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THE WORLD 作者:SEASONS

4月13日

531/4820

個室

《サイド:深海優奈》

あうぅ~。

理事長さんがどこかに行ってしまいました。

先輩達は何度も経験している様子なので色々と知っているのかもしれませんが、
私は何をどうすればいいのかがさっぱり分かりません。

出来ることならもう少し説明して欲しかったのですが、
話を聞く前に理事長さんは行ってしまいましたので
これからどうすればいいのかがわかりません。

このままここにいればいいのでしょうか?

それともまだどこかに移動するのでしょうか?

何もわからないまま立ち尽くしていると、
戸惑う私に気づいてくれた翔子先輩が話し掛けてくれました。

「さて、と。優奈ちゃんは初めてだから説明してあげるわね」

「あ、はい。お願いします」

できる限り詳しく説明して欲しいです。

「とりあえず、大会は明日からなんだけど。これは分かってるわよね?」

もちろんです。

「そこは大丈夫です」

「うん。…で、学園長じゃなくて、理事長が来てる理由は沙織に聞いたわよね?」

「はい」

責任者が二人ともここにくると、
学園で何かあった時に困るからですよね。

「おっけ~♪それじゃあ、説明するわね。まず、私達はこの部屋に泊まるんだけど、左右両方の部屋」

翔子先輩は、左右に3つずつある扉に順番に視線を向けました。

「あの扉の向こうが個室になってるのよ。ちゃんと内側から鍵もかけられるし、学園の寮と同じ感じで用意されてるから気楽に自由に使えばいいわ。」

今いる場所が応接間で、
各部屋が個人の宿泊部屋になるそうです。

「まあ、寮と違うのはトイレもお風呂もちゃんとあるくらいかな?」

学園の寮と違って共同ではなくて個別にあるそうです。

そこはちょっと便利な気がしますね。

時間を気にしなくていいのは嬉しいです。

「とりあえず好きな部屋を選んで荷物を置いてきていいわよ」

…え、と。

好きな部屋、と言われても困るんですけど。

「どこでもいいんですか?」

「ええ、どこでもいいわよ」

どこでもいいと言われてしまいました。

ですが、選んでいいと言われてしまうと悩んでしまう性格なので、
どうしようか迷ってしまいます。

「一応、言っておくけど。どこを選んでも中身は一緒だからそんなに悩まなくてもいいわよ」

どれでも同じ…ですか。

だったら、端っこがいいと思います。

あまり目立たない場所がいいんです。

左右はどちらでも良かったのですが、
今いる場所から近いので左側を選んでみます。

そして入口から一番遠くになる窓際の部屋を選んでみました。

「それじゃあ、ここでもいいですか?」

「どうぞどうぞ~」

「は、はい」

翔子先輩の許可を頂いて、扉に手をかけてみます。

少し緊張してしまいましたが、扉はすんなり開きました。

「うわ~」

室内を見た瞬間に驚いてしまいました。

翔子先輩は学園の寮と同じ感じだと言っていましたが、
とても同じだとは思えないからです。

あ、いえ。

間取りというか、
造りは似たような感じだと思います。

ですが、大きさが全然違うんです。

「あはははっ。予想以上に広いでしょ」

翔子先輩が後ろから声をかけてくれました。

確かに広いです。

学園の寮と比べてみると3倍くらい広い気がします。

「この部屋を使っていいんですか?」

「ええ、そうよ。無駄に広いけど自由に使っていいからね~」

はう~。

自由に、と言われてもどうしていいか悩んでしまいますね。

壁紙一つ見ても、備え付けのベッドを見ても、テーブル一つ見ても、
どこを見ても『豪華』としか言いようのない素敵な部屋だからです。

こんな贅沢な部屋を本当に自由にしても良いんでしょうか?

もしも本当だとしても、
逆に落ち着かない気持ちになってしまいそうです。

なので。

ひとまず今はテーブルの上に荷物を置いてから、足早に部屋を出ることにしました。

「すごいですね」

「でしょうね~。私も最初は驚いたわ。まあ、今はもう見慣れちゃったけどね。」

見慣れる…ものなのでしょうか?

性格的な問題もあるかもしれませんが、
私としてはいつまで経っても慣れないような気がします。

「…あ、ちょっと待っててね~」

戸惑い続ける私に微笑んでから、
翔子先輩も個室に向かいました。

私の部屋の隣で、3つ並んでいるお部屋の真ん中ですね。

翔子先輩が個室に入ったことで、
今まで様子を見ていた沙織先輩もお部屋を決めたようです。

「せっかくだから、左側を女子でいいかしら?」

窓側を選んだ私とは反対で、
出入口側の部屋を選んだ沙織先輩も荷物を置きに行ってしまいました。

その間、何もすることがない私は翔子先輩が戻ってくるまで待つことにしたのですが、
待ってる間に北条先輩もお部屋を選んだようでした。

「ふわ~っ!眠ぃ…。」

北条先輩は大きな欠伸をしながら、
私の向かい側になる右側の窓際の部屋の扉を開けました。

そして持っていた荷物をベッドの上に投げ込んだ北条先輩は、
部屋に入ることさえせずにそのまま扉を閉めています。

なんだか荷物の扱いがすごく大雑把ですね。

「ははっ。真哉らしいね」

そうかもしれませんが、
そういう問題なのでしょうか?

荷物にしてもお部屋にしても、
もう少し丁寧に扱ったほうがいいと思うのですが…。

御堂先輩も北条先輩も、
あまりその辺りに関しては気にしていないようですね。

北条真哉先輩の行動に微笑みながら歩き出した御堂先輩は、
真ん中の部屋を選んだようで、そのまま中に入って行きました。

…ということは…。

最後に一つだけ残っている部屋が総魔さんのお部屋のようですね。

総魔さんは何も言わずに最後の個室の扉を開けて、そっと中に鞄を置きました。

机の上でもベッドの上でもなくて、床に直接置いていましたね…。

それはそれで謙虚すぎる気もしますが、
総魔さんのことですから単に荷物を置きに行くのがめんどくさかったとか
そんな理由ではないでしょうか?

部屋の中に入ろうともしなかった総魔さんは、
特に何も言わずに窓の傍にあるソファーに腰を下ろしていました。

何か考えているようにも見えますし、
寛いでいるようにも見えます。

どちらが正解なのか分かりませんが、
初めて訪れる場所でも堂々と行動できる総魔さんはちょっぴりすごいと思います。

私には真似できそうにありません。

どうしても落ち着かなくて挙動不審になってしまいます。

早く翔子先輩が戻ってきてくれないかな?

なんて、願ってしまうほどです。

少しでも早く話を聞きたいのですが、
あまりわがままは言えませんので、
もう一度室内を見渡してみました。

現在の私の場所から見て、左列の窓側から出口に向かって、
私、翔子先輩、沙織先輩の順番でお部屋が決まりました。

そして右列の窓側から出口に向かって、
北条先輩、御堂先輩、総魔さんのお部屋になります。

総魔さんはソファーで休んでいて、
北条先輩はテーブル席について何度もあくびをしていました。

御堂先輩はまだお部屋から出てきてませんし、
翔子先輩と沙織先輩もまだです。

色々と荷物の整理でもしてるのかもしれませんね。

そんなふうに考え事をしていると、
個室に向かった翔子先輩が帰ってきてくれました。
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