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THE WORLD 作者:SEASONS

4月14日

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第2回戦、第4試合

《サイド:御堂龍馬》

さて、と。

ようやく僕の出番だね。

「それでは第2回戦、第4試合を行います!ジェノス魔導学園から御堂龍馬!デルベスタ多国籍学園からはカーター・ベルナンド!!両選手、共に試合場へお願いします!」

係員の指示を受けて試合場に上がって来る僕の対戦相手はカーターさんだった。

デルベスタ多国籍学園では3位の成績を持つ人物だけど、
ここでカーターさんに勝てなければ僕達の3回戦進出はありえない。

すでに2敗していることで窮地に立たされている僕達にはもう敗北が許されないからだ。

全力で戦い、勝利する。

そして次の試合へと進むことを心に誓いつつ、カーターさんと向かい合ってみる。

「こうして試合をするのは2回目かな?」

「ああ、そうだな。」

僕が問いかけたことで、カーターさんは小さく頷いてくれた。

「前回は惨敗だった苦い思い出があるから汚名返上を叶えたいところだが、おそらく今回も勝てはしないだろう。根本的な実力に差があるからな。だが、ただで負けるつもりはない」

ただでは負けない…か。

それは勝てなくても一矢報いてみせるということかな?

あるいは引き分けを狙うつもりなのかもしれない。

実際にどうかは分からないけれど、
カーターさんは一方的に宣言してから口を閉ざしている。

どうやらこれ以上話をするつもりはないようだね。

僕としても無理に話し合うつもりはないけれど、
一方的に言われるだけっていうのはちょっとすっきりしないかな。

個人的には色々と言いたいことがあるけれど。

カーターさんから放たれる静かな威圧感を感じたことで会話を諦めることにする。

そして一度だけ深呼吸をしてから、はっきりと宣言した。

「悪いけれど次の試合に進む為に僕も全力で戦わせてもらうよ」

宣言してからカーターさんの顔をまっすぐに見つめてみる。

「………」

何も答えないカーターさんだけど、
その表情には微かな恐怖が見て取れた。

強がってみても実際に強くなれるわけじゃないから
心の動揺が表情に出てしまったようだね。

もしかしたら一度負けていることで消え去ることのない劣等感を感じているのかもしれない。

その辺りもどうか分からないけれど、
もしもそうだとしたら、それは僕も同じだから何となくわかる気はするかな。

頑張れば勝てるかもしれないと思える相手との戦いなら劣等感を感じることはない。

だけど圧倒的な実力差を痛感してしまっているために、
どうあがいても勝てないと理解してしまうことで劣等感を感じるようになってしまう。

僕でさえも彼に対してはそう思うんだ。

きっとカーターさんから見ても僕はそういう存在なんじゃないかな?

だからたぶん。

カーターさんにとってこの試合は僕に勝つことが目的ではなくて、
カーターさん自身の心が抱える劣等感との戦いなんだと思う。

勝てないと思い込んで僕から逃げだすか。

それとも勝てると信じて僕に挑むか。

自分自身の心と向き合おうとしているんだと思う。

そんなふうに推測しながら、試合開始を待つことにした。
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