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THE WORLD 作者:SEASONS

4月13日

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○○ではない食事

「あの、どうかしたんですか?」

「ん?ああ、いや、少し考え事をしていただけだ」

考え事?

何でしょうか?

よくわかりませんが、
今まで食事に参加しなかった総魔さんがようやくパンに手を伸ばしました。

その行動を見た瞬間に。

ちょっとした違和感を感じてしまいます。

え?

あれ?

これってもしかして…?

総魔さんの行動に視線を向ける私と同じように、
理事長さんを除く全員が奇跡的な瞬間を目にしたのではないでしょうか?

そんな気がします。

決して騒ぐようなことではないのですが、それでも私は思うんです。

この状況はここでしか見れないと。

この状況はここだから見れたんだと。

私ははっきりと断言できます。

それはつまり。

総魔さんが『格安定食』以外を食べているということです!

どうでもいいと言われてしまいそうなくだらないことなのですが、
それでも何故かとても新鮮な感じがしてしまいます。

「初めて見たわ。総魔がパンを食べてる姿を…」

やっぱり翔子先輩も私と同じことを考えていたようですね。

格安定食ではない食事をしている総魔さんを翔子先輩はまじまじと眺めています。

それでも総魔さん自身は特に何も言わずに、静かに食事を続けていました。

「珍しいものが見れたわね」

微笑む翔子先輩に私はこくりと頷きます。

「そうですね」

当たり前の光景が異常に思えてしまうんです。

それほどこの状況は衝撃的でした。

「何を言ってんだ?パンくらい誰でも食うだろ?」

北条先輩の発言が気に入らなかったのか、
翔子先輩は冷たい視線を向けています。

「あんたには聞いてないのよ」

「そうか、そうか。そりゃ悪かったな」

翔子先輩の冷ややかな言葉を軽く聞き流しつつ。

北条先輩はひたすらに口の中に食べ物を詰め込んでいるようです。

すごい食欲ですね。

どれだけ食べるのでしょうか?

さすがに食べすぎだと思うんですけど。

お腹は大丈夫なのでしょうか?

色々と不安に感じますが、誰も気にしていないようです。

だとしたら、これが普通なのでしょうか?

いつも以上の勢いで食事を続ける北条先輩の暴食によって、
山のようにあった食料があっという間に残りわずかになってしまいます。

すごすぎです。

こうなるともう食べ盛りとかそういう問題ではないと思うのですが、
豪快な食べっぷりは尊敬します。

私には絶対真似できません。

…と、考えていると。

翔子先輩が北条先輩の手を止めました。

「はいはい!そこまでっ!全部食べたら、優奈ちゃんの分がなくなっちゃうでしょ」

私の分を確保するために北条先輩を止めたようです。

「あとちょっとしかないけど、これで足りる?」

「あ、はい。」

いつの間にか完食寸前にまで保存食がなくなっていたようなのですが、
それでも私一人では食べきれないくらいの量は残っていると思います。

「大丈夫です。ありがとうございます」

最初のパンを食べてからは、あとは驚いて眺めていただけでした。

なので、あまり食べていなかったのですが。

それに気付いた翔子先輩が食料を確保して私に差し出してくれたんです。

「ちゃんとここで食べておかないと、晩御飯まで何もないからね」

「あ、はい」

残ったパンとハムと野菜を受けとって食事を再開します。

相変わらず味気ないパンですが、
翔子先輩が取り分けてくれたものなのでちゃんと感謝したいと思います。

「美味しいです」

「うん。良かったわね」

微笑みあう翔子先輩と私の会話を聞いて、他のみなさんも楽しそうでした。

ただ。

北条先輩だけはまだ満足していないのか物足りなさそうな雰囲気です。

それでも文句を言わずに黙って様子を見てくれています。

そんな状況の中で、ちらりと総魔さんへと視線を向けてみると…。

総魔さんは周囲に様子を気にした様子もないまま。

黙々とパンを食べ続けていました。
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