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THE WORLD 作者:SEASONS

4月14日

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でたらめな強さ

「改めて自己紹介をさせていただきます。私の名前は深海優奈。吸収の能力を持つ魔術師です」

「「「「「………。」」」」」

優奈ちゃんが宣言した瞬間に会場全体が静まり返ったわ。

ピーターだけじゃなくて、観客でさえも戸惑ってるみたい。

だけどそれもそのはずよね。

今だかつて存在しなかった異能力なのよ。

吸収という言葉に誰もが驚き、戸惑っていたわ。

「吸、収…?」

実際に経験していながらもすぐには理解出来ない様子のピーターだけど。

余裕を感じさせていた表情はさっきまでとは明らかに異なっていて、
今は優奈ちゃんへの恐怖に彩られてる。

まあ、その気持ちは私にもわかるけどね。

実際に経験してきたし、
本気で死ぬと思ったこともあるからよ。

あの日の私と同じように恐怖を感じて怯えるピーターに向けて、
優奈ちゃんは再び弓を構えたわ。

ただそれだけの動きに怯えてふらつく足取りで立ち上がるピーターも
優奈ちゃんに向けて懸命に短剣を構えるけれど。

その姿は目に見えるほど震えていて、何だか可哀想に思えてくるわね。

そんなピーターの姿を視界に捉えながら、優奈ちゃんは宣言したわ。

「これが私の力です!」

全力で放たれる光の矢。

私が知る限りでも一番大きな光の矢は、放たれてからすぐに拡散してた。

一番近い魔術でいうとシャイニング・アローかな?

数十本の光となってピーターに降り注ぐ光の矢なんだけど、
その効果はただの魔術とは根本的に異なっているはず。

攻撃に間違いはないんだけどね。

身体に影響を与える攻撃じゃなくて、
魔力に影響を与える攻撃なのよ。

当たれば痛いどころの話じゃなくて、
魔力がごっそり奪われてしまうの。

攻撃と回復を両立させる優奈ちゃんの攻撃はまさしく総魔のソウルイーター並の驚異よ。

あの攻撃は私でも受けたくないわ。

本気でそう思うほどの絶望的な攻撃から急いで逃げようとするピーターだけど、
回避しきれない光の矢の一つがピーターの左手に突き刺さってた。

…ううん。

突き抜けたと言うべきかな?

左手を貫いた光の矢はそのまま試合場に突き刺さってから消失したのよ。

「うぅあぁぁっ!!!!」

光の矢に左手が射抜かれたことで急速に失われていく魔力が優奈ちゃんに流れ込んでく。

と、同時に、さらなる回復魔術が発動して優奈ちゃんの体を万全な状態へと近づけていくのよ。

うわ~。

でたらめな強さよね。

自分の魔力は一切消費せずに奪った魔力だけで治療を行って、
さらなる攻撃を仕掛けてピーターを徹底的に追い詰めてる。

その繰り返しの作業の中で、
回避しきれなかった更なる光がピーターのルーンにも突き刺さっていたわ。

音もなく一瞬で消え去る短剣。

青色の短剣が消え去ったことで、
ピーターは蒼白の表情を浮かべながらも必死に光の矢から逃げ出してた。

まだ辛うじて動けるだけでも称賛に値するわね。

私なら色々と諦めると思う。

だけどピーターにとっての恐怖はまだ終わってないわ。

攻撃が成功するたびに光り輝く優奈ちゃんの体。

優奈ちゃんを包み込む光は吸収したピーターの魔力の光なのよ。

「僕の、魔力が?」

誰もが予測していなかった事態でしょうね。

優奈ちゃんの持つ異能。

吸収の能力を見て誰もが言葉を失ってる。

こうなるともう圧倒的って感じよね。

そうとしか表現の出来ない状況だと思う。

それでも優奈ちゃんは手を休めずに再び弓を構えたわ。
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