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THE WORLD 作者:SEASONS

4月15日

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新たな仲間

1人目は30代の男性だ。

「彼は朱鷺田秀明ときたひであきさんです。この町の知事のご子息であり、魔術師ギルドのギルド長でもあります」

徹の説明に続いて、朱鷺田が話しかけてくる。

「初めまして。朱鷺田と申します。今年で30になりますが、まだまだ若い人に負けるつもりはありませんので頼りにしてください」

自信を持って微笑む朱鷺田は穏和な態度に反して、
瞳の奥は力に満ち溢れている。

その瞳は絶望を知る者の目だ。

日常から外れ、闇に踏み込んだ覚悟を宿している。

その瞳を一目見ただけで、朱鷺田が優秀な戦力だと判断できた。

「協力に感謝する」

素直に感謝してみると、朱鷺田は笑顔を見せてくれた。

「なるほど、礼儀を心得ているのは良いことです。いかに実力があろうとも礼儀を知らないようでは、まとまりはしませんからね」

礼儀を重視する朱鷺田の言葉は、
逃げ出した男達を批判しているようにも聞こえるな。

これなら互いに認め合えそうだ。

少し空気がよくなったことに安堵したのか、次に徹は女性へと視線を向けていた。

「彼女は三倉純みくらじゅんさんです。この町の治安維持部隊から代表して参加していただきました」

徹の紹介を受けた三倉純が微笑む。

「よろしくお願いします。見た目はともかく、魔術師としてはそれなりに優秀なほうなので、きっとお役に立てると思います」

丁寧にお辞儀をする三倉の第一印象はごく普通だ。

彼女の言葉通り。

小柄で可愛らしい姿からは強さという言葉は微塵も感じられない。

だがそれでも気付くことはある。

その圧倒的な『魔力』だ。

どの程度の実力があるのかは不明だが、
魔力の総量だけで見れば御堂以上に思える。

おそらく沙織をも超えるだろう。

「期待しておく」

三倉とも挨拶を終えて、最後の一人に視線を向けてみる。

3人目は三倉よりもさらに小柄な少女だ。

優奈や悠理と同程度だろうか?

とても戦争に参加するような人物には思えない。

そんな俺の視線に気付いたのだろう。

少女は自分から挨拶を始めた。

「初めまして。琴平愛里ことひらあいりといいます。えっと、その、お父さんからお手伝いするように頼まれました」

琴平、か。

だとすればグランパレスで出会った琴平重郎の血縁だろう。

挨拶を終えた愛里のあとで、徹が説明を続けていく。

「彼女は琴平学園長の娘になります。」

やはりそうか。

「一応、妹と同じ年齢なのですが、学園2位の優秀な魔術医師でもあります」

なるほどな。

薫と徹の間か。

成績としては優秀だろう。

だが、それだけだ。

戦力としては期待できない。

「これから向かうのは命をかけた戦場だ。死の危険が常に付き纏う場所でもある。頼まれた程度の気持ちなら参加しないほうがいい」

自分の意思と他者の意思では覚悟が違うからな。

頼まれた程度で命をかけることはできないだろう。

そう思ったのだが、俺の言葉に対して愛里は笑顔で答えてくる。

「もちろんその程度ではありません。これからのことに対して、真剣な気持ちは私も同じです。この町を守りたいと思う気持ちは誰にも負けません」

はっきりとした意志が感じられる。

恐怖も怯えも感じさせない、
心からの笑顔を浮かべながら問い掛けてきた。

「足手まといにはなりません。必ずお役に立つと思います。だから…連れて行っていただけませんか?」

迷いのない瞳だ。

愛里の意志はこの場の誰にも劣るものではないだろう。

「ああ、いいだろう」

参加を認めた瞬間に愛里は最高の笑顔を見せた。

「ありがとうございます!」

和やかになる空気。

その中で最後に徹が歩み出る。

「もちろん僕も参加します。お役に立てるかどうか分かりませんが、何もせずに見ているのは趣味ではありませんので…」

「ああ、いいだろう」

俺の指示に従えるのであれば異論はない。

「共に行こう」

こうして新たな仲間と協力しあうことになった。

生徒最強と判断された俺と、
魔術師ギルドのギルド長である朱鷺田秀明に治安維持部隊の三倉純。

そして魔術医師の琴平愛里と栗原徹。

この5人でアストリアの砦に潜入することになった。
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