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THE WORLD 作者:SEASONS

4月11日

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翔子の技術

「ダイアモンド・ダスト!!!」

扇の先端から生まれる一瞬の冷気。

広範囲に拡散する冷気の核が、真哉のルーンに取り付いたわ。

その瞬間にラングリッサーが一瞬で凍り始める。

同時に真哉の両手も凍り付いていくわ。

「なんだとっ!?」

戸惑う真哉が動きを止めている間にも氷は徐々に広がって、
確実に真哉の体を覆いつくしていくの。

「どうする?早く対処しないと、氷が全身に広がるわよ?」

ちゃんと私の忠告を聞いてるかどうかは分からないけれど。

このまま終わりだとつまらないわよね?

「まだまだ様子見なんだから、もうちょっと頑張ってよね」

「ちっ!」

真哉は焦りを見せながら急いで魔術を発動させたわ。

「フレア!!」

真哉が使ったのは炎系の魔術ね。

その炎で私の魔術を相殺するのかと思ったけれど…。

どうも違うようね。

真哉は自分自身に向けて魔術を発動させたのよ。

「ぐっ…」

灼熱の炎が真哉の体に降り注ぐ。

「ああああああああああっ…!」

炎を浴びて悲鳴を上げる真哉だけど。

両手を覆う氷を溶かす為に、
あえて自分自身で炎を浴びたようね。

ったく。

相変わらず無茶をするわね~。

沙織の忠告が無駄になったじゃない。

そんなことを思いながらも、
氷が溶ける前に真哉から距離をとる為に後退しようとしたわ。

だけど…。

「まあ、待て。そう慌てて逃げるなよ」

う、わぁ!?

真哉の言葉で戦慄しちゃったわ。

炎の中で動き出す真哉を本気で怖いって思っちゃったのよ。

でも、ね。

ここで弱みを見せるわけには行かないわ。

気持ちで負けちゃったらそこで終わりなのよ。

だからまずは真哉に話しかけて後退のための時間を稼ぐことにしてみる。

「あんまり無茶をすると、私がとどめをさす前に倒れるわよ?」

そのほうがありがたいんだけどね。

だけどそうそう上手くはいかないみたい。

「ああ、心配しなくても大丈夫だ。その前にお前を倒すからな!!」

勝利を宣言してから炎の中で構える真哉。

自分自身を覆う炎を取り込むかのように風を操り、
渦巻く炎が真哉に向かって集まりだす。

その状況を見ていた私は瞬時に『ソニックブーム』が来ると判断して、
迎撃用の魔術を扇に注ぎ込む。

その間にも準備を進める真哉が再び攻撃に出る。

「一撃で終わらせてやるぜっ!」

槍に集まる炎と風が真哉の体を包み込んでいく。

風を纏う真哉の槍の先端が激しく輝きだしたのよ。

真哉の本気を見て焦るけれど、だからって慌てはしないわ。

う~、間に合って~!

心の中で叫びながら、扇に力を込め続ける。

「吹き飛べっ!!ソニックブーム!!!」

真哉が動き出した瞬間に、
龍馬との試合の時と同じ現象が起きたわ。

風を纏う真哉の最高最速の突撃によって発生する衝撃波が、
試合場を削り取っていくの。

ガリガリと試合場を破壊しながら瞬時に距離を詰める真哉の姿は
目では追えない速さに達しているわね。

例えて言うなら、真哉自身が一本の矢になった感じ?

見る角度によっては消えたようにも見えるでしょうね。

だけどね。

こういうのって真正面からだと、何となく見える気がするのよ。

動体視力ってやつ?

違うかな?

まあ、何でもいいんだけど。

私は真哉の直線上にルーンを構えたわ。

そして、魔術を展開したの。

「ジェノサイド!!!」

ボルガノンを封じた魔術を展開することで、
ルーンの先端に複数の魔術の核を発生させる。

その直後に『ズガンッ!』と激しく突き合わさる二つのルーン。

さっきよりも大きな衝撃波が発生したことで、
私の体は後方へと弾き飛ばされてしまったわ。

さすがに勢いが強すぎて、非力な私じゃ耐え切れなかったのよ。

「つ…っ!」

追撃を恐れて急いで立ち上がる。

そしてもう一度扇を構える。

そんな私の視線の先で…真哉は動きを止めたまま驚愕の表情を浮かべていたわ。

「そんなバカなっ!?相殺だとっ!!」

おお~っ。

これは予想外ね。

私としては結構本気で怖かったんだけど。

戸惑う真哉の表情を見れたことで、私は勝利が確信できたわ。

「あれあれ~?やっぱり、もう終わりなの~?」

「くそがっ!?」

唇を噛み締める真哉だけど。

とっておきの一撃さえも通じないことで苛立ちを感じているように見えるわね。

「どうする~?もう一度、やってみる?」

強がる私に対して、真哉は再び突撃の姿勢を見せたわ。

その姿を見て、防ぎきれるかな?って、ちょっぴり不安を感じちゃう。

だけどね。

不安を抱えながらも、
ここで真哉に一つだけ忠告してあげることにしたわ。

「せっかくだから一つだけ真教えてあげるわね。直線で進む限り、私に真哉の攻撃は届かないわよ」

不安を振り払おうと思って強気な発言をしたんだけど。

もしかしたら余計なことを言ったかもしれないわね。

素直にそう思う自分がいたわ。

別に調子に乗ってるとかそういうことじゃないわよ。

何か喋ってないと落ち着かない気持ちだったの。

私の魔力の総量は確実に真哉に劣っているからよ。

込められる魔力が違うの。

それでもね。

本来なら止めきれないはずの真哉の一撃を防いでいる最大の理由は
ルーンの放つ魔術による一点集中攻撃にあるのよ。

複数の魔術をただ発動させるんじゃなくて、一点で集中して発動させてるの。

それは一言で言えば『アルテマの縮小版』かしらね?

要するに私の魔術『ジェノサイド』は一点突破の力技なのよ。

瞬間的な破壊力はグランド・クロス級かな?

総合的な威力はそこまで期待できないけどね。

だけどいくら強力な一撃を持つ真哉の攻撃といえども、
直線的な攻撃なら受け止めることくらいは難しくないわ。

攻撃の瞬間にだけ最大威力を撃ち込めば動きを止められるわけだしね。

そのぐらいの技術は私にもあるのよ。

もともとは弓の使い手だったわけだしね。

点を狙う攻撃は得意なの。

「そろそろ諦める?」

「うっせぇ!!」

怒りを込めて再び突撃してくる真哉だけど、
どれだけ速く動いても直線である限りは私の攻撃からは逃れられないわ。

勢いよく突き合わさる二つのルーン。

その直後に強力な衝撃波が吹き荒れるけれど。

今回は吹き飛ばされることなく、その場で耐えきってみせたわ。

二度目だから、攻撃を合わせやすかったのよ。

だから、でしょうね。

動きを止めた真哉の表情が青く染まっていくのが見えたのよ。

「言ったはずよ?直線では私には届かないってね。そして…」

数歩だけ後ろに下がってから、
真哉に宣言してあげることにしたわ。
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