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THE WORLD 作者:SEASONS

4月14日

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『風』対『風』

《サイド:深海優奈》

うわわわわわっ。

ど、ど、ど、どうなるのでしょうかっ?

い、いよいよ始まってしまうんですよね?

私まで出番が回ってくるかどうかは分かりませんが、
ついに試合が始まってしまうようです。

学園での試合とは違う賑やかなお祭り騒ぎ中で、
審判員さんがしっかりと右手を振り上げました。

そして試合開始を宣言してしまうんです。

「試合、始めっ!!!」

「っしゃあああっ!!」

審判員さんの合図があってからすぐに、
北条先輩はルーンを発動させていました。

右手に現れる長い槍。

ラングリッサーを構える北条先輩ですが、
対する笹倉さんは両手を前に突き出しただけで特に何かをする様子はありません。

武器を構える北条先輩と何も持たない笹倉さん。

どう考えても北条先輩の方が有利なような気がするのですが、
笹倉さんは全大会で北条先輩に勝っているそうです。

だとしたら素手が不利ということはないのでしょうか?

よくわかりません。

これからどんな試合になるのでしょうか?

静かに視線を向ける試合場で北条先輩が動き出しました。

「行くぜっ!!」

体勢を低く構える北条先輩の槍の先端が赤く光り輝き出します。

学園でも何度か目にしたボルガノンですね。

私では到底対応できそうにない大技なのですが、
笹倉さんは冷静な態度で向き合っています。

「またそれなの?何度やっても無駄なのに…」

「さあ、どうだろうな」

ため息混じりに呟く笹倉さんに、北条先輩は攻め込みます。

「ボルガノン!!!」

炎を纏いながら突き出される槍なのですが、
笹倉さんは逃げようともしていません。

「シールド!!」

総魔さんも得意としている防御結界を展開していました。

笹倉さんを取り囲む結界に遮られてしまったことで、
北条先輩の槍は動きを止めていますね。

攻撃は失敗してしまったようです。

「絶対防御結界。どれほど強力なルーンでも、私の魔力に劣る限り突き抜けることは出来ないって前回も教えたはずよね?支援特化の私の結界はそうそう簡単には破れないわよ」

余裕の態度を見せる笹倉さんですが、
動きを止めた北条先輩も笑みを絶やしていませんでした。

「ははっ。すっかり忘れてたぜ。その程度の力のことなんてな」

「ふふっ。記憶力が弱いのね」

北条先輩を見下すような発言でしたが、
それでも北条先輩に気にした様子はありません。

笑顔を浮かべたままで笹倉さんに話し掛けています。

「厄介な魔術だとは認めるぜ。だがな。その程度の結界じゃ、今の俺は止められねえぜ」

『その程度』と言いきる北条先輩の言葉の意味までは私にも分かりませんが、
おそらくそれは総魔さんに関することではないでしょうか?

「だったらどうするつもり?結界を突破出来るとでも言うの?」

「突き抜けるのはちっとばかし厳しいな。だがその結界は解除しない限り、攻撃も出来ない完全な魔力遮断結界だ。結界の内側にいながら俺に勝てるつもりでいるのか?」

「解除とともに攻撃。そして結界による防御。攻守の切り替えこそが私の戦術。そして以前のあなたはそれで負けたわ。それは今回も同じことよ」

自信満々で微笑む笹倉さんですが、
北条先輩は再び槍を構えています。

低く…低く構えるその体勢はボルガノンではありませんね。

北条先輩の槍が炎の赤ではなくて、風を示す緑色に輝きだしたからです。

「やってみようぜ。俺が先か、お前が先か。どっちの攻撃が先手をとるか。それが俺とお前の『実力の差』だ」

「ふふっ。だとしたら結果は見えてると思うけどね」

自信たっぷりの態度で北条先輩に向けて両手を突き出した笹倉さんの手に魔術の光が生まれます。

「ホールド・ウインド!!」

笹倉さんの両手の前に現れたのは小さな風の塊でした。

そのまま発動すれば結界に阻まれて消滅してしまいますが、
結界さえ解除すれば攻撃ができる状態でもあります。

「さあ、始めましょう。どちらの『風』が上回るのか」

試合再開を宣言した直後に、笹倉さんは結界を解除します。

「捕縛!!」

笹倉さんの風が動き出して、北条先輩へと襲い掛かりました。

ですがその前に北条先輩も動きます。

「ソニックブーム!!」

全力で飛び出す北条先輩の攻撃はボルガノンとは勢いが違いますね。

攻撃よりも速度を重視する突撃魔術によって、
試合場を破壊しながら突き進む北条先輩の速度は
瞬きの瞬間だけで笹倉さんの目前に迫る勢いだからです。

ですが。

笹倉さんに届く前に風の塊が立ち塞がっています。

まともにぶつかれば何らかの影響を受けてしまうと思うのですが、
直進する北条先輩は真正面から風の塊に飛び込みました。

そして『バシュッ!!』と槍が風を貫いた瞬間に、
突き破られた風は瞬時に格子状に広がって北条先輩の体を包み込もうとしたんです。

瞬時に広がる風の格子はまるで投網のようですね。

北条先輩を飲み込んで捕獲しようとする風の檻は完全に北条先輩を捕らえていたと思います。

ですが。

風の檻に捕われたはずの北条先輩は何事もなかったかのように、
あっさりと風の檻を突き抜けました。

「弱ぇぜっ!!」

北条先輩の特攻は止まりません。

風の檻の影響でホンの数秒間だけ動きが鈍くなったように思えましたが、
その影響もすでになくなっています。

それでも僅かに稼いだ時間の間に、
笹倉さんは結界を発動しようとしていましたが…

詠唱はすでに手遅れのようですね。

「もう遅ぇっ!!」

「シール…っ!?」

結界が発動する直前に、
北条先輩の槍が笹倉さんに届いていたんです。

「ぶっとべ!!」

「きゃ、あ…っ!?」

ソニックブームから生まれる衝撃によって、笹倉さんの体が弾き飛ばされてしまいました。

その勢いは学園で見た威力を上回っているように思えます。

翔子先輩はあっさりと受け止めていましたが、
体格の小さな女性の体ではまともに受ければ本当に吹き飛んでしまうようです。

御堂先輩のように多少なりとも威力を弱めることができていれば
ここまで大きく吹き飛ばされることはなかったのかもしれませんが、
迎撃が間に合わない状態で受けたために直撃だったと思います。

学園よりも広大なはずの試合場で、
笹倉さんの体は数十メートルの距離を弾き飛ばされていました。

試合場の周囲を取り囲む結界の上部に『どんっ!』と激しくぶつかり、
試合場の片隅に落ちた笹倉さんはごろごろと試合場を転がっていきます。

それでも諦めずに体勢を整えようとする笹倉さんでしたが、
試合場を転がる動きが止まる前に北条先輩が追撃を仕掛けました。

「エクスカリバー!!!!」

北条先輩も魔術師ですので遠距離攻撃が行えるようです。

近接戦闘しか出来ないわけではなかったようですね。

笹倉さんを吹き飛ばしたことで距離が離れてしまった北条先輩は
風の魔術による追撃を仕掛けていました。

「場外まで押し出してやるぜっ!!」

「いやっ!?あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

会場全体に響き渡るかのような大きな悲鳴をあげた笹倉さんの体を
圧倒的な数の風の刃が切り裂いていきます。

「ぁぁ、ぁ…ぁ…。」

僅か数秒間で悲鳴を上げる気力さえ失った笹倉さんは、
意識を途絶えさせて倒れたようです。

『風』対『風』

その試合結果は、北条先輩の圧勝で終わりました。
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