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THE WORLD 作者:SEASONS

4月15日

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謝罪要求

「あの、北条先輩は大丈夫なんですか?」

「ええ、もう大丈夫よ。じきに目を覚ますと思うわ」

心配そうに真哉を見上げる優奈ちゃんだけど、
沙織は笑顔で答えてた。

「そうですか。良かった~」

真哉の無事を確認して嬉しそうに微笑む優奈ちゃん。

その声が聞こえたのかどうかは知らないけれど。

ようやく真哉が意識を取り戻したようね。

「…んぁ…?」

良く分からない声を発しながら意識を取り戻した真哉は両側で身体を支える私達を眺めてから、
しっかりと自分の力で立ち上がったわ。

「悪ぃ、もう大丈夫だ」

笑顔を浮かべる真哉を見たことで、私達は手を離したんだけど…。

「どうだ、翔子っ!!俺はちゃんと試合に勝ったぞ!」

何故か真哉は笑顔を浮かべながら私に振り向いてきたのよ。

ん~。

まあ、確かに試合には勝ったわね。

かなりギリギリだったけど結果は勝利よ。

あと数秒ズレていたら、引き分け判定になってたかもしれないけどね。

それくらい微妙な勝利なのよ。

それなのに真哉は自信満々に笑顔を浮かべてた。

「さあ翔子!約束を果たしてもらうぜ!!」

ん?

約束?

「何かあったっけ?」

本気で何も覚えてないから首を傾げてみたんだけど。

私の反応が気に入らなかったようね。

「てめぇ!!」

真哉のこめかみに青筋が立ったのが見えたわ。

今にも暴れだしそうな勢いに思える。

これは本気で怒ってるわね。

そんな真哉を見兼ねたのか、
沙織が私に耳打ちしてくれたのよ。

「ねえ、翔子。北条君が勝ったら謝罪するって約束してたでしょ?」

え?

謝罪?

あぁ~!

そっかそっか。

そんなこともあったわね~。

沙織の言葉を聞いて、数分前の出来事を思い出したわ。

「ごめん、ごめん。すっかり忘れてたわ」

笑ってごまかそうとしたんだけど、
真哉は逃がしてくれないみたい。

「思い出したのなら約束を果たしてもらうぜ」

う~ん。

約束って謝罪しろってことよね?

なんの謝罪なの?

ってか、面倒くさいわね~。

でも、まあ、いっか。

あとあと騒がれても、うっとうしいし。

謝るくらい別に構わないわ。

「分かったわよ。謝れば良いんでしょ?」

ただそれだけのことだしね。

真哉に頭を下げて謝罪してみる。

「シンヤサンゴメンナサイ。モウニドトイイマセン。マコトニモウシワケアリマセンデシタ」

ふう。

わりと本気で謝ったわ。

だけど真哉は激しくため息を吐いてるわね。

どうやらまだ不満があるみたい。

「…ったく…」

呆れ顔で私を見下ろしてる。

何が気に入らなかったのよ?

一切の緩急を付けずに棒読み口調で謝ったから?

「気に入らないの?」

「気にいると思うか?」

はあ…。

本気でうざいわね~。

「ちゃんと謝ったでしょ?」

「どこをどう見れば、ちゃんとなんだ!?」

ああ~もうっ!

うるさいのよっ!

全力で言い返してやろうと思ったんだけど、
その前に龍馬と沙織が仲裁に入ってきたわ。

言い争いになるのを感じ取ったのかな?

「まあまあ…」

真哉を落ち着かせようとする龍馬。

「翔子。一応、約束だから…」

私を説得する沙織。

う~ん。

前にもこんなことがあったような?

あんまり真哉をからかうとみんなに迷惑がかかるかもしれないわね。

そう考えて、私はもう一度真哉に頭を下げることにしたわ。

「悪かったわよ。真哉もやれば出来るってことは分かったし、ここは素直に謝っておくわ」

今度こそ素直に謝罪したんだけど。

そんな私を見ても真哉はまだ不服そうだったわ。

「なんか、イマイチ誠意が感じられねえなぁ」

くっ!!

やり直しの要求に私は密かに唇を噛み締めてしまう。

思っていた以上の屈辱だからよっ!!

って言うか。

総魔の前で頭を下げるとか、本気で嫌なんだけど!?

こんな私を見ないで…。

お願い、総魔…。

汚れた私を見捨てないで…。

なんて。

大して興味もなさそうな感じの総魔に祈りを込めつつも改めて真哉を睨みつけてみる。

こ・の・馬鹿真哉~!!!

絶対にあとで泣かすからね!!

心の中で激しく呪いを込めてみるけれど、
私は3度も真哉に頭を下げることになってしまったのよ。

「ごめんなさい!もう二度と真哉を馬鹿にしません!!」

はっきりと宣言した私を見て、真哉は優越感に浸っていたわ。

「しょうがねえな。そこまで言うなら許してやろう」

くっ!!

完全に私を見下した視線だったわね。

くっやっしっい~!!!

ああああああああああああああああ~っ!!!

もうっ!!!

絶対に復讐してやるんだから!!!

心の中で固く誓ってみる。

だけど全力で睨みつける私の視線ですら、
今の真哉には優越感の証に思えるようだったわ。

「まあ、せいぜい翔子は俺の足を引っ張らないように努力するんだな。はっはっはー!!」

ぬあああああああああああああああああああっ!!!!!

もお~~~~~~っ!!!

腹立つっっっっっ!!!!!!

優越感全開で笑い出す真哉が憎いわっ!

今すぐにでもぶん殴ってやりたいのよ!

ついつい衝動的に拳を握り締めてしまったわ。

そんな私を見てた沙織が苦笑いを浮かべてる。

「良く頑張ったわね、翔子」

あうぅ…。

褒められて嬉しくないのよね。

「過去最大の屈辱かも…」

「はっはっは~!!!」

最大級の屈辱に震える私と、
そんな私を見て喜ぶ真哉。

本気でウザすぎる。

ああ~っ!!!

もうっ!!

この恨みはいつか必ず晴らしてみせるわ!!!
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