挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
THE WORLD 作者:SEASONS

4月15日

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

695/4820

総魔がいなくなった理由

「まあ、それぞれに言い分があるとは思うけれど、ひとまず大会は無事に終了よ。あとはこれからのことを考えましょう」

私の発言によって、再び全員の視線が私に集まる。

「それは総魔のことですよね?」

ええ、そうよ。

問い掛けてきた御堂君に頷いたわ。

でもね?

それもあるけど、
それだけじゃないのよ。

というよりも、全てが関連してるんだけどね。

「まずは必要なことから話すわね。これから考えるべきことはあなた達の行動方針よ。」

天城君を追いかけるなら、必ずぶつかることになる障害でもあるわね。

「これから始まる出来事に対してどうするのか?それを決めないことには話が進まないわ」

「その出来事というのは、どういうことでしょうか?」

問い掛ける沙織に視線を向けてから一言で答える。

「戦争が始まるのよ」

「…え…っ…?」

短すぎる言葉だから逆に伝わりにくいんでしょうね。

沙織は戸惑いの表情を浮かべていたわ。

だけどそれは御堂君と北条君も同じに見えるわね。

ただ、すでに事情を知ってる翔子と深海さんは黙って話を聞いてくれているわ。

「もう少し補足すると、北のアストリア王国が宣戦布告をしてきたっていうことよ。」

魔術師狩りの手がとうとう共和国の中にまで及んできたというでもあるわ。

「この戦争はもう止められないわ。」

すでに避けられない戦いなのよ。

「だから数日後には、この国も戦場になるでしょうね」

「そんなっ!?またあの悲劇が繰り返されるのですか!!」

御堂君が悔しそうな表情で叫んでる。

その気持ちは私にも理解できるわ。

私もこの目で見たことがあるし。

沙織と御堂君は実際に経験しているからよ。

『魔術師狩り』の惨劇の悲しみと苦しみを自分達で経験しているからこそ、
その辛さを誰よりも知っているの。

「争いは本当に止められないのですか?」

沙織の質問には首を左右に振るしかなかったわ。

「もう後戻りが出来ない所まで来てしまっているのよ。すでに彼が、天城君がアストリアの使者を全滅させているしね」

「なっ!?」

御堂君が驚愕の表情を浮かべていたわ。

「何故そんなことを!?」

驚く気持ちも理解できるけれど。

これはもう仕方がないことなのよ。

「天城君も魔術師狩りの被害者だったのよ。家族を…友達を…村を…その全てを失ったそうよ。」

全てとは言えないけれど。

私自身もその場にいたから彼が目にした惨劇は知っているわ。

だからこそ天城君は私のことを覚えていたようだけどね。

「彼の目的はアストリアへの復讐だったのよ。そしてその事実を知った私達は彼の目的に協力することにしたの」

「協力ってのはどういうことだ?」

問い掛ける北条君の言葉に対して、
彼と交わした交渉の内容を打ち明ける。

「これから彼が行うと思われる罪を共和国が認めるということよ。」

戦争はもう止められないし。

和平の交渉の努力は完全否定されたからよ。

「向こうは攻め込んで来るつもりで準備を進めているわ。全ての魔術師を『全滅』させる為にね。だからその対抗策として、彼には迎撃のための戦闘を許可したの」

もちろんアストリアへの攻撃以外の罪は容認できないけれど。

アストリア王国に対する攻撃は全て共和国が責任を負うという形で
彼の行動を支援することにしたのよ。

そこまでの流れを説明したあとで、更なる事実を告げておく。

「すでに国境付近に砦が建造されてしまったわ。アストリアの軍隊も動いてるみたいね。だから私達は彼と交渉したのよ。倒すべき敵は同じだから、お互いに協力しあいましょう、ってね」

「つまり、総魔は戦争に向かったということですか?」

ええ、そうよ。

「彼はすでにマールグリナに向かって移動しているわ。そこで共和国に用意出来る最高戦力を揃えて砦に戦闘を仕掛ける予定なのよ」

「…そうですか」

一通りの説明を終えたことで、御堂君はおおよその事情を理解したようね。

「総魔が僕達に留まるように言っていたのは、その為だったんですね?」

おそらくそうでしょうね。

「実際に彼が何を考えているのかなんて私にも分からないけれど。おそらく彼はあなた達を戦争に巻き込みたくないと考えたんだと思うわ。だから別れの言葉を残して旅立った。つまりはそういうことでしょうね」

御堂君達を戦争に巻き込まない為に。

命を失う可能性がある戦場に参加させない為に。

彼は一人で旅立った。

その事実をようやく御堂君達は理解したようね。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ