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THE WORLD 作者:SEASONS

4月14日

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ごめんなさい

《サイド:深海優奈》

…ごめんなさい…。

ただそんなふうに謝ることしかできませんでした。

事実を知っていても、説明することができないからです。

もちろん話せないわけではありません。

私の知っていることを話してしまうのはとても簡単です。

ですが。

そうしてしまえばきっと総魔さんを困らせることになってしまうと思います。

と、同時に総魔さんを悲しませることになってしまうと思うんです。

だから話をするわけにはいきません。

もしも話してしまったら、
総魔さんはきっと私達の前からいなくなってしまうと思うからです。

そんなふうに思ってしまったから。

沙織先輩に抱きしめられながらも、
ただただ泣くことしか出来ませんでした。

本当ならここで全てを話すべきだったのかもしれません。

先輩達にも協力してもらって総魔さんを引き止めるべきだったのかもしれません。

そうすることで総魔さんの人生を変えることができるかもしれないからです。

そんな期待も感じてはいましたが、
それでも私には言い出せませんでした。

総魔さんの過去やこれから始まる戦争のことを話すことが出来なかったんです。

もしも話してしまえば先輩達を巻き込んでしまうからです。

だから、言えません。

控室での会話で総魔さんは先輩達を巻き込みたくないと言っていました。

そして先輩達を戦争に巻き込まないために、
殺したいほど憎んでいる相手がここへ来ると知っても手を出さないと誓っていたんです。

その総魔さんの気持ちを私が勝手に踏みにじることなんて出来ません。

だから…。

だから私は何も言えずに、ただ泣くことしか出来ませんでした。

伝えたいのに伝えることが出来ないからです。

総魔さんを助けてくださいと、ただそれだけの一言がどうしても言えなかったんです。

「…ごめん、なさい…っ」

謝り続けることしか出来ない私を沙織先輩はずっと抱きしめてくれました。

「いいのよ。もういいの」

温かい沙織先輩の手の中で、私はずっと泣き続けていました。
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