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THE WORLD 作者:SEASONS

4月12日

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大会の予定

《サイド:深海優奈》

魔術大会に関して話があるために集まってもらったと理事長さんは言いました。

なので、悠理ちゃんの予想は正しかったと思います。

ですが…。

どういったお話なのでしょうか?

私も大会への参加をお願いされましたが、詳しいことはまだ何も知りません。

どういった大会で、どこでどのように行われるのかさえ知らないんです。

唯一。

今週の土曜に行われるということだけは知っているのですが、
それ以外のことは何も知りません。

「とりあえず、どこから説明するべきかしらね」

説明に悩む理事長さんですが、
出来れば私にも分かるように説明してもらえると嬉しいと思います。

ですがそんな私の願いが通じることはないようで、
理事長さんは総魔さんに視線を向けてから話しかけました。

「全部を説明すると長くなるから、大会までの予定と大会の規則ぐらいで良いかしら?」

「ああ、構わない」

総魔さんが頷いたことで、
理事長さんは話を整理しながら説明を始めます。

「とりあえず今後の予定から説明するわね。まず、今日一日は自由に過ごしてもらって構わないわ。出来るだけ万全な状態で大会に挑めるようにしっかりと体を休めておいてほしいけれど。実力の底上げの為に試合をしたいというのなら、それはそれで良いと思うわ」

出来るだけ休んで欲しいと願いながらも、
理事長さんは沙織先輩と北条先輩に視線を向けました。

「特に沙織と北条君は番号が降格しているから、準備運動をかねて試合をしておいた方がいいかもしれないわね」

「はい。」

理事長さんの言葉を聞いて素直に頷く沙織先輩ですが、
北条先輩は特に気にした様子もない雰囲気で理事長さんの話を聞いていました。

「まあ、その辺りに関しては個人の判断に任せるけれど。しっかり体を休めることだけは忘れないでね」

成績に関する話を締めくくったことで、
理事長さんは次の話題に移りました。

「それで明日の予定なんだけど。早朝に集まってもらってから、大会が行われる首都グランバニアに向かってもらうことになるわ」

明日の朝にグランバニアに向かうそうです。

噂話に疎い私はジェノス以外の町の名前をほとんど知らないのですが、
グランバニアの名前だけは私も知ってます。

共和国の首都ですからね。

行ったことはありませんが名前だけなら知ってます。

魔術大会は首都グランバニアで行われるようですが、
悠理ちゃんと総魔さんはどんなところなのか知っているのでしょうか?

「みんな経験者だから知ってるけど。あなたはどう?」

「いや、名前は聞いたことがあるが、行ったことはないな」

理事長さんに尋ねられたことで、
総魔さんは首を左右に振っていました。

「あら、そうなのね。」

私と同じで、総魔さんも知らないようですね。

「移動距離はこの町から馬車に乗って丸々半日ってところよ。共和国のほぼ中心に位置するこの国の首都なんだけど、ジェノスとほぼ同等かそれ以上の規模を誇る『内陸部最大』の町でもあるわ」

首都グランバニアは内陸部で最大の町だそうです。

ジェノスは港町最大の町らしいのですが、
理事長さんの言葉を聞いても私には全く想像できません。

生まれた時からこの町で暮らしてきましたし。

ジェノスしか知らない私にとって他の町は想像も出来ない未知の世界だからです。

「グランバニアに設立された魔術大会専用の会場グランパレス。そこで毎月一回、大会が開かれるのよ。だからとりあえず明日は大会の会場に向かってもらうことが最大の目的になるわね。一応先に言っておくけど、大会中は会場内に学園毎の部屋が用意されるから、そこで泊まってもらうことになるわ」

え?

泊まりがけなんですか?

そのことに気付いた瞬間に、
私は悠理ちゃんに振り返っていました。

「ね、ねえ、悠理ちゃん…。」

「あ~。やっぱり優奈は知らないんだ?」

「う、うん。」

「グランバニアは遠いから泊りになるのは仕方ないよ。まあ、そのせいでしばらく会えなくなるんだけどね」

「…うん。」

とても寂しい気持ちになってしまいました。

だからでしょうか?

落ち込む私に視線を向けた理事長さんは、さらに話を続けます。

「落ち込んでいるところで申し訳ないんだけど。大会は2日間だから、明日の朝に出発したら明々後日の夜まで帰って来れないわよ」

えっ!?

2日も悠理ちゃんに会えないんですか?

その事実だけで、寂しさを感じてしまいます。

出来ることなら悠理ちゃんと離れ離れという状況は二度と経験したくありません。

「申し訳ないけど、さすがに大会まで一緒に行くことは認められないわよ。だけどたった2日間のことだから理解してもらえないかしら?」

「は…はい。」

理事長さんの言葉に嫌とも言えませんので、
私と悠理ちゃんはおとなしく頷きました。

「ごめんなさいね。これも学園の為だと思って割り切ってもらえると有り難いわ」

何度も謝ってくれる理事長さんですが。

以前、悠理ちゃんと別れることになってしまった時のことを考えれば、
今回はそれほど悲観することではありません。

帰ってきたら、また一緒にいられるからです。

そう思えば少しくらい悠理ちゃんに会えなくても我慢出来る気がします。

「あの、その、頑張ります!」

「ありがとう」

私の言葉を聞いて微笑みを浮かべてくれた理事長さんは説明を再開してくれました。

「それじゃあ、説明を続けるけれど。大会は『32校』によるトーナメント形式で行われるわ。初日の午前中に16校に絞られて、午後の2回戦で8校になるの。そして2日目の午前中に行われる3回戦で4校に絞られてから続く4回戦で2校が決まるわ。最終的に正午に行われる5回戦が決勝になるのよ」

全部で5回の試合があるそうです。

「大会連勝中の私達が途中で敗北することは有り得ないから全く考慮してないけど、基本的には負けても最後まで会場に残って試合を観戦するのが大会の通例になっているから、途中で帰ろうなんて思わないでね」

途中で敗北することは有り得ないと、
理事長さんは力強く宣言していました。

「それで肝心の試合内容なんだけど、大会は1対1の試合を5回行って先に3勝した学園の勝利になるのよ。仮に、天城総魔、御堂龍馬、北条真哉の3人が、立て続けに試合に勝利した場合。その時点で勝ち越し決定で残りは戦わずに済むっていうことなんだけど…分かってもらえたかしら?」

「ああ、問題ない」

「そう。まあ、だいたいの流れはこんな感じよ。あとの細かいことは皆が知ってるから、分からないことがあれば適当に話し合ってちょうだい」

説明を終えたことで、
理事長さんは私達全員を一通り眺めてから最後に話を締めくくりました。

「まずは『明日の朝7時に校舎の前に集合』。それだけは覚えておいてね」

はい。

朝7時に校舎の前に集合ですね。

その言葉を何度も頭の中で繰り返して、記憶に留めました。

「それじゃあ、報告は以上!解散っ!!」

話が終わったことで、
私達は理事長室を出ることになりました。
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