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THE WORLD 作者:SEASONS

4月14日

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真哉の成長?

「それでは準備はよろしいですね?」

二人の会話が終わったのを見計らって審判員が話し掛ける。

真哉とフェイによる注目の戦いがついに始まろうとしてるのよ。

「いつでも良い」

「早く始めようぜ!」

「それでは試合、始めっ!!」

戦う気満々の二人の意志を確認したことで、審判員が試合開始を宣言したわ。

開始の合図の直後に現れる二人のルーン。

真哉の手には『ラングリッサー』が、
フェイの手には『ファルコン』が握られてる。

どちらも身長を遥かに越える長さだけど、
見た目の迫力だけで見れば真哉の槍のほうが強そうには見えるわね。

でも、ね?

ルーンは見た目で決まるものじゃないのよ。

フェイの槍はいたって単純かつ簡素な普通の形で、
魔力という光で作られているだけの一般的な槍だと思う。

だけどフェイの槍には一つだけ大きな特徴があるわ。

槍の先端、30センチくらいある研ぎ澄まされた刃には轟々と炎が燃え盛っているのよ。

真哉のボルガノンを遥かに凌ぐ熱気を持つ紅蓮の炎で、
触れれば熱いどころの騒ぎじゃないわ。

直接触れなくても火傷ができるくらい熱いのよ。

だけどフェイの場合はルーンの能力なんておまけでしかないわ。

フェイの実力は槍の攻撃力というよりも、圧倒的な『腕力』にあるの。

速度を重視する真哉とは系統が違うけれど、
真哉を凌ぐ筋力と運動神経を持っているのよ。

一言でいうならパワーファイターってやつね。

圧倒的なまでの物理的な破壊力こそが、
フェイが真哉を上回る最大の理由でもあるわ。

魔術師としてよりも武術に重点を置いているのよ。

まあ、真哉もそうなんだけど実力的にはフェイが上ね。

だけどね?

そんな二人だからこそ出来る試合が見れるのよ。

同時に動き出す真哉とフェイ。

体勢を低く構える真哉の構えはボルガノンのようね。

対するフェイは槍を下段に構えて、真哉を迎え撃つ構えをとっているわ。

「行くぜっ!!」

「過去の試合と同じ歴史を繰り返すつもりか?」

指摘するフェイの言葉を真哉は笑って聞き流してる。

「んなつもりはもちろんねぇよ。だけどな、あいつらにも俺が成長してるってとこを見せてやらねえと、色々とうるせぇんだ」

ん?

あいつらって、私達のことよね?

真哉が何を考えているのかは知らないけれど、
見た目はいつもと同じ構えでいつもと同じように飛び出したわ。

「ぶっとべっ!ボルガノン!!!」

勢いよく燃え盛るラングリッサーの炎。

何も変わらない真っ直ぐな突撃を見たフェイは真哉に向かって槍を突き出してる。

だけど、フェイの槍は真哉に当たらずに空ぶったのよ。

「ははっ!いつまでも俺をなめるんじゃねえぜ!」

直線じゃなくてフェイの側面に回り込んだことで、
真哉はフェイの攻撃を回避したみたい。

…って!?

冗談でしょ!?

今まで突進しか出来なかった真哉のくせに、とうとう方向転換を覚えたの!?

うそよっ!!!

ありえないわっ!

何かの間違いのはず!!

むしろ勢いが付きすぎたことで、
よろけて方向がブレたって言われた方が納得できる気がするわ。

それくらい異常な出来事に思えたのよ。

あの馬鹿が回避を覚えるなんて…っ。

他の誰かならごく普通の出来事なんだけど。

真哉がしたっていうだけで、
すごく高度な技術を見せつけられたような気がするのがものすごく気に入らないわね。

馬鹿は馬鹿らしく、真正面から当たって砕ければいいのに!

無駄に賢くなろうなんて思わなくていいのよ!

なんて思ってる間にも。

フェイの槍の軌道から逃れた真哉は、
スキだらけの背後に回り込んで満面の笑みを浮かべながら斬りかかろうとしてた。

「もらったーっ!!!」

勢いよく槍をぶんまわしてフェイを貫こうとする真哉だけど…。

「………。」

フェイは背後からの攻撃をあっさりと凌いでしまったのよ。

攻撃を外した勢いをそのまま利用して、
槍を背中に旋回しながら真哉の突きをなぎ払っていたわ。

うわぁ~。

背後からの攻撃まで捌くなんて、どこの達人なのよ。

どう考えても魔術師の戦い方じゃないわね。

「悪くはない動きだ。だが、その程度の不意打ちでは俺に傷一つ付けられないぞ?」

余裕の表情で宣言するフェイを見た真哉は顔を浮かべながら僅かに後退して距離をとってる。

「はっ!そんな簡単に勝てるとは最初から思ってねえよ。今のは小手調べだ。ここからだ!ここから俺の本気を見せてやるぜ!!」

さらなる攻撃を仕掛けるために、真哉は更に低く槍を構える。

緑色に光る槍はソニックブームの構えね。

「行くぜ、フェイ!!これが俺の最速だ!!!」

勢いよく飛び出す真哉は試合場を削り取りながらフェイに向かって突進したわ。

「ソニックブーム!!!」

最高最速の突撃よ。

進行方向の軌道上の試合場を破壊しながら突き進む真哉の槍がフェイの体を捕らえようとしてる。

なのに…。

「動きが見えすぎだ」

瞬時に反応したフェイは槍を突き出して対応してた。

破壊されていく試合場の直線上に向けてルーンを構えたのよ。

これじゃあ、ダメね。

私の時と同じで、動きが見えすぎなのよ。

いくら速くても簡単に見切れる攻撃だと意味がないわ。

だから真哉の攻撃は届かない。

フェイも難なく受け止めてしまうのよ。

「ちっ!」

ぶつかり合う二人の槍。

真哉の風を受けても全く消える様子のないフェイの炎が実力の差を物語っているわね。

だから、ということもないでしょうけど。

真哉の突撃を受け止めたフェイは余裕の笑みを浮かべていたわ。

「一応聞くが、この程度か?」

フェイの言葉を聞いたことで、真哉も笑顔を浮かべてる。

だけどそれは負け惜しみとかそういうことじゃなくて、
何かを企んでいるような表情だと思う。

割と付き合いが長いからね。

何となく分かるのよ。

こういう時の真哉は必ず何か企んでるはず。

そしてその企みが上手くいってる時の表情なのよ。

「こうもあっさりと受け止められるとはな。だが、手加減はしねえと言ったはずだぜ?」

何かを企んでいる真哉は、
槍を一回転させて上段に構えてから一気にフェイの頭上から切り掛かったわ。

「キルスラッシュ!!!」

真哉の膨大な魔力が槍に流れ込んで、
強力な威力を秘めた斬撃がフェイに襲い掛かる。

その攻撃を両手に槍を持つことで防ごうとするフェイだけど、
真哉の威力に押し負けてしまったようね。

フェイの槍が真っ二つに折れてしまったわ。

「…なっ!?」

驚愕に染まる表情を見つめる真哉がさらに微笑む。

「もらったー!!!」

振り下ろす真哉の刃がフェイの体をしっかりと切り裂く。

『ザシュッ!!』と肉が裂ける音が聞こえたわ。

そして真哉との対戦において、初めてフェイが膝をついたのよ。

「ぐっ…あっ…!!」

よろめきながらも即座に後退したフェイの行動力は素直に凄いと思う。

だけど真哉はすかさず追撃に出てる。

「逃がさねえぜ!!!」

追い撃ちをかけようとする真哉だったけど、
フェイは新たに槍を作り出して真哉の攻撃を受け止めてた。

すご…っ。

あれだけの深手を負いながら
よく真哉の攻撃に対応できるわね。

私なら絶対に無理。

さっきの一撃だけで確実に負けてると思うわ。

それなのに。

真哉の一撃を受けてもまだまだ戦い続けるみたい。

それぞれの槍をぶつけ合って動きを止める二人だったけど。

呼吸を整えようとするフェイに、真哉は再び切り掛かってく。

「キルスラッシュ!!!」

「無駄だっ!!」

フェイは襲い掛かってくる真哉の槍を一瞬だけ槍で受け止めてから、
今度は押さえ込まずに受け流したわ。

勢いをそらされた真哉の一撃は試合場に突き刺さって試合場の一部を断裂させてた。

「………。威力だけはおそろしいものだな。だが、同じ技を何度も受けるほど愚かではない」

真哉の槍が試合場を貫いた瞬間に、今度はフェイが攻め込んだのよ。

鳳凰翼ほうおうよく!!」

「しまっ…!?」

戸惑う真哉に側面から放たれるフェイの全力の突きは回避不可能。

ボルガノンやソニックブームの使用後ならまだ逃げるという選択肢があったかもしれないけれど、
全力で大技を放った直後の隙はすぐには立て直せないでしょうね。

そのせいで、燃え盛る炎が真哉の体に直撃してしまったのよ。

『ドスッ!!』と真哉の胴体を貫いて、
背中から飛び出す刃から生まれる激しい炎が一気に真哉の体を包み込む。

「燃え尽きるが良い」

フェイの言葉の直後に灼熱の炎が真哉の体を内側と外側の両面から焼き尽くしたわ。

「ぐあああああああああああああああああっ!!!! 」

全身を焼かれた真哉は槍を落としてしまい。

そのまま試合場に崩れ落ちてく。

「が…っ。かはっ…!」

口から血を吐く真哉はもう動けないでしょうね。

どう見てもこれ以上戦える状況じゃないわ。

「ここまでだな」

勝利を確信するフェイだけど、
真哉に斬られた傷口を片手で押さえていることもあって余裕があるようには見えないわね。

たぶん、危険な状態なのはフェイも同じなのよ。

だからこそ、全力で勝ちを急いだんじゃないかしら?

「悪いな。少しやりすぎたか…」

「ちっ!今回も俺の負けか…」

「そうだな。だがさっきの一撃は称賛に値する。お前も十分強くなっている。それは俺が認めよう」

「はっ!どうでもいいさ。勝てなければ、意味が、ねぇ…。」

言葉を途切れさせた真哉は、そのまま意識を失って倒れたようね。

この瞬間に真哉の敗北が確定したのよ。

「試合終了!!!」

結局、フェイの勝利で終わっちゃったわ。
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