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THE WORLD 作者:SEASONS

4月15日

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次は○○の相談

「まあ、何でもいいけどね。とりあえず明日からまたしばらく出かけるから…」

出かけると言ったところで、お母さんは目を輝かせて問い掛けてきたわ。

「もしかして二人で旅行なの!?」

「違うわよっ!」

即座に否定する。

下手に戸惑うと余計にからかわれそうだから、速攻で否定しておいたわ。

「その話題はもういいのよ」

なかなか進まない話に疲れて、激しくため息を吐いてしまうわね。

「みんなでマールグリナまで行く用事があるから、しばらく帰って来れないだけよ」

「あ~なるほどね。そこで告白するつもりなのね?」

「だっかっらっ!ちっがっうってば!!」

バンッバンッとテーブルを叩きながら全力で否定するけれど。

それでもお母さんは全力で私を応援してくれてた。

「頑張れ翔子!来年には孫の顔が見れるわね~」

「見れないわよっ!!!」

耳まで真っ赤にしながら否定し続ける。

…ったく。

なんて言うか、お母さんってどこかズレてるわよね?

まさかこれが標準とかじゃないわよね?

世間一般的には間違ってるわよね?

そんなことを考えながら、まっすぐにお母さんを見つめてみる。

「すぐに帰ってくるつもりだけど。お父さんにも伝えておいて『今までありがとう』ってね」

「やっぱり、嫁入りの挨拶…」

「ち~が~う~!!!!」

全力で否定してるのに…

「もう。こんな時にあの人は残業なんて…。帰ってきたらすぐに式の準備を…」

「しなくていいのっ!!」

全然、まともに聞いてくれないのよね…。

「あらあら、翔子は恥ずかしがり屋さんなんだから…」

「ちっが~~~う!!!!!!」

はあはあはあっ。

全力で否定してみたけれど、
お母さんはすでにその気みたいね…。

「今から楽しみだわ」

はぁ…。

言わなきゃ良かった。

全力で後悔する私を、お母さんは意地悪な笑顔で見つめてるのよ。

「まあ、冗談はそこまでにして。本気で好きなら、ちゃんと気持ちを伝えなさいよ」

あぅぅぅぅぅ…。

からかわれていたことに気付いたことで、うつむいてため息を吐いてしまったわ。

ふう…。

本気で疲れたかも。

「もう…。娘で遊ぶんじゃないわよ…」

「だって暇だったんだもの」

さらりと答えるお母さんにちょっぴり殺意が芽生えた瞬間だったわ。

…ったくぅ。

精神的な疲労を感じてため息を繰り返してしまったわ。

「で?もう気は済んだの?」

「さあ?どうかしらね。」

そこはもういいって言ってよ。

本気でお願いしたいところだけど、
お母さんの意地悪は止まらないみたい。

「まあ、翔子がどうしたいのか知らないけれど、私はちゃんと応援してあげるから、自分の思うようにしてきなさい」

「う、うん」

微笑んでくれるお母さんの笑顔を見て私も微笑む。

「ありがと、お母さん。まあ上手く行くかどうかは分からないけど、出来る限りのことは頑張るわ」

「あらあら!やっぱり、押し倒…」

「さないっ!!!」

最後まで言わせないわよ?

って言うか、普通なら止める側よね?

なのに、推奨してどうするのよ。

あ~もうっ!

やっぱりお母さんは思考がズレてると思うわ。

改めてそう思ってしまう瞬間だったわね。

「はぁ…。疲れた…」

ぼやきながら席を立つ。

「とりあえず話は終わったし、寮に帰るわ」

「もう深夜よ?今日は泊まって行ったら?」

「そうしたいけど、色々と準備もあるし…」

って、あれ?

この流れって、もしかして?

「子作…」

だぁかぁらぁ!!

「違うって言ってるでしょっ!」

『バンッ!バンッ!』と、
テーブルを壊しそうなほど叩く私を見て、
お母さんは楽しそうに笑い出す。

「あはははっ!ホントにいい子に育ったわね~」

「どういう意味よ!?」

「からかい甲斐が…」

「うるさいっ!!」

はしゃぐお母さんの言葉を遮って、さっさと玄関に向かって歩きだす。

「…ったく、もう…」

不満を感じながら靴を履く。

そんな私の後ろ姿をお母さんが見つめてる。

「気をつけるのよ」

「大丈夫よ。学園は近いから」

玄関の扉に手をかけてから振り返る視線の先にはお母さんがいる。

何だかんだで最後まで笑顔を浮かべてたわね。

「行ってらっしゃい、翔子」

「あ、うん。行ってきます」

お母さんの笑顔が見れたから心地よさを感じられたのよ。

「また、ね」

「いつでも待ってるわ」

心に響くお母さんの言葉。

帰ってきて良かったって思いながら外に出る。

「じゃあね」

振り返って扉を閉めようとした…その瞬間に…。

「次は妊娠の相談を待ってるからね~」

「うるさいっ!!!」

『バタンッ!!!!』と勢いよく扉を閉める。

ああ~!

もうっ!!!!

肩で息をしながら激しくため息を吐く。

「…ったく…」

最後の言葉が『うるさい』ってどうなの?

そんなふうに思いうけれど、これで良かったのかな?とも思って実家に背中を向ける。

『最後まで笑顔でいられた』事実は変わらないからよ。

だからこれで良かったって思うことにしたの。

そして、少し離れた場所から見つめる実家に向けて小さく呟く。

「またね。お父さん、お母さん」

聞こえなくても想いは残るはず。

そう信じて、私は学園に戻ることにしたのよ。
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