「遅れてすみません。脱出に手間取ってしまいました」

遅れたことを謝る朱鷺田だが、
無事に合流できた以上は何も問題ない。

「これで全員揃ったな」

「みなさん、無事で良かったです」

「ええ、そうですね」

喜ぶ愛里を見て微笑む朱鷺田が歩みを進めてきた。

「ここまでは順調のようですね」

「今の所はね~。あとは生きて撤退出来るかどうかが、一番の問題だけど」

「水路を抜けるだけですから大丈夫ですよ」

「だといいんだけどね~」

気楽に微笑んでから、三倉はすぐに真剣な表情を見せた。

「最後まで、油断は出来ないわ。とにかく急いで脱出しましょう」

歩みを進める三倉が再び水路へと潜り込む。

続く俺達も脱出の為に、再び水路へと忍び込んだ。
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