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THE WORLD 作者:SEASONS

4月15日

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決勝戦、第1試合

「それではただ今より!決勝戦を行いたいと思います!!」

係員の合図と共に、会場中で大歓声が沸き上がる。

「ジェノス魔導学園から常盤沙織選手!グランバニア魔導学園から筑紫美優つくしみゆう選手!試合場へお願いします!!」

「それじゃあ、行ってくるわね」

係員の呼び掛けを受けたことで、沙織が歩きだした。

真剣な表情で試合場に向かう沙織。

対戦相手の筑紫さんとほぼ同時に試合場へと上がって行く。

「久し振りね、常盤さん」

「ええ、久し振り」

沙織に話し掛ける筑紫さんに沙織は挨拶を返しただけだった。

どうやら試合に向けて全力で集中しているようだね。

真剣な表情を浮かべたまま、
笑顔を見せない沙織は口数が少なかった。

「あまり会話をしたくないって感じかしら?」

「あ、いえ、そうじゃないの。」

会話を拒絶してるわけじゃないだろうからね。

「気に障ったのならごめんなさい。」

控えめに謝ってから沙織は位置についた。

「でも今回だけは負けるわけにはいかないの」

「ふ~ん、いつになく真剣ね。」

話し合うことを諦めた筑紫さんも大人しく開始位置に立ったようだ。

二人の間に緊迫した雰囲気が漂っている。

その中を審判員が進んでいく。

「それでは、試合、始めっ!」

試合開始が宣言された。

ほぼ同時にルーンを発動させる沙織と筑紫さん。

二人の手には、それぞれ異なる杖が現れている。

沙織の杖は『マテリアル』で、
筑紫さんの杖は『フェアリーテイル』だ。

沙織は特徴的な大きな星を、
筑紫さんは幾つもの小さな星を、
それぞれの杖の上部に掲げている。

「今回は勝ってみせるわ!」

意気込む筑紫さん。

二人の対戦成績は4勝3敗で僅かに沙織が優勢だ。

それでも沙織は油断することなく、
静かに杖を掲げて魔術を展開していく。

「手加減はしません。最初から全力で行きます!」

膨大な魔力を込める杖の先端にある星が輝きを増した。

「マスター・オブ・エレメント!」

白、黒、赤、青、黄。

五色の光が筑紫さんに降り注ぐ。

「初っ端から攻めて来るわね」

対する筑紫さんも魔術を展開している。

「マイティーガード!!」

沙織の光に抵抗するかのように、
筑紫さんの魔術が薄い膜を張った。

沙織の攻撃魔術と筑紫さんの防御結界。

衝突する二つの魔術は同時に消滅してしまう。

「今度はこっちから行くわよ!サンシャイン!!!」

筑紫さんの放つ光が沙織に襲い掛かった。

「リフレクション!!」

沙織は魔力による防壁を作り出している。

防壁を突き抜けようとする光だけど、
突破する前に消失してしまっていた。

攻撃も防御も、どちらも全くの互角だ。

一瞬の攻防を見た筑紫さんがため息を吐いている。

「お互いに『とっておき』が通じないわね」

引き分けの可能性を考えている様子の筑紫さんだけど、
沙織は新たな魔術を展開し始めた。

「いえ、とっておきという意味ではこちらの魔術がそうです」

これは、何だ?

マスター・オブ・エレメントとは異なる魔術…。

いや、それ以上の力を感じる何かが発動しようとしているのが感じられる。

「あの時の彼の助言によって生まれた新魔術。自分の思う限界を越える力。これが、これが私の力です!」

沙織は僕も知らない間に『新たな魔術』を完成させていたようだ。

「アストラルフロウ!!!」

突如として帯電する沙織のルーン。

沙織の全魔力を込めた最強の一撃が発動する。

「全属性攻撃。これが私の本当の力です!」

杖から放たれる幾筋もの光。

だけどその光は一色ではなくて、あらゆる色彩を持っている。

沙織の言葉通りに。

炎…氷…風…雷…光…闇…重力。

ありとあらゆる属性の魔術が放たれて、
色とりどりの光が筑紫さんの体を飲み込もうとしていた。

「マイティーガード!!!」

防御膜を張って沙織の魔術を防ごうとする筑紫さんだけど。

その結界はあっさりと突き破られてしまう。

「な…っ?嘘でしょっ!?」

大きな炸裂音と共に消失する結界。

驚愕に染まる筑紫さんの表情。

動きを止めた筑紫さんに光が降り注ぐ。

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

全属性を持ち合わせる光に襲われた筑紫さんは、
力を出し切ることも一撃を入れることさえも出来ずに、
沙織の一撃によって試合場へと吹き飛ばされてしまう。

そして。

そのまま起き上がる様子はなかった。

沙織の一撃によって、
筑紫さんは意識を失ってしまったようだった。

「試合終了!!!勝者、ジェノス魔導学園!!!」

沙織の勝利が宣言された。

そのあとで沙織は特別観戦席に向けてささやいた。

「これが魔術を使いこなせるということ。そうでしょ?天城君」

返って来ない返事。

彼が沙織の試合を見ていたかどうかさえ分からない。

それでも…。

それでも沙織は言葉を続けていた。

「私は私の特性であなたを越えるわ。それをあなたが教えてくれたから。私もまだまだ強くなれるの」
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