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THE WORLD 作者:SEASONS

4月15日

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無敗記録保持者

僕達がいる場所を除く、残り3つの試合場。

各地の試合場には昨日の試合を勝ち抜いてきた学園が徐々に集まりつつあるようだ。

何人か見覚えのある生徒の姿もちらほらと見えている。

あまり僕とは関わりのない学園もいるようだけど、
強豪の学園も幾つか残っているようだ。

ジェノスとほぼ同等の実力を持っているグランバニア魔導学園の澤木君達が隣の試合場にいる。

後方の試合場にはヴァルセム精霊学園が集まっているようだ。

ここから対角になる一番遠くの試合場にはランベリア多国籍学園の生徒が見えるから、
今のところは1位から4位の上位常連校が残っていることになる。

これから始まる準々決勝でもそれぞれの学園が無事に勝ち上がることが出来れば、
今月も上位4校に名前を連ねることができるだろうね。

実際に勝ち続けられるかどうかは戦ってみなければ分からないけれど。

僕達の場合。

ここでカリーナ女学園に勝って4回戦に進めたとしたら、
準決勝の相手はおそらくヴァルセム精霊学園になるんじゃないかな。

ヴァルセムは全体的に優秀な生徒が多いからね。

よほどのことがない限り、
そうそう負けることはないと思うよ。

そのヴァルセム精霊学園との準決勝も勝てたとしたら次が決勝戦なんだけど、
グランバニアとランベリアのどちらが勝ち上がってくるかは正直に言って分からない。

予想としてはグランバニアだと思うんだけど…。

試合中に負傷したり魔力を浪費したりすることで、
本来なら勝てる相手に負けてしまう可能性は十分にあるからね。

決勝常連校のジェノスとグランバニアでさえ絶対に勝ち上がれるとは言い切れないんだ。

特にランベリアを率いるシェリルさんの実力は異常だと思う。

僕でさえ油断すれば一瞬で負けてしまうと思うほどの実力者だからね。

女性魔術師としては間違いなく最高峰にいるのがシェリルさんだと思うよ。

国内最強と言われている理事長と比べてどちらが上かは分からないけれど。

間違いなく理事長に匹敵する人物だと思う。

だから…って言う訳じゃないけど。

僕としては少し苦手かな?

沙織とは仲が良いみたいだけどね。

すごく綺麗な人だとは思うし、
ランベリアの大賢者としてもそれなりに有名な人物だ。

頭脳明晰で戦闘技術は超一流。

まさに戦うために生まれてきたような人で、
シェリルさんの実力を理解してる人達からは
密かに戦乙女と呼ばれているほどの天才魔術師でもある。

攻撃特化でありながらも万能型でもある魔術師で知識や技術は多才。

これが試合ではなくて、制限なしの戦いだったら間違いなく僕よりも上だろうね。

ある意味、彼に最も近い魔術師じゃないかな?

そんなシェリルさんだけど、
知名度そのものはそれほど高くなかったりする。

どちらかといえば、無名に近いんじゃないかな?

知名度は、だけどね。

実力は異常だよ。

一度でも戦えば悪夢にうなされるのは確実だろうね。

だけどそれはシェリルさんを知っているからであって、
周りで見ている分にはそれほど目立っていないと思う。

学園そのものが最高4位止まりで、
それ以上の結果を出したことが一度もないからね。

準々決勝までの勝率は高いけれど、準決勝での勝率は0だ。

当然、決勝戦に進んだことは一度もない。

だから今までの大会において、
シェリルさんが表彰台に上がったことは一度もないんだ。

過去の記録は最も高くて4位だけど、
低い場合は一回戦敗退もあったからね。

学園の評価が低いせいであまり目立っていないと思う。

そんなシェリルさんだけど、
実は僕と同じ『無敗』記録保持者だったりする。

僕とシェリルさんが試合をしたことはまだ一度もないけどね。

大会の公式記録においてシェリルさんが負けたことは一度もないんだ。

全戦全勝、無敗の魔術師として記録を残し続けている。

おそらく学園でも負けたことがないんじゃないかな?

その事実だけを見れば僕はもうシェリルさんの記録には勝てないことになる。

学園での公式記録で彼に負けてしまった事実があるからね。

大会においての無敗記録は同位だけど、
学園も含む勝率となると僕はシェリルさんの下になってしまうだろうね。

だからといってそれが悔しいとかそんなふうには思わないけれど、
シェリルさんの名声はもっと高くてもいいと思うかな。

だけど、実際には多くの人に知られていないというのが実情だろうね。

まあ、本人に目立つつもりがないのも一つの要因だとは思うけれど。

それ以上に大きな問題があると思うよ。

少し残念な気はするけどね。

こればかりはどうしようもない部分だと思う。

その問題が僕とシェリルさんの違いで、
運に左右される部分でもあるんだけど。

ランベリアにはシェリルさんに匹敵する魔術師がいない、ということだ。

僕には真哉がいてくれるし、沙織もいてくれる。

今では彼もいるし、深海さんもいるし、翔子もいる。

ジェノス魔導学園には頼りになる戦力が揃っているんだ。

だけどシェリルさんには頼れる味方がいない。

シェリルさん一人が特化しすぎていて、
共に戦う仲間の実力が追いついていないのが実情なんだ。

そのせいで学園そのものが目立たずにいる。

一人が勝利しても残りが敗北すれば、
結果的には下位成績として周囲に認識されてしまうからね。

その辺りがシェリルさんの不遇だと思える部分かな。

もしもシェリルさんがデルベスタや他の学園にいれば…

あるいはランベリアに優秀な魔術師がいれば…

シェリルさんの名声は今よりももっと高まっていたと思うよ。

場合によってはジェノスやグランバニアじゃなくて、
ランベリアが優勝候補と呼ばれていたかもしれないね。

だけどランベリアには優秀な人材が少ないことで、
シェリルさんの実力が過小評価される要因になっていると僕は思ってる。

だからと言ってランベリアの生徒達が
シェリルさんの足を引っ張っているとか邪魔をしているとは思わないよ。

彼らなりに一生懸命頑張ってはいるからね。

精一杯の努力をした人物を馬鹿にすることはできないし、
シェリルさん自身は仲間の存在を大切にしているようだ。

不遇ではあるけれど、不幸だとは思わない、という感じかな?

実際のところどうなのか僕には分からないけど、
魔術大会において最も警戒すべき人物はシェリルさんだと思ってる。

だからもしも準決勝でシェリルさんがグランバニアの澤木君を倒せたとしたら、
ランベリアが決勝に上がってくる可能性もあるはずなんだ。

一番手強い澤木君さえ倒せれば、
あとは試合の組み合わせや偶然や運で勝利できる可能性があるからね。

グランバニアの下位生徒に上手く実力のある生徒をぶつけられれば3連勝の勝ち逃げも狙える。

その勝ち逃げ作戦がランベリアが上位に勝ち上がれている理由でもある。

必ずしも実力だけで勝ち上がれるわけじゃないからね。

流れを読む判断力と作戦が上手く噛み合えばそれなりの実力でも上位に食い込めるんだ。

その辺りの駆け引きの才能さえもシェリルさんは超一流だと思うよ。

そしてその才能こそが僕が苦手と感じる部分でもあるんだけどね。

僕の場合はまあ…。

自分で言うのもどうかと思うけど、
わりとゴリ押しで物事を判断する部分があるから知略を尽くすとか駆け引きとかは苦手なんだ。

そのせいでシェリルさんとか理事長のように頭の良い人はちょっと苦手に感じてしまうことがある。

だから、かな?

真哉とか翔子のようにまっすぐな性格の人のほうが付き合いやすいと思う。

単純だからって言ってしまうと怒られるだろうけどね。

それでもはっきりとした性格の人が好きだから、僕としては居心地がいいと思ってる。

沙織は優しいし。

深海さんも一生懸命な人だからね。

唯一、気を使うのは彼くらいかな?

彼も考えが読めないから苦手に感じる相手だとは思ってる。

…というよりも、最初の頃は正直に言って苦手だったよ。

試合で負けたっていうこともあるけど、会話が上手くできないからね。

どうしていいか分からずにお手上げ状態だったから悩むことが多かったように思う。

だけどさすがに今ではそこまでの苦手意識は感じてないよ。

黙っていることが多いけれど、
だからと言ってさくろうするとかそういう雰囲気はないし。

むしろ友好的に思える部分があるからね。

考えは分からないけど、気持ちは理解できるっていう感じかな?

だから居心地が悪いとは思わないし、
出来ることならもっと仲良くなりたいと思ってる。

さすがに翔子のようにとはいかないけどね。

だけどそれなりに信頼しあえる関係になりたいとは思うんだ。

こういう気持ちは…もしかしたら初めてかもしれないね。

特定の人物に対して勝ちたいとか追いつきたいとか、
心から思えるような感情を感じたことは今まで一度もなかったんだ。

調子に乗ってるとかそういうわけじゃないけれど、
彼と出会うまで敗北した経験がなかったからね。

挫折を知らなかったとも言えるかな?

もちろんそれは生徒として、だよ。

僕よりも強い魔術師は沢山いるだろうし、
僕では敵わない相手は世界中に沢山いると思う。

一例として考えるなら理事長がそうだし、黒柳所長とかもそうだね。

もちろん他にも思い浮かぶ人は沢山いるよ。

だけど僕は今までそういう強敵と戦うことがなかったんだ。

少なくとも生徒の中に僕以上の実力者はいなかった。

だから彼に負けたことが僕にとって最初の試練だったと思う。

初めての挫折。

上には上がいるということを再認識するために必要な試練だったんじゃないかな。

ちゃんと本当の挫折を経験しておかないと、
それこそ調子にのって道を踏み外しかねないからね。

僕が僕であるために、必要な経験だったと思うよ。

だからこそ僕は彼を超えたいと思うんだ。

そして。

更なる強敵を見つけて乗り越える。

その戦いの先において、僕は僕の夢を掴みとりたいと思ってる。

敗北することが終わりじゃない。

そこからまた成長すればいいだけなんだ。

諦めない限り、僕はまだまだ強くなれる。

今よりもさらに上へ。

そして更なる力を手に入れて、いつの日にか理想の自分にたどり着いてみせる。

それが僕の目標なんだ。
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