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THE WORLD 作者:SEASONS

4月12日

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依頼内容

《サイド:御堂龍馬》

何気なく空を見上げてみる。

太陽が頭上に差し掛かってるから、そろそろ正午かな?

実際にどうかは知らないけれど、
間違いなく午後にはなっていると思う。

結構、歩き続けている気がするからね。

もしかしたらとっくに正午は過ぎてるのかもしれない…。

まあ、時間はどうでもいいんだけどね。

魔術師ギルドを出てから真哉と一緒にジェノスを離れた僕は、
町から1時間ほど歩いた場所にある山の中に向かうことになった。

僕はまだあまり詳しいことは聞いてないけれど、
仕事を受けた真哉が言うには、
この山は山菜が豊富で狩りの獲物となる動物も数多く生息しているらしい。

そのため。

猟師や木こり等の職人達がよく訪れる場所だと言っていた。

だけど、しっかりと山道が作られてるわけじゃないからね。

今は道なき道を突き進み続けて、
鬱蒼うっそうと生い茂る林の中を歩いているところだ。

「目的地はまだなのかい?」

「ん?さあ?どうだろうな?正確な場所が指定してあるわけじゃねえから目的地と言われても困るんだが、一応、地図的にはそろそろのはずだ」

真哉は手にした書類を眺めながら答えてくれてるんだけど、
いまいち正確な場所がわからないようだね。

「どこを目指してるんだ?」

「どこというか、目撃証言のあった場所だな。その近辺を探索するのも任務の一つなんだが…」

周囲を警戒しながら手探りで前に進んでいる真哉が不意に立ち止まった。

「ああ、あったぜ。ここだ」

真哉の前方には崖をえぐり取ったような空洞がある。

どこまでも奥深くまで続いているようなとても大きな洞窟だ。

その洞窟を発見したことで、
ようやく目的地にたどり着いたようだった。

「たぶん、この中だな」

笑顔で洞窟に歩み寄る真哉と共に、
周囲を警戒しながら、ゆっくりと洞窟に歩み寄ってみる。

近づいてみると、かなり大きいね

僕や真哉が両手を伸ばしても届かないほど天井が高い。

横幅も二人で楽々歩けるくらい広いんじゃないかな。

天然の洞窟の規模としてはかなり大きなほうだと思う。

「本当にここで間違いないのか?」

「さあな?情報には『目撃地周辺の洞窟に住んでいる可能性が高い』って書いてあるだけで、それ以上の情報はないからな」

情報がないのか?

「ちょっと借りてもいいかい?」

洞窟の中を覗き込む真哉から書類を受けとって、
全文に目を通してみることにした。

『巨大猪の退治募集!!』と、書かれた一枚の表紙。

2枚目以降は目撃情報や被害報告などが書かれているだけだった。

住処に関する情報は記されていない。

幾つかの候補はあるようだけどね。

本当に『目撃地周辺の洞窟に住んでいる可能性が高い』と書かれているだけだった。

あとは肝心の大猪に関する情報かな。

問題の大猪の体長はおよそ5メートルと記されている。

だとすればそれなりに大きなねぐらがあるはず。

その辺りを考えてみれば、
今ここにある洞窟は確かに怪しいと思う。

それに問題の大猪はそうとう凶暴な性格のようだ。

人と遭遇した場合は猛烈な勢いで突進して来ると書かれている。

無事に逃げ切れた者は皆無らしく、
巨大猪と遭遇した人達は、
ことごとく全員が重傷を負って病院送りになっているようだ。

そのせいで猟ができず、
木や山菜の収穫も出来なくなってしまったことで、
多くの人々が困っているようだった。

確かにこれは問題だね。

資材や食料が手に入らないとなると、
業者も困るだろうけど一般の人達だって困るだろうから。

大猪の退治が依頼として出るのは当然かもしれない。

それほど危険な存在の猪退治こそが、
『今回』真哉が受けた仕事のようだった。

だけど…。

これは、どうなんだろうか?

ギルドで受けることの出来る仕事は様々だから、
こういう動物退治も請け負うことも出来る。

とは言え。

こういった依頼は全て自己責任だ。

怪我をしても死亡しても誰も何もしてくれない。

ありとあらゆる危険性を考慮した上で資金を稼ぐことができる命懸けの仕事なんだ。

それがギルドの長所と短所でもある。

もちろん真哉としてはお金を稼ぐことを目的にしてるわけじゃないとは思うよ。

単純に実戦経験を積み重ねることで実力の底上げを狙っているんじゃないかな。

だけど。

だからこそ、実戦と試合の違いを考える必要があるんだ。

ここで敗北することは死を意味するからね。

決して油断することはできない。

慎重に行動するためにここからは戦闘を考慮して気持ちを切り替える。

そしてゆっくりと洞窟の中を覗き込んでみた。

入口から見える範囲に大猪はいないようだね。

もっと洞窟の奥に潜んでいるんだろうか?

あるいは獲物を探して外出しているのだろうか?

中に入って確かめてみなければわからないけれど、
洞窟内は相当奥行きがあるように思える。

巨大猪でも楽々入り込めそうな洞窟の内部は、
どこまでもどこまでも奥へと続いているような気がするんだ。

暗闇に支配された洞窟の内部は、
入口からではうかがい知ることは出来そうになかった。

「思った以上に暗いね」

「だな。とりあえず、行くしかねえか」

「ああ、そうだね」

洞窟内に歩みを進めていく真哉に続いて、
僕も洞窟内へと入ることにした。
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