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THE WORLD 作者:SEASONS

4月15日

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それだけ

《サイド:美袋翔子》

「えっと、その…。テーブルの上に置いてあったので…」

あ~、なるほどね。

優奈ちゃんが回収してくれたのね。

差し出された鞄を受けとってから、迷わず鞄の中を覗き込んでみる。

……うん。

みごとに何もないわね。

「これって本当に着替えだけじゃない」

確認できたのは予備の制服と着替え用の服だけだったわ。

本当に他には何もなかったのよ。

うわぁ~。

ここまで何もないと寂しいわね。

ちょっとくらい私物が入っててもいいと思うんだけど。

総魔の趣味が感じられるような物は何もなかったわ。

ただ…ね。

鞄の中を漁る私の手が何かに触れた気がしたのよ。

ん~?

小さな塊…かな?

片手で掴めてしまう程度の大きさね。

取り出してみないと何かわからないはずだけど。

それが何なのかは考える前に理解できたわ。

これって、あれよね?

原始の瞳よね?

取り出してみると、
やっぱり見覚えのある水晶だったわ。

見慣れたその水晶玉を手の上で転がしてみる。

だけど水晶玉は以前とは違って何の反応も示さなかったわ。

「間違いなく潜在能力はないってことよね?」

自分で解釈して納得してみる。

指輪の封印も解除して、
完全に融合を使いこなせるようになったんだから当然の結果よね?

私が持っても水晶が光ることはなかったわ。

「何て言うか改めて思うわよね。ついこの間まで、自分の特性さえ分からなかったのよ?そんな私が、今はこうしてここにることが…すごく不思議な気がするわ」

「あ、はい。そうですね」

私の呟きに、優奈ちゃんが頷いてくれる。

「私も同じです。総魔さんと出会うまでは自分の力が何かも分からずにただ悩んでいただけだったので…」

それはほんの1週間前の出来事よね。

それなのに私達はとても遠い昔の出来事のように感じてしまったわ。

実力はあっても、自分の特性を理解していなかった私と優奈ちゃん。

私達は総魔と出会ったことで自分の能力を知るきっかけを得たのよ。

だから私達にとって総魔の存在は他の誰にも変えられないかけがえのない存在なの。

「とりあえずこの荷物は預かっておくとして、総魔を見つけたら全力で投げ返すわよ!」

宣言する私を見ていた優奈ちゃんは苦笑いを浮かべてる。

どうあっても暴力的な解決は遠慮します、って感じね。

まあ、私としても総魔を殴りたいわけじゃないんだけどね~。

「とりあえず優奈ちゃんも荷物を回収してきたら?」

「あ、はい。取ってきますね」

優奈ちゃんも自分の個室へと向かっていったわ。

残された私の手には総魔の鞄と小さな水晶玉がある。

でもね。

たったそれだけなのよ。

総魔の残した思い出はたった『それだけ』だったの。
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