挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
THE WORLD 作者:SEASONS

4月14日

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

596/4820

速度特化

「始めっ!!!」

試合が始まったことで、
ジェリルは慌ててルーンを発動させていた。

俺の忠告を素直に聞き入れたのかどうかは分からないが、
互いの実力が不明ということで警戒は強めたようだな。

ジェリルの手には細く長い剣『レイピア』が握られている。

斬ることよりも突き刺すことに特化した剣のようだが、
元が魔力なので耐久力が低いということはないだろう。

込めた魔力の量によって性能が変化するのがルーンだ。

見た目だけで能力を判断することは難しい。

「それがお前のルーンか?」

「ええ、そうよ。」

レイピアを構えながら少しずつ俺に歩みを進めてくる。

刺突しとつ剣『フォルクス』。それがこのルーンの名前で能力は『狙撃そげき』。その意味はこれから教えてあげるわ!!」

ジェリルは能力を宣言してから全力で踏み込んで突進してきた。

レイピアの先が微かに輝いている。

「コールド・クロウ!!!」

突き出されるレイピアの先端から、幾筋もの氷の刃が放たれた。

文字通りの氷の爪だ。

ネコ科の動物が爪で引っ掻くかのような軌道で、
刺突に特化した高速の刃が襲い掛かってくる。

「なかなかの速さだな。」

攻撃の速度は北条に匹敵するだろう。

一撃の威力は遠く及ばないが、速度だけを見れば十分な驚異だ。

並の魔術師では到底対処できないと思う。

どう考えても詠唱が間に合わないだろうからな。

ルーンを扱えない魔術師では迎撃不可能だろう。

とは言え。

圧縮魔術を扱うことが出来るなら、十分に対応できる範囲内だとも思う。

「ファイアー・ウォール!!」

炎の壁を生み出すことで氷の刃を受け止める。

だが、思った以上に威力があったようで、
防ぐだけでは終わらずに炎の壁を破壊されてしまったのは予想外の出来事だった。

俺に届く前に氷の刃は消滅してしまったが、
あと数歩、距離が近ければかすり傷程度は負っていたかもしれない。

それでも防御出来ることが判明しただけでも十分な結果だろう。

翼を封じている現状ではそれほど多くの圧縮魔術を扱うことはできないが、
そもそも炎の壁で防げる程度の攻撃であれば魔術に頼る必要もない。

その気になればジェリルの放つ攻撃を全て操作して跳ね返すこともできるはずだ。

「この程度の攻撃で終わりか?」

だとすれば結果は既に見えているが、
攻撃が不発に終わったことを察したジェリルは
すかさず後退してから距離をとって別方向から接近してきた。

「フレイム・クロウ!!」

レイピアから発生するのは幾筋もの炎の刃だ。

北条のボルガノンには劣るが、
岩永の炎の槍を超える威力はありそうに思える。

…とは言え、操作できる範囲内の攻撃なのは間違いないだろう。

ジェリルを制するのは簡単だが、
せっかく回ってきた出番だからな。

もう少し様子を見てみたいと思う。

そのために。

ひとまず能力を抑えた状態で、
炎の爪が俺に届く前に防御魔術を発動させることにした。

「コールド・ウォール!」

氷の壁によって弾かれる炎の刃。

やはりジェリルの攻撃力は並の魔術と大差ないように思えるな。

単純に速度だけを重視しているようで、
破壊力そのものは並の魔術と同程度のようだ。

だがそれでも。

氷と炎の二つの属性を防がれたことで、
ジェリルはさらなる魔術を発動させてきた。

「サンダー・クロウ!!!」

今度は雷か。

現状で迎撃は不可能だな。

雷に対応できる圧縮魔術を用意していなかったということもあるが、
高速で接近する雷撃に魔術の詠唱は間に合わない。

だがすでにジェリルの攻撃力は把握できている状態だ。

並の魔術と同程度であれば恐れる理由は何もない。

わざわざ無駄な魔力を消費する必要もないだろう。

今回は防御を放棄して、
突き出した右手でジェリルの放った雷撃を掴みとることにした。

「今までの中では一番ましだな」

「そんなっ!?」

バチバチと始める雷を掴み取ったことで、ジェリルは表情を青く染めている。

目の前の現実が信じられないのだろうか。

攻撃が通じないどころか
受け止められてしまうという結果を見たジェリルは呆然と立ち尽くしていた。

「どうした?惚けている暇はないはずだ」

右手の手の中で弾ける雷を、そのままジェリルに投げ返す。

「受け取れ、サンダー・クロウ」

「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

掴み取った魔術を投げ返したことで、
ジェリルは自らの力によって吹き飛んでしまう。

咄嗟に突き出した両手をズタズタに切り裂かれてしまい。

雷撃に包まれたことで制服も焼け焦げたようだ。

そのうえで全身を痺れさせながら後方に弾き飛ばされたジェリルは、
『ずざああああっ…』と、試合場を転がり。

場外に落ちる寸前で静かに動きを止めていた。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ