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THE WORLD 作者:SEASONS

4月14日

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鳥かご

《サイド:御堂龍馬》

「試合、始めっ!!」

試合開始の合図の直後にルーンを発動させる。

光と共に現れるルーンは『ダークネスソード』だ。

剣を構えてから上矢さんと向き合う。

「あら?前回とは違うルーンね。貴方も新たな力に目覚めたの?」

ああ、そうだよ。

前回の僕とは違うんだ。

「僕も強くなる為に更なる力を求めた。これが、このルーンが僕の新たな力だ」

エンペラーソードではない剣の切っ先を上矢さんに向ける。

「以前の僕だとは思わないほうがいいよ」

「あらあら」

第2のルーンであるダークネスソードを構える僕を眺めていた上矢さんは
小さくため息を吐いているようだった。

「残念ね。せっかく貴方の『支配特性』を考慮して魔術を組み立ててきたのに、この状況だと役に立ちそうにないわね」

対支配特性の魔術か。

それがどんなものなのかは分からないけれど、
わざわざ用意してきたということはそれなりに有効な魔術だったのは間違いないだろうね。

だけど…。

今の僕には意味がないはずだ。

今の僕に支配特性は存在しないからね。

「僕の力を封じようとしていたのなら無駄だよ。そもそも僕の能力は支配じゃないからね」

「…どうやらそのようね。」

僕のルーンを見たことで、
上矢さんは残念そうに呟いていた。

一ヶ月の間に考えた魔術が無駄になったわけだからね。

落ち込むのは当然だと思う。

とはいえ。

試合前から諦められても困るからね。

上矢さんの全力を引き出すために、
新たに手に入れた特性をあえて教えておこうと思う。

「今の僕の特性は暴力になる。あらゆる魔術を破壊する力だ」

「魔術を破壊?そんなことが可能なの?」

「僕は嘘をつかないよ」

「あぁ。そうだったわね。貴方は正々堂々と戦うのが好きな人だったわね。だったらまずは、その力を見せてもらいましょうか」

気持ちを切り替えた上矢さんが魔術の詠唱を始める。

「単純な攻撃では計れなさそうね。まずは…」

右手を天高く掲げる上矢さんの手に圧縮された雷が発生した。

「ライジング・ケージ!!!!」

圧縮された雷が一気に膨張して直径5メートルを越える巨大な球体が生まれたんだ。

轟音とも呼ぶべき雷の炸裂音が会場全域に響き渡り、
巨大な雷撃が僕へと襲い掛かかってくる。

「さあ、回避できるかしら?」

雷撃か。

広範囲魔術を回避するのは難しいけれど、
単発系の魔術なら逃げるまでもないと思う。

「逃げる必要はないよ。正面から破壊してみせるだけだ!」

放電しながら迫り来る巨大な球体をダークネスソードで切り裂いてみせる。

垂直に振るった刃によって球体は真っ二つに別れた。

これで僕には直撃しない。

左右に分断された球体は僕の両側を通過していくからね。

「この程度の攻撃は…」

僕には通じない、と宣言しようと思ったんだけど…。

「あらあら、それでいいの?」

上矢さんは右手を僅かに上げてから、パチンと指を鳴らしていた。

「鳥かごの中へ、お入りなさい」

上矢さんの言葉を聞いた瞬間に、
僕はこの魔術の本当の意味を知ることになる。

二つに別れたはずの球体がまるで磁石のように惹きつけ合って、
そのまま僕を挟み込もうとしたからだ。

「しま…っ!?」

檻の中へ閉じ込めるかのように塞がる雷撃の球体によって、
僕は雷撃の中心へと閉じ込められてしまった。

「く…っ!?あぁ…っ!!」

全身を突き抜ける激痛。

目を開けることさえできない苦痛の中で、
急速に体の感覚が失われていく。

体が痺れてしまい。

握力さえも失ってしまったことで。

ダークネスソードを手放してしまうほどの痛みだった。

「ルーンが…っ!」

急いで回収したいところだけど、体が思うように動かない。

そのうえ目を開けることすらできないせいで周囲の状況を把握できない状況だ。

ルーンを探すことも上矢さんに狙いを定めることさえもできない。

「ぅ、ぁあぁあぁあぁっ!!!」

「あらあら?思ったよりも呆気なかったわね」

呆れたように呟く上矢さんの声が聞こえたけれど、
このまま敗北を認めるつもりなんてもちろんないよ。

体は動かないけれど、右手に力を込めるくらいはできるんだ。

そしてただそれだけの動きで、
僕は僕の特性を発動させることができる。

「存在を拒否する」

宣言した直後に『パァンッ!!!』と弾けるような音が響き渡り。

上矢さんの魔術が消え去った。

「えっ!?」

戸惑いの表情を浮かべる上矢さんに、ルーンを拾ってから宣言する。

「言ったはずだよ。僕の特性は暴力。あらゆる魔術を破壊する力だとね」

「くっ…」

怯えたように苦々しい表情を浮かべる上矢さんにルーンを向ける。

「全力で戦うことを薦めるよ。それが僕の為にもなるからね」

ここからが本番として、上矢さんへと走り出すことにした。
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