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THE WORLD 作者:SEASONS

4月14日

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知り合い

《サイド:美袋翔子》

う~ん。

なんだかよくわからないけど、
総魔と優奈ちゃんから微妙な雰囲気を感じるわね。

何かを聞きたそうな優奈ちゃんと、何も話さない総魔っていう感じ?

だから何?ってこともないけど。

ちょっぴり気になるわよね。

でも…。

優奈ちゃんに対しても何も話さないのなら、
私が聞いても結果は同じでしょうね。

そう思うからひとまず気にしないことにしたわ。

とりあえず肝心の大会に関して色々と考えてみようと思うんだけど…。

予定通り8時40分に開会式が終わったことで、一旦、休憩時間になったわね。

まあ、休憩時間って言ってもすぐに第1試合が始まるから、
急いで試合場に向かわなきゃいけないんだけどね~。

そんな慌ただしい状況だけど。

何人かの生徒が私達に歩み寄ってきたわ。

「久し振りだね、御堂君」

真っ先に龍馬に話し掛けてきたのは
『グランバニア魔導学園』の1位に君臨する澤木京一さわききょういちよ。

共和国の首都でもあるグランバニアの魔導学園で頂点に立つ人物だけあって、
魔術師としての実力は龍馬に匹敵すると思うわ。

実際問題として、彼が龍馬以外の誰かに負けたという話は一度も聞いたことがないしね。

それくらい強いのよ。

もしも龍馬がいなければ、最強の座にいたのは彼だと思うわ。

でもまあ、その完全無敗の龍馬を倒した人物がいるから現時点では3番手って感じかな?

それでも私や真哉よりも格上のはずよ。

できれば戦いたくない相手よね。

まあ、その時が来たとすれば全力で戦うし、
やる以上は勝つつもりで戦うけどね。

でもまあ、それはそれとして…

「どうだ、翔子?俺と付き合う気になってくれたか?」

他の誰でもなく、真っ先に私に話し掛けてきたのは
『ヴァルセム精霊学園』1位の大塚義明おおつかよしあきだったわ。

「だ・か・ら・付き合う気はない、って言ってるでしょ?」

冷めた目で義明を見つめてみる。

それでも義明は諦めることなく、出会う度に私を口説こうとしてくるのよ。

「一度、ゆっくり話をしないか?」

「しない。」

はっきりと断ってから、別の人物に視線を向けてみる。

もう一人、私に近づいて来る人物がいたからよ。

彼女の名前は文塚乃絵瑠ふみつかのえる

カリーナ女学園で2位の成績。

私とは何度も試合をしてるけれど。

全てが引き分けで、未だに決着の着かない永遠のライバルでもあるわ。

「久し振りね、乃絵瑠。元気にしてた?」

「ええ。翔子も相変わらず元気そうね」

「当然でしょ。それが私の取り柄よ!」

とても敵同士とは思えない仲の良さだって自分でも思うわ。

だけどね。

個人的には結構、仲が良い方だと思ってるの。

全力で戦っても互角の相手ってなかなかいないからよ。

貴重っていうと、何か変な感じだけど。

上下のない対等な関係って考えると不思議よね。

ただそれだけでお互いに通じ合ってるっていう気がするのよ。

「で、乃絵瑠はどうなの?調子はどう?」

「あまり変わってない感じかしらね。」

「ふ~ん。そうなんだ?」

謙遜してるのか実際にそうなのか知らないけど。

もしも乃絵瑠と戦って勝てたとしたら、
ちゃんと成長してるって実感できる気がするわ。

「今度こそ、決着をつけたいわね」

「ええ、そうね。今回こそ翔子を倒してみせるわ」

「その言葉をそっくりそのまま乃絵瑠に返すわ」

お互いに勝利を宣言した瞬間に、

「「ふふっ」」

揃って笑っちゃった。

まあ、いつもこんな感じなんだけどね。

で、話し合う私達の間に入り込もうとする義明がまだいるんだけど、
全力で義明を無視しつつ乃絵瑠と話し続ける。

「ぶつかりあうのが楽しみね。」

「ええ!今回はしっかり決着を付けるわよ!」

笑顔で決戦を誓い合う私達が握手をすると、
龍馬と京一の会話も盛り上がっている途中で別の生徒達が歩み寄ってきたわ。

『デルベスタ多国籍学園』1位のフェイ・ウォルカと2位のマリア・パラスよ。

そしてもう一人『ランベリア多国籍学園』1位のシェリル・カウアーね。

「久しぶりだな。元気にしているか?」

「みなさん、お久しぶりです」

「おはよ。みんな元気にしてる?」

フェイ、マリア、シェリルの3人が歩み寄ってきたわ。

「おはようございます。」

「おう。フェイ達じゃねえか、調子はどうだ?」

沙織と真哉が3人を笑顔で迎えてる。

槍の使い手同士、フェイと気の会う真哉は結構仲がいいみたい。

で、沙織はマリアとシェリルと握手をしながら挨拶を交わしてるわ。

『多国籍学園』の生徒って私はあまり関わりがないけど、
亡命組の龍馬や沙織は結構多国籍学園の生徒達と仲が良いみたいね。

ちなみに多国籍学園っていうのはその名前が示すとおり、
世界各国から集まった生徒達の為の学園なのよ。

もう一つの『イビスレア多国籍学園』と合わせて3校あるらしいわね。

特に強制ではないけれど、
他の大陸から来た生徒達のほとんどは多国籍学園へと入学することが多いみたい。

その理由はただひとつ。

『会話が安定するから』ということらしいわ。

生まれた時から共和国にいて、
ずっとジェノスで育ってきた私には分からない部分だけど。

そこはとても重要な問題だと思うわ。

ちゃんと普通に言葉の通じる誰かがいてくれればこれほど心強いことは他にないって思うからよ。

命からがらこの国へと逃げ延びてきた魔術師達にとって
同じ言葉で同じ感情を共有できる事がどれだけ幸せなことかなんて
それこそ言葉では言い表せないわよね。

そんな幸せの為に共和国内には3箇所の多国籍学園があるらしいわ。

当然各町はあらゆる国の文化が入り混じっているそうよ。

何も知らずに多国籍の町に行くと、あまりの乱雑ぶりに混乱すること間違いなし!って言われるほど
変わった町並みをしているらしいけどね。

まあ、実際に行ったことがないから、
本当のところはどうかなんて知らないわ。

それでもそれぞれに会話が進む中で、
最後に一人だけ沙織に歩み寄る人物がいたのよ。

『マールグリナ医術学園』で1位の成績を持つ女子生徒。

栗原薫くりはらかおるさんよ。

共和国最大の医療研究所を抱える学園で、
回復魔術の頂点に立つ国内最高の学生医師として広く活動をしている人物でもあるわ。

「元気そうね、沙織」

優しい微笑みだと思う。

こういうのを慈愛っていうのかな?

決して美女とは言わないけれど
その笑顔には心を癒してくれるようなそんな優しさが感じられるのよ。

まあ、年下だから余計に可愛く見えるのかもしれないけどね。

そんな栗原さんを見た沙織は少しだけ表情を曇らせてた。

「薫」

沙織は申し訳なさそうに栗原さんに頭を下げてたわ。

その理由はまあ、一応知ってる。

謝る必要があるかどうかは疑問だけどね。

沙織らしい行動だとは思うわ。

だから、かな。

栗原さんは苦笑いを浮かべながら沙織の手をとってた。

「そんな風に気にしなくていいのに…」

沙織の手をそっと掴んで微笑む栗原さんは本当に優しい子だと思う。

これはまあ、あれよね。

白衣の天使って言葉がぴったりって感じなのよ。

さすがお医者様とも思うわ。

そんな栗原さんの気遣いのおかげで、
沙織は頭を上げてから小さく微笑んでた。

「ごめんね」

また謝る沙織だけど、今回はちゃんと笑えてるわね。

「ふふっ。いいよ。それに、いつでも私は待ってるから…」

沙織の笑顔が見れたことで栗原さんも微笑んでた。

二人の詳しい関係は私も知らないけれど。

栗原さんがマールグリナ医術学園への編入を誘ったのを
沙織が断ったっていう話を聞いたことがあるわ。

本当なら沙織は向こうの学園に行きたいみたいだけど、
あえてジェノスに留まったみたいね。

沙織ははっきりとは言ってくれなかったけど、
きっと成美ちゃんの為だと思う。

医術学園に行けば、より専門の研究が出来るけど、
成美ちゃんから離れることが出来ないから
成美ちゃんの側にいる為に沙織はジェノスに留まったんだと思う。

成美ちゃんの為にマールグリナで『研究をしたい気持ち』と、
成美ちゃんの為に『ジェノスに留まりたい気持ち』

その二つの想いを抱えながら、
沙織は成美ちゃんの為に生きているんでしょうね。

「さて、そろそろ行こうか!」

龍馬の言葉をきっかけに私達は解散することになって、
それぞれの学園毎に試合場に向かって移動することになったわ。
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