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THE WORLD 作者:SEASONS

4月11日

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最初から

「ジェノサイド!」

複数の魔術の核が影に襲い掛かる。

そして炸裂する魔術によって沙織の影が消え去った直後に、
『ばさっ!』と、扇を開いてみせたわ。

「やっぱり沙織相手に手加減なんて考えられないわね」

「ぅ…」

瞬時に現れる30もの魔術の核の光を見た沙織の表情が青く染まってく。

「それって…」

「さあ、行くわよ、沙織」

宣言した私は、扇を構えて一気に振りきったわ。

「アルテマ!!!!」

魔術の核が一斉に沙織にとりついて全ての魔術が誘爆する…はずだったんだけど。

「マスター・オブ・ エレメント!!!」

発動の寸前に沙織が迎撃魔術を展開したわ。

白、黒、赤、青、黄。

五色の光が魔術の核へと襲いかかってく。

激突し合う二種類の魔術。

せめぎ合う二つの魔術が、周囲の結界もろとも試合場を崩壊させてしまう。

ほぼ互角の破壊力によって周囲にまで影響を及ぼしながら、
結局、どちらの魔術も消滅してしまったのよ。

これはあれよね。

総魔のアルテマが沙織に耐えきられてしまったのと同じような状況だと思う。

今はまだお互いにほぼ無傷だけど。

単純な魔術での戦いだと、やっぱり沙織は強いのよ。

大賢者の称号は決して飾りなんかじゃないわ。

全ての魔術を極めた人だけが得られる称号というだけあって、
私なんかじゃ到底たどり着けない実力を持っているのがわかっちゃう。

物理的な破壊力を持つ龍馬と真哉には遅れをとっているけれど、
魔術の実力だけを見れば沙織が学園最強なのは疑う余地もないわ。

だから。

ホントに勝てるかな?なんて、弱気なことを考えちゃうけれど。

ここで諦めるつもりなんてないわ。

アルテマが通じない可能性はすでに分かっていたからよ。

すでに沙織は総魔との試合でアルテマを耐えきっていたのよ?

だからこの程度で沙織に勝てるなんて最初から思ってないわ。

どんな攻撃も凌ぎきる沙織はとっても強いと思うのよ。

きっと沙織が本気で勝利を狙ってきたら、
私なんて軽くあしらわれちゃうんじゃないかな?

そんなふうに思うけれど。

沙織は私を倒すことよりも、
私を成長させるために行動してくれてるみたい。

ちょっとした試験って感じ?

だから沙織は強引に攻めてこようとはしないんでしょうね。

…でもね?

お互いに魔力に余裕のある状況じゃないのは確かなのよ。

特に私の魔力は沙織よりもかなり少ないしね。

真哉には追いつきつつあるけれど。

沙織の魔力の総量には到底敵わないわ。

総魔を例外とすれば、沙織の魔力の絶対値は学園随一なのよ。

私も、真哉も、龍馬も、沙織には敵わないの。

だから純粋な魔術勝負だと沙織には絶対に勝てないのよ。

「こうなったら仕方がないわね!本当は嫌なんだけど、これで決めるわっ!!」

宣言する私を見て、沙織は強くルーンを握りしめてた。

「ええ、それでいいのよ、翔子。遠慮はいらないわ。その魔術を防ぐことが出来るかどうか?私はそれが知りたいの」

ああ、なるほどね。

真剣な表情で私を見つめる沙織は、
最初からこうなることを望んでたみたい。

最初から究極の魔術を待っていたのよ。

だったら!

「行くわよ、沙織!」

沙織の期待に応えるために、遠慮なく発動させるわ。

「全ての魔力を力に変えて。今ここに破滅のときを!!秘術っ!!メテオストライク!!!!」

瞬間的に巻き起こる破壊の嵐。

次々と圧縮展開する魔術による無差別爆撃よ。

総魔の翼と同質でもあるわね。

羽の一枚一枚から魔術が発動するように、
扇の骨組みから連続して圧縮魔術が放たれていくの。

さすがに高速射撃までは実現できないけれど、
無詠唱による連続攻撃は私にもできるのよ。

舞い踊る扇の一振り毎に発生する魔術の嵐が、
立ち塞がる沙織に降り注いでいく。

「相殺できるのものなら、やってみせてっ!!」

真哉の時と同様、100を越える魔術が一斉に沙織に襲い掛かったわ。

そのせいで私の魔力は急速に減少していくんだけどね。

「っ…ぅ…ぁ…」

破壊の嵐の中心で沙織は何かを叫んでるみたいだけど。

連続で発動する魔術の影響で沙織の姿を見ることは出来ないわ。

だけど、だからこそ。

今はまだ油断出来ないの。

沙織の実力を甘く見ることなんてできないからよ。

徹底的に警戒しながら沙織の姿を探してみる。

魔術の影響が消えて静まり返る試合場をじっと見つめる。

そうこうしていると…。

杖を構えたまま立ち続ける沙織の姿が徐々に見えてきたわ。

…って、うそぉっ!?

あの攻撃を耐えきったの!?

驚く私の視線の先で、不意に沙織がルーンを手放した。

何をするつもりなの?

私の知らない何かを仕掛けようとしてるんだと思ったわ。

だけど…。

そうじゃなかったみたい。

そこから先の行動が何もなかったからよ。

魔術を発動するわけでも、杖を拾おうとするわけでもないの。

全く動く気配を見せないのよ。

これは、つまり…。

手放したというよりも、
落としたって考えるべきじゃないかな?

一目見た限りでは多少の擦り傷や火傷の跡ぐらいしか見えないけれど。

明らかに分かることが一つだけあったわ。

それは『沙織が魔力を使い果たした』ということよ。

ルーンさえ維持出来ずに手放してしまったみたい。

地に落ちたルーンは微かな光と共に姿を消したわ。

その様子を眺めてから、ゆっくりと沙織に歩み寄ってみる。

「沙織?」

声をかけても反応しないわね。

龍馬もゆっくりと沙織に歩み寄るけれど、
沙織は一切反応しなかったわ。

完全に意識を失ってるようね。

その事実を確認した龍馬が首を左右に振ったわ。

…って、いうことは?

「試合終了!勝者、美袋翔子!」

龍馬を見つめる私に、龍馬が試合終了を宣言してくれたのよ。
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