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THE WORLD 作者:SEASONS

4月14日

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第3のルーン

「くっ…うっ…」

何とか起き上がろうとするジェリルだが、
体が痺れて上手く動けないようだな。

この状況で追撃を仕掛ければ勝利は確実だが、
この程度で終わってしまってはジェリルも納得できないだろう。

それに。

俺としてもジェリルの全力の攻撃を打ち破ってから終わらせなければ出てきた甲斐がない。

「まだ続けるか?」

「…くっ。」

ゆっくりと歩み寄りながら問いかけてみると、
ジェリルは表情を歪めながらも必死に立ち上がった。

だが、唇を噛み締めるジェリルの瞳は恐怖に染まっている。

どうやら俺に怯えているようだな。

だとすれば試合を続行する意味はすでにないのかもしれない。

「諦めるのなら見逃すが…どうする?」

「…ぅぅっ…」

一瞬どうするか悩んだようだが、
どうやら逃げるつもりはないようだな。

ぎりぎりと拳を握り締めたジェリルは、
その手にあるルーンを俺に向けてから強く睨みつけてきた。

「死んでも諦めないわっ!!」

力強く宣言したジェリルの瞳に意志の力が戻る。

何がきっかけかは知らないが、
敗北を認めるくらいなら死んだほうがましだと考えているようだ。

「だったら死ぬ気で挑め」

「言われなくてもそのつもりよ!全力であなたを倒してみせるわ!!」

気持ちを切り替えて立ち上がるジェリルの姿を見たことで、
俺は静かに微笑んでみせた。

「何が可笑しいの!?」

怒鳴るジェリルだが、決して嘲笑あざわらっているわけではない。

逃げ出さない意志を見てジェリルの評価を高めただけだ。

だがそれをわざわざ伝える必要はないだろう。

現状は敵同士だからな。

互いに死力を尽くして、結果さえ出せばいい。

そのために俺はあえて言い直すことにした。

「全力で戦えと言ったはずだ」

「!?」

再び表情を歪めたジェリルが俺から逃げるように後退し始める。

「まだ本気を出していないとでも言うつもりなの?」

その問い掛けは正解だ。

…とは言え。

俺が全力を出す理由はまだない。

「今のお前ではルーンを使う必要さえないからな」

「ぅ、ぁ…。」

ジェリルは微かに体を震わせていた。

ようやく互いの実力差を感じとったのだろう。

「バケモノ…ね」

敗北を認めないと宣言しながらも怯え続けるジェリルに今度ははっきりと警告することにする。

「お前が選ぶべき選択肢は二つしかない。俺に対して『全力で挑む』か、諦めて『敗北を認める』かだ。どちらでも好きな方を選択しろ」

「くっ…」

再び警告したことで、ジェリルは唇を噛み締めた。

態度こそ強気な雰囲気を見せているものの。

精神的には俺に対して恐怖を感じているようだ。

そんな中途半端な状態のジェリルと戦うことに何の価値も感じられない。

俺が求めるのは『強さ』のみだ。

戦う意志のない者を倒すことに興味はない。

「選べ。戦うか、逃げるかを」

恐れずに立ち向かうことにこそ価値が生まれる。

そしてその価値は経験となり、やがて力になる。

戦う意志のない者に力は持ち得ない。

「お前の意志を示せ。」

「う、うるさいっ!!私は、私はもう逃げないわ!!そう決めたのよっ!!だから私はもう二度と逃げないのよっ!!!」

必死に叫んだジェリルはルーンをしっかりと構えた。

「選ぶ必要なんてない!私は戦うためにここにいるのよ!!」

恐怖を捨てて迷いを捨てた瞳に、
強い意志の力が込められているように感じられる。

「それでいい」

ジェリルが戦う意志を見せたことで、俺もルーンを発動させることにした。

「聖剣、ジェネシス!!」

両手に光が生まれ。

俺の手に光り輝く第3の剣が出現する。

魔剣『ソウルイーター』と光剣『スペルブレイカー』に次ぐ第3のルーンだ。

その名は聖剣『ジェネシス』

創世記そうせいき】という名を冠するこのルーンこそ。

俺の特性である構呪を象徴する新たな力だ。

「決して気を抜くな。実践で使うのは初めてで手加減ができないからな」

「っ…。」

聖剣を構える俺に対して表情を引きつらせながらもジェリルは突撃を試みる。

「これが!これが私に出来る最高の一撃よっ!!シャイニング・クロウ!!!」

全力で踏み込むジェリルのレイピアが輝きを増して、
100を越える光の刃が放たれた。

風を切り裂く光の爪だ。

光の嵐とも呼ぶべき勢いで放たれる攻撃に対して、俺は聖剣を軽く振るってみせた。

狙いも何もない単純な動作だが、
迎撃はそれだけで十分だったようだ。

突撃していたジェリルに最後の時が訪れる。

水平に薙ぎ払っただけの一撃で、
光を粉砕するほどの強烈な爆発が生まれていたからだ。

「そん、な、ぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

光の爪が吹き飛ぶほどの爆発に飲み込まれたジェリルは
たった一撃で意識を失ってしまったようだ。

「………!!!」

言葉を発することも出来ないまま試合場を吹き飛んだジェリルは
激しい勢いで試合場に叩きつけられてからごろごろと試合場を転がり。

そのままの勢いで試合場を落下して姿を消してしまう。

それから数秒。

場外に落ちたジェリルに起き上がる気配はない。

完全に意識を失っているようだ。

ジェリルに歩みよった審判も試合続行は不可能だと判断したようだった。

「試合終了!!」

ジェリルの敗北が確定したことで俺の勝利が決定する。

「勝者、ジェノス魔導学園!!!」

2勝2敗1分けとなり。

再び沸き起こる歓声のなかで、俺は聖剣を解除した。
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