挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
THE WORLD 作者:SEASONS

4月15日

660/4820

決勝戦の試合順

《サイド:御堂龍馬》

昼食を終えた僕達は、
控室から決勝戦の行われる試合場へと移動することになった。

「ここで最後だね」

呟いた僕に真哉が頷く。

「なんか今回はあっという間だった気がするな」

ああ、そうだね。

「僕もそう思うよ」

試合場へと歩みを進めていく。

そして僕達は最後の試合順を決めることにした。

「決勝戦はどうしようか?」

彼がいない最後の試合。

何とか彼の姿を探そうとする翔子と深海さんだけど、
彼の姿はどこにも見えないままだ。

気持ちの整理が追いつかないことで士気が上がらない。

そんな僕達だけど、試合は止められないんだ。

どんな心境だろうと決勝戦は始まってしまう。

「誰か希望はあるかい?」

みんなに希望を尋ねてみたところで。

「あ…!」

周囲を眺めていた深海さんが不意に声をあげたんだ。

どうしたんだろう?

2階席を見上げているのかな?

何を驚いているのか気になった直後に、
何かに気付いた翔子も声をあげていた。

「総魔!!」

えっ?

深海さんと翔子の二人の視線の先を追ってみる。

どこだ?

方角的に考えると各学園長達が観戦するための特別観戦席がある方向かな?

「あいつ、何をしてるんだ?」

真哉も気づいたようだ。

僕も彼の姿を探してみる。

決勝の試合場に最も近い特別観戦席。

そこで彼は誰かと話し合っているようだった。

「ったく!何をしてるのよ、総魔!!!」

大声で呼び掛ける翔子だけど、
ちょっと距離的に厳しいだろうね。

特別観戦席までの距離が遠いうえに、
観客の声援によって翔子の声が掻き消されてしまうからだ。

「あ~っ!もう…っ!!」

声の届かない苛立ちからか、翔子は不機嫌そうな表情で叫んでいる。

「総魔~っ!!!!」

何度も呼び掛ける翔子だけど。

やっぱり彼には届いていないようだ。

振り向いてくれる気配さえないからね。

「もう!何をしてるのよっ」

「…行ってきたら?」

「えっ?」

戸惑う翔子に、沙織が笑顔で話し掛けていた。

「翔子がいなくても試合は続けられるわ。3人いれば決勝には勝てるから。だから優奈ちゃん。あなたも行ってらっしゃい」

沙織の思いやりによって、
深海さんの表情に笑顔が浮かぶのが見えた。

「え、あ、その、い、良いんですか?」

「ええ、大丈夫よ。私達も成長してることを…ちゃんと証明して見せるわ」

沙織は勝つつもりでいるようだ。

僕と真哉と沙織の3人だけで、決勝に挑むつもりでいるようだ。

「ねえ、大丈夫でしょ?龍馬」

「え?あ、ああ…。」

どう答えるべきだろうか?

翔子と優奈さんが戻ってくるのが間に合えば試合は続行できるけれど。

もしも間に合わなければ、
僕達は一敗でもした時点で優勝出来なくなってしまうんだ。

3人で戦うなら無敗で勝ち続けるか、
最低でも引き分けに持ち込んで延長戦に望みを托すしかない。

だけど…。

決勝戦の相手は僕達にとって最も警戒すべき『グランバニア魔導学園』だ。

無敗で勝ち続けるのは決して簡単なことじゃない。

それなのに…。

敗退の危険性を理解したうえで、
沙織は翔子と優奈さんを行かせようとしているようだった。

「まあ、仕方ねえな」

真哉は反対しなかった。

翔子と深海さんを送り出すつもりのようだ。

「お前らが帰ってくるまで待ってやるつもりはねえ。心配しなくても俺達だけで優勝してやる。だからあの『家出馬鹿』を連れ戻して来い!」

は、はは…っ。

家出、か。

真哉らしい表現だね。

「「………。」」

真哉の後押しを受けた二人が僕に視線を向けてきた。

沙織と真哉が許可を出してる状況だからね。

あとは僕の判断次第で、二人は決勝を棄権することになる。

彼がいない状況で翔子と深海さんまで抜けてしまうのか…。

優勝という目標を掲げている僕達にとって
3人がいないというのは正直に言ってかなり苦しいと思う。

だけど僕の言葉を期待する二人に『行くな』とは言えなかった。

「いいよ。あとのことは僕達だけで何とかする。だから彼を捕まえてきてほしい」

「おっけ~っ!!」

僕の言葉を聞いた瞬間に翔子は一目散に駆け出してしまった。

「あ、あの、すみません!」

深海さんも慌ててあとを追ってしまう。

これで戦力は半減だ。

いや。

一敗した時点で敗退が確定してしまうんだ。

半減どころか、
戦う前からあとがないと言える。

「まあ、仕方がないね」

二人の姿が見えなくなるまで見送ってから、
僕達はたった3人で決勝戦に挑むことにした。

「今更後悔なんて出来ないんだ。僕達だけで必ず優勝してみせよう!」

宣言する僕に頷いてくれる真哉と沙織。

それぞれの意志を確認したあとで、
僕は名簿に試合順を書いて係員に提出することにした。

1試合目が沙織。
2試合目が真哉。
3試合目が僕になる。

4試合目には深海さんの名前を書いてから、
5試合目に翔子の名前を書いておいたけれど。

きっと二人は間に合わないだろうね。

だから僕達は3人で優勝しなければいけないんだ。

「僕は僕の目的の為に必ず勝ち上がる!」

彼との決着を付けるまで、
僕は誰にも負けられないんだ。

「あの二人に後悔させないために、私も勝ってみせるわ」

翔子と深海さんの二人に後悔させない為に。

自分達のせいで優勝を逃したと思わせない為に。

沙織も優勝を誓い合った。

「ここまできて足手まといになるつもりはねえ。俺は俺の実力で勝ち上がるだけだ!」

自分自身に誓いを立てる真哉。

こうして僕達の最後の試合が始まることになった。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ