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THE WORLD 作者:SEASONS

4月14日

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黙認

《サイド:天城総魔》

「…それで?」

俺の問い掛けに琴平が首を傾げている。

「取引の内容は何だ?」

改めて問い掛けたことで、琴平は静かに微笑んだ。

「そうですね。あなたの自由なんて、どうですか?」

自由?

眉をひそめる俺に、琴平は話を続けていく。

「あなたが何をしても『罪を問わない』という権利はいかがでしょうか?」

罪を問わないだと?

馬鹿げた権利だと思う。

その言葉の意味がすぐに理解できたからだ。

「つまり、俺に手を染めろということだな?」

「強制は致しません。ですが貴方の目的を私達は『黙認』しましょう」

「待ちなさい!!」

琴平が取引の内容を公言した直後に、
美由紀が『ばんっ!!』とテーブルを叩いた。

「そんな話は聞いてないわよっ!?何よ黙認って!!」

怒鳴る美由紀に怯えるマールグリナの生徒達だが、
宗一郎は冷静な態度で美由紀に話し掛けていた。

「これはすでに、議会で一致した意見だ」

「…なっ!?」

戸惑う美由紀の表情を見ればすぐに理解できることだが、
どうやら美由紀だけは何も知らされていなかったようだな。

「一体、いつの間に…?」

呟く美由紀に今度は琴平が答える。

「つい先程ですよ。『都合よく』特別観戦席には各町の代表が勢揃いしていますからね。砦と戦争に関して、すでに決議をとってあります」

「そんな!?私は参加してないわよっ!!」

「多数決ですので、あなた一人の意見は通りません」

「一人?」

美由紀は戸惑いながら宗一郎に視線を向ける。

その視線を受けた宗一郎は静かに頷いてみせた。

「事実だ。全員一致で『総攻撃』が可決された。すでに各町には戦力となる魔術師達がマールグリナに集結するよう伝令が飛んでいるはずだ」

「な…っ!?」

ただ一人、除外されていた様子の美由紀だが、今更何を言っても現実は変わらない。

いや、変える気がないだろう。

宗一郎も、琴平も、そしてアストリアの軍隊も、戦争に向けて動き出しているからな。

この流れを止めることはもう誰にもできない。

「戦争は始まるんだな?」

俺の問い掛けに、宗一郎と琴平は揃って頷いた。

「もはやこの流れは止められん」

「悔しいとは思いますが、これがこの国の為なのです」

唇を噛み締める二人からは苦渋の選択という気持ちが表情に現れている。

二人とも望んで現状を選択したわけではないのだろう。

他に手段がないことで、
そうせざるを得なかったという思いが二人の表情から読み取れた。

「………。」

黙り込む美由紀も現実を受け入れて、
自分の行うべきことを考え始めたようだな。

そんな美由紀達を見ていた栗原薫が話を切り出す。

「それではそろそろ、例の砦について説明を始めてよろしいでしょうか?」

メガネのズレを直す栗原に全員の視線が集まる。

「うむ。始めてくれ」

宗一郎の許可を受けたことで栗原の説明が始まった。
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