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THE WORLD 作者:SEASONS

4月14日

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龍馬の欠点

「全ての魔術を破壊してみせるよ」

「くっ!負けないわっ!!」

一歩も退かずに新たな魔術を展開する上矢さんは、
僕が接近する直前に新たな魔術を発動してきた。

「スター・ホールド!!!」

赤、青、黄、緑、白の5色の光が線を繋ぎ、
僕の前後左右、そして上下に星の形を描く壁が生まれる。

「くっ!捕獲魔術か…」

小石を転がしたかのようなとても小さな音を発しながら一瞬にして完成した結界は直接僕に影響を与える魔術ではないけれど、
狭い範囲内において僕の動きは封じられてしまったようだ。

「『結界魔術』としては最上級。物理、魔術問わず一切の攻撃を防ぐ防壁よ。本来なら試合場を覆うための特殊結界だけれど、発動範囲を限定すれば貴方の足止めくらいは出来るわ」

僕の足止めに成功したことで、
上矢さんは一旦距離をとろうとして離れていく。

その様子を眺めながら、
僕は内側から結界に触れて破壊を試みることにした。

「試合場を包む結界と同位の結界魔術か、確かに厄介だね」

並の攻撃では絶対に破壊できない結界だと思う。

だけどそれでも結界を破らなければ上矢さんに攻撃できないんだ。

「存在を拒否する」

結界を破るために、
さきほどと同様の力を解放してみる。

だけど。

予想通り、簡単には破壊できないようだった。

「無駄よ!」

自信満々に宣言する上矢さんはこの結界に対して相当な自信があるようだね。

だったら僕のとるべき道は一つしかない。

上矢さんの自信を徹底的に砕くことだ。

「存在を否定する!!」

僕が宣言した直後に。

上矢さんが作り出した結界は『パキィン…』と、
まるでガラスが砕けるかのような音をたてながらあっさりと砕け散ってしまった。

「そんなっ!?」

驚き戸惑う上矢さんに、
今度はゆっくりと歩み寄りながら話し掛ける。

「僕を足止めするよりも、素直に攻撃に出たほうがいいんじゃないかな?」

何度、僕の動きを封じても、
攻撃しなければ勝てないからね。

「本気で戦ったほうがいい」

「く…っ」

接近戦は避けたいのか、
慌てて離れようと後ずさる上矢さんに、一気に駆け寄ることにしてみた。

「攻撃しなければ勝てないんだ!」

「ま、まだよっ!まだ負けてないわっ!」

上矢さんが更なる魔術を発動させる。

「ストップ!!」

魔術が発動した直後に、僕の周囲を青白い光が包み込んでいた。

そして。

『ぶぉん…。』と聞き慣れない音と共に、
僕の行動は強制的に止められてしまったようだ。

魔術の光の中で、僕は全ての動きを封じられてしまったんだ。

「今度は行動阻害系の魔術か。この手の魔術に一々制限を受けてしまうのが僕の欠点かな?」

破壊する対象をしっかりと認識しなければ、
特性を発揮できないのが僕の欠点だと思う。

攻撃魔術にしても補助魔術にしても、
破壊する対象を強く認識しないと破壊できないのが僕の弱点だろうね。

この辺りの反応力に関しては彼も変換に時間が必要だと言っていたから
同じ悩みを抱えていると言えなくもないけれど。

彼と違って確実に攻撃を受けてしまう現状では
まだまだ練習が足りないのは事実だと思う。

だからこそ一度でも多くの戦闘を経験して精度を上げていかなければいけないわけだけど。

反応速度が遅いという意味では深海さんと同じとも言えるかな?

だけど、僕の迎撃はホンの一瞬で成立するんだ。

時間にすれば2、3秒かな。

彼と比べると少し遅いかもしれないけれど、
深海さんと比べれば早いほうだと思ってる。

「存在を否定する!!」

破壊の能力が発動したことで『パァンッ!!!』と光が弾け飛んだ。

上矢さんの魔術は崩壊したようだね。

自由を取り戻した僕は再び動くことができるようになっていた。

「攻撃するべきだと言ったはずだよ」

上矢さんに接近し、容赦なく切り掛かる。

横薙の一閃。

飛び散る鮮血。

その直後に上矢さんの保有する魔力が弾けて爆散した。

「いやあああああああああっ!!!!!」

全身から血を流しながら残存する全ての魔力を失った上矢さんは、
試合場に崩れ落ちて倒れる。

彼の魔術であるスキル・アウトと同格の力だ。

但し、僕の場合は魔力を操作して暴走させてるわけではなくて、
直接魔力を攻撃して暴発させてるわけだけどね。

上矢さんの血が試合場に広がっていく。

まさしく血の池に沈むという表現が相応しいかな?

かつて沙織や真哉が倒れた時と同じように、
上矢さんも自らの魔力を制御しきれずに一撃で倒れたんだ。

「そん…な…っ」

魔力を失った上矢さんは急速に意識を奪われていった。

「………。」

試合場に倒れこんで意識を失ってしまったんだ。

こうなると当分の間、目覚めないだろうね。

その結果として、僕の勝利が確定することになった。

「試合終了!!!」

審判員の宣言と共に慌てて駆け寄って来るエスティア魔術学園の生徒達は、
上矢さんの治療を行いながら慌てて試合場を下りて行く。

見た目からしてかなりの重症だからね。

治療を急ぐ気持ちはわかるよ。

僕も沙織や真哉が倒れた時には慌ててしまったからね。

あの時は彼が傍にいたから治療で悩むことはなかったけれど、
今は彼がいないから少しやりすぎたかもしれないと思ってしまう。

もちろんこの場に彼がいたとしても、
上矢さんの治療を引き受けてくれるかどうかは疑問だけれど。

ひとまず治療に関して何もできない僕は、
エスティアの生徒達の様子を眺めてからルーンを解除することにした。

これでまずは一勝だ。

上矢さんを撃破できたことで、
また少し力の使い方がわかってきたような気がする。

暴力という名の特性を少しずつだけど理解し始めている気がするんだ。

このまま精度を上げていけば、
今度こそ彼に追いつけるんじゃないかな?

楽観的な考え方かもしれないけどね。

そんな気がしていた。
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