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THE WORLD 作者:SEASONS

4月16日

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隠された会議室

そうして再び訪れた先程の部屋。

時間をかければ正体不明の男と遭遇しかねない部屋よりも、
無人の可能性の高いこちらの部屋の方が安全性が高いと思ったことで引き返してきた。

「もしも同じ状況なら、この部屋にもあるはずだ」

部屋の壁や床を調べてみる。

無駄に広いとはいえ基本的には何もない部屋だからな。

目的のモノはすぐに見つけることができた。

会議室らしき室内の中心に敷かれた絨毯の裏に、
扉が隠されているのが発見できたからだ。

「やはり、隠し扉か」

これで鍵がかけられていた理由が判明した。

あとはこの先がどこに繋がっているかだ。

隠し扉を開いてみる。

どこまで続いているのか分からないが、
先の見えない階段が延々と続いているようだ。

ここから中に入るのは難しくない。

調査に向かう価値はあるように思える。

ただ…。

「問題は誰かが来る前に逃げ切れるかどうかだな」

この先がどうなっているのか不明だが、
戻ってきた時に兵士達に包囲されてしまうのは危険だ。

強行突破は可能だが、
騒ぎになってしまえば10万の兵士に取り囲まれることになるからな。

そうなれば脱出は不可能だろう。

「上手く逃げ切れるかどうかは運次第か」

今回の作戦は一人でも逃げ切れれば成功だが、
10万対5人ではさすがに逃げ切れるとは思えない。

「最低限の調査ができたら即座に撤退するべきだろう」

このあとの方針を定めながら階下に続く階段に歩みを進めてみる。

何段あるのかさえも不明だが、
どう考えても2階や1階に向かう程度の距離ではないようだ。

…だとすれば。

砦の地下に向かっているのだろうか?

どこまでも続く階段。

それでも永遠ではなかった。

100段を越える階段を下りたその先に『本当の会議室』があったからだ。

それ程広くはない空間だが、5人の男達が集まっているのが見えた。

その内の1人は先程見かけた男だな。

どうやら隠し通路は複数あって、
そのどれもがここに繋がっているようだ。

身を潜めて様子を窺ってみる。

室内で話し合っているのは、この砦を任されている幹部達のようだった。

明確な上下関係までは分からないが、
ボソボソと何かを相談しあっている声が聞こえてくる。

だが残念なことに会話の内容までは聞き取れない。

互いの距離も問題だが、
会話自体が声を抑えて行われていたからだ。

会話の内容が聞き取れない。

だとしたらどうする?

5人が立ち去るのを待つ余裕はない。

かと言って、このまま撤退では情報は得られない。

せっかくたどり着いた隠し部屋だ。

少しでも情報を入手しておきたい。

そのために。

男達に視線を向けてみる。

全員、武装はしていないようだな。

その気になれば男達を殺すことはたやすいだろう。

一人を残して4人を殺せば安全に情報を得られるかもしれない。

どうする?

考えながら男達の行動を眺め続ける。

動き出すべきか?

先制攻撃による奇襲を仕掛ければ5人全員を制圧することは可能なはずだ。

やるか?

気持ちを切り替えて結論を出そうとしたところで…

不意に男達に話し掛ける人物が現れた。

別の通路から、一人の老人が出てきたのだ。

明らかに雰囲気の異なるその老人が現れた瞬間に、
5人の男達は姿勢を正して敬礼していた。

この対応を考えれば幹部の中でもあの老人が最も格上の存在ということになるのだろうか?

「話がある。着いて来なさい」

指示を出してから歩きだす老人に従って、
男達は隣の部屋へと移動していく。

そして最後の一人が扉を閉じたことで『ガチャッ…』と鍵のかかる音がした。

突然訪れた静寂。

静かに扉に接近して中の様子を窺おうとしてみたのだが、
厳重に防音が施されているようだ。

物音一つ聞こえなかった。

こうなると盗聴は諦めるしかないだろう。

無理に深追いせずに扉から離れる。

そして室内を見回してみる。

まずは室内の探索を優先しよう。

机の上に数多く山積みにされた書類の山を調べてみることにした。

すでに手に入れているこの砦の設計図もあったのが、
物資に関する資料もあるようだな。

食料の備蓄量や武器の保管量などの記録があった。

他にも戦力に関する表などの重要と呼べる書類が幾つも見付かっている。

そんな中で…。

少し気になる書類を発見してしまうことになった。

『持ち出し禁止』と判の押された資料があったからだ。

これだけは他の書類と違って幾つもの折り目がついている。

よく見てみれば全く同じ書類が複数あって、
そのどれもが折れ曲がっていることから
5人が相談していたのはこの書類に関してだと推測できた。

「調べておくべきだろうな」

書類を手にとって内容を確認してみる。

「これは…?」

急いで読み進める書類。

その内容は俺の予想を遥かに上回る内容だった。

『実験報告書』と書かれた書類。

ここには戦争で使用する目的で開発を進めている
兵器に関する情報が記されていたからだ。

『対共和国用戦略兵器』と書かれた書類には『神の裁き』と記されている。

さすがに兵器の詳細までは不明だが、
実験結果によって町を1つ一瞬で壊滅させる威力があることが『実証済み』と書かれていた。

「一体、何をするつもりだ?」

兵器がどういうものなのかがわからない。

調べてみようにも兵器に関する情報が他にはないようだ。

ここで見つけた書類はあくまでも報告書であって、
詳細に関しては一切触れられていなかった。

「さすがに詳細に関しては手に入らないか…」

追求を諦めるしかないが、
幾つかの書類を集めて持ち出すことにする。

あまり長居は出来ないからな。

いつ男達が部屋から出て来るか分からない状況だ。

それに他に誰も来ないという保証もない。

まずは集められるだけの書類を集めてから、会議室から脱出することにした。
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