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THE WORLD 作者:SEASONS

4月14日

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これはさすがに

「まだ戦いますか?」

問い掛ける優奈ちゃんに対して、
ピーターは果敢に立ち上がって短剣を構えてる。

すでに魔力の大半を失ってるはずなのに、
それでもピーターは諦める様子を見せなかったのよ。

「僕は勝つんだ!そして必ず!必ずっ!!」

片方だけになった短剣を握り締めながら
必死に想いを込めるピーターの言葉の真意は分からないけれど。

残る力を振り絞ったピーターは優奈ちゃんに向かって駆け出したのよ。

「魔力が尽きる前に倒してみせるっ!!」

まあ、ね。

それができれば苦労はしないわ。

でもね。

実際には難しいと思うのよね。

それが出来ないから、
優奈ちゃんは無敗記録を保持し続けているのよ。

「射ち落とします!」

しっかりと姿を捉えて狙いを定める優奈ちゃんの手から放たれる光の矢がピーターへと襲い掛かる。

だけど…

「僕は、負けないっ!!!」

光の矢が拡散する前にさらに加速して距離を詰めたピーターは、
優奈ちゃんの攻撃を回避して、一気に切り掛かったわ。

うわぁ…っ。

今の加速は真哉並みじゃない?

加速できたのは一瞬だけだったけど、
深海優奈ちゃんの攻撃を回避することには成功していたのよ。

「勝つのは僕だっ!!!」

「負けませんっ!」

短剣を振り回して優奈ちゃんへと切り掛かるピーターだけど、
優奈ちゃんも光の矢を生み出して超至近距離で反撃してた。

手を伸ばせば互いに触れ合える距離で交わる二人の攻撃。

光の矢の直撃を受けたピーターの体は試合場の端にまで吹き飛んだわ。

だけど攻撃を受ける直前に、
短剣の刃も優奈ちゃんの体を貫いていたようね。

「ぅ…。」

優奈ちゃんの体から溢れ出る鮮血。

あの色は…やばくない?

赤じゃなくて黒に近いのよ。

見ただけでもう分かるわ。

あの怪我は間違いなく致命傷のはず。

「優奈ちゃん!?」

慌てて叫んでみたけれど、
優奈ちゃんは返事を返すことさえできずに試合場にうずくまってしまってた。

そして、ゆっくりと倒れ込んでしまったのよ。

ちょっ!?

本気でやばくない!?

試合場に倒れ込んだ二人を見て審判員が慌てて駆け寄ってく。

それぞれ離れた場所で倒れた二人だけど、
ピーターは魔力を奪われて倒れただけだと思う。

だけど深手を負って動けない優奈ちゃんは致命傷っぽい。

どちらが痛いかなんて考えるまでもないわよね。

すぐに二人が立ち上がる様子はなかったわ。

意識がある為に痛みに苦しむ優奈ちゃんは回復魔術の詠唱どころじゃなくて、
痛みと苦痛を堪えきれずに泣き叫ぶのがやっとの状況みたい。

だけど、そんな優奈ちゃんに対して
ピーターはもうろうとする意識で辛うじて立ち上がったのよ。

「僕はっ、負けないっ!」

ふらつきながらもゆっくりと歩みを進めるピーターが
うずくまっている優奈ちゃんに接近してしまう。

ちょっ!

冗談でしょ?

魔力が根こそぎ奪われたはずなのよ!?

それなのに、どうして動けるのっ!?

何がそこまでピーターを追い詰めているのか分からないけれど、
ピーターは優奈ちゃんに歩みよってから、傷口に突き刺さる短剣を掴みとったわ。

そして…。

「ごめんよ。」

一度だけ謝った直後に。

ピーターは必死に両手に力を込めてから、
優奈ちゃんの体に突き刺さる短剣で優奈ちゃんの腹部をぐりっ…と、えぐったのよ。

「ああああああああああああああああああああっ!!!」

絶叫としか言いようのない悲鳴。

傷口をえぐられるという拷問にも近い攻撃を受けた優奈ちゃんは
まるで人形のように意識を失って倒れたわ。

徐々に広がる血の池。

真紅なんて色じゃないわよ。

どす黒い血だまりなのよ。

これはさすがに、えぐいと思うわ…。

痛みを想像するだけで気持ち悪くなってくるぐらいよ。

ビクビクと震える優奈ちゃんの姿が残酷さを物語ってる。

だけどそれでもピーターは最後まで手を抜かずに、
優奈ちゃんの体に突き刺さる短剣の刃を体の奥深くにまで突き刺し続けてる。

ぅ、わ、ぁ…。

どんな教育を受けたらこんなふうに育つのよ…。

これはもうある意味、殺人と判断すべき状況じゃない?

個人的にはそう思うけれど。

ピーターは最後まで勝利にこだわっていたわ。

「僕の、勝ちだ、ね」

勝利を宣言した直後に審判の合図が響き渡る。

「試合終了!勝者、ピーター・フロンド!!」

重傷を負った優奈ちゃんが意識を失ったことで
勝利を手にしたピーターも急速に意識を失って試合場に倒れ込んだのよ。
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